加曾利貝塚博物館

  • 縄文後期前半の関東地方に分布する土器型式で、加曾利E式とB式の間の時期に位置づけられる。 市川市堀之内貝塚で発見された土器が型式名の由来。
  • 大小の深鉢が主体で、胴部に膨らみを持つタイプと、口縁~底部にかけて直線的にすぼまるタイプがある。
  • 中期の土器のように隆帯による文様ではなく、沈線による幾何学的な文様構成が特徴で、時期によって縦方向・横方向の沈線が主体的に使われる。

 

堀之内1式:

  • 深鉢が主体。
  • 器形は種類が多いが、なぜか称名寺式の器形・文様を踏襲するものがない。
  • 器形の中でも、底部から直線的に立ち上がり、反り気味に口縁部にいたる丈高の器形が特徴的。
  • 口縁は波状口縁の把手が4単位のものと、小さな橋状把手が3単位のものがある。いずれも口縁部に太い沈線が引かれて段状になる。
  • 地紋に必ず縄文を用い、その上に沈線で蕨手状、S字状、あるいは渦巻き状のモチーフが描かれるが、特にモチーフ内を磨き消すことはない。
  • 下北原式の深鉢が沈線だけのモチーフに対し、縄文を地紋とする堀之内1式は施文効果がいかにも対照的ながらも、実は称名寺式で盛行した磨消縄文から離脱した両極ということに共通点がある。(無文の下北原式に対し縄文地という関東東部集団の意識の高揚が感じられる)。
  • 堀之内 1式から2式への変化は、文様の表出技法で、沈線が細く鋭利となり、次第に幾何学的構図へと向かう。しかし、この段階では相変わらず縄文を地紋とする。それが、施文順序が逆転して、先に文様を描いてから縄文を充填するようになり、口縁に細い紐線が施されたり、8字状の貼付がなされるようになると堀之内2式となる。

167 深鉢 堀之内1式(千葉県堀之内貝塚) 高50.7cm、4単位把手、渦巻き状沈線、口縁部に太い沈線、

 

167 堀之内 1式 (千葉県堀之内貝塚) 高50.7cm

 

168(左上)堀之内 1式 深鉢 (神奈川県堤貝塚) 高51.0cm、 ※ 渦巻き状沈線のみで縄文なし。口縁部に太い沈線、西南関東の称名寺式の施文を加えない伝統に影響されている。

169(左下)堀之内 1式 深鉢(千葉県加曽利貝塚) 高34.2cm、幾何学沈線、

170(右上)堀之内 1式 深鉢(千葉県中野台貝塚) 高25.5cm ※ 千葉方面では縄文の施文が多い

171 (右下)堀之内 1式  深鉢 (千葉県国府台下貝塚) 高33.8cm

  • 167~171は、千葉から福島にかけて多く出土。
  • 167,168、170はゆるやかに外反する器形、4山の波状口縁、胴部下半で隆起線に区画される文様帯など共通点が多い。

 

  • 関東西部では2式に併行して称名寺VI段階の深鉢が盛行しており、東西地域差が顕現している。

 

 

加曾利貝塚博物館

 

加曾利貝塚博物館

 

 

加曾利貝塚博物館

 

 

市川市立考古博物館

 

加曾利貝塚博物館

 

 

 

 

堀之内1式 注口土器 (株木東遺跡@市川市)市川市立考古博物館. 注口に把手が直接付く(2式は直接付かない)

 

 

堀之内1式 注口土器(宮ケ瀬遺跡群北原No.9遺跡@愛甲郡清川村) 注口に把手が直接付く(2式は直接付かない)

2023/2/11 相模原市立博物館

 

 

堀之内1式 注口土器(三ノ宮・下谷戸遺跡@伊勢原市) 注口に把手が直接付く(2式は直接付かない)     2023/2/11 相模原市立博物館

 

 

 

堀之内1式 注口土器(寺野東遺跡@小山市)注口に把手が直接付く(2式は直接付かない)   2022/08/07

 

 

堀之内1式 注口土器(稲荷山貝塚@横浜市南区) 注口に把手が直接付く(2式は直接付かない)

2023/2/11 相模原市立博物館

 

 

 

馬場小室山遺跡(さいたま市三室)から出土の堀之内 1

  • やや外反気味に開く深鉢形を呈するものが多いが、口唇部が「く」の字状に内向するものや、口縁付近で若干内傾するものを見られる。
  • 文様については、地文に縄文を持つものと持たないものの2種類があるが、どちらも沈線あるいは刺突、粘土貼付けが施されている
  • 76-90は地文に縄文を持つ。
  • 76は口唇上に粘土紐が撚り合わされた状態で貼付される。

 

  • 底部で網代などが観察される。

 

 

 

 

2022/5/25、 堀之内2式(高井東)似?

 

 

 

堀之内式 (深鉢?)(神明貝塚@春日部市立郷土資料館). この鉤型沈線文様は見たことがある

 

 

関連Links

堀之内2式