10月8日の日曜日、
ダイアログ・イン・ザ・ダークに行ってきました。

こちらのホームページによるところの説明では、
こんなところです。

「ダイアログ・イン・ザ・ダークは、視覚障害者の案内により、完全に光を遮断した”純度100%の暗闇”の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメントです。
これまで世界47カ国以上で開催され、900万人を超える人々が体験。 日本でも各地でオリジナルイベントが開催されています。」

純度100%の暗闇の世界、
浜松町にあるんです。
今春まで学んだ大学で関わりを得た仲間たち5人で行ってきました。
全盲とか弱視とか健常とかの見え方や
年齢や性別や立場もそれぞれすぎる仲間。

ワタシたちとは別でいらしていた男女3人のグループさんとで
8人のチームが組まれました。
暗闇の世界を身内だけでなく、
その場で知り合う方たちとのチーム単位で旅をするとした
ソーシャル・エンターテイメントということですね。

体験する直前に旅は90分間と知り、
(暗闇で90分って結構長いんだな。)
ダイアログという言葉の意味さえ知識として携えてなかったワタシは、
体験の後に始まる飲み会が待ち遠しくて、
胃袋と肝臓が肩組んで乾杯のゴングが鳴るのを待っているふしだらさを
真面目な外ヅラというシックな装いのいやらしさを身に纏い、
いやらしいを被せて、ふしだらを隠すという、
自動販売機で売ってたビニ本みたいな姿なもんで、
家に帰る前にビニール破ってエロ本見ちゃう中ボウのように
飲み会に思いを馳せちゃったりしてました。

しかし、
長いなと感じていた90分間の暗闇の旅は、
なんとも、あっという間でした。

スマホはもちろん腕時計も含めた一切の手荷物、
ポケットの中のものもロッカーへ預けるのだと指示があります。
メガネさえも落とすと見つからないからとロッカーへと推奨され、メガネも外してロッカーへ預けました。
すると、服装は何も変わってないのに妙に寒々しくて、
幾度となく見たことのある変な夢を思い出しちゃって。

学生服を着て学校にやってきたつもりが、
好きな子が含まれてる女子グループにクスクス笑われてる異様な空気を察知して、
自分の下半身を見てみるとパンツ一丁で、
上半身を触ってみてら何も着てなくて、
あ!服を着てくるのを忘れて学校来ちゃった。
と事実に直面して立ち尽くすワタナベパンイチ。
は!っと目を覚ますとパンイチで布団にくるまってるワタナベシンイチ。

「なんか、パンイチにされちゃったみたいで恥ずかしい感じっすね」
アホすぎる夢の端くれからつむいだ品のない軽口をたたいたりしたのは、
(何かに顔をぶつける恐れがあるわけだわな。)
とメガネを外させる意味を察しつつ、
暗闇で何をさせられるのかわからない不安を払い落とすようであっだのかもしれません。

洋服以外は身につけていないことで、
そこはかとないパンイチ感のあるワタシたちに許される旅の持ち物は視覚障害者が利用する白杖。
唯一与えられる道具であり武器のようでもあり、
お守りのようでもある白杖が全員に渡り使い方が案内されます。

そして、いよいよ足を踏み入れた純度100%の暗闇の世界は、
白杖もそこそこに使い慣れてるはずのワタシの想像を余裕で越えて、
おっかなかった。
おっかなかったんです。

だだ、
でも、

ずっとじゃないんです。
ずっとおっかないわけじゃない。
想像を超えたおっかなさがそこにあるからかもしれません。
だからこそ感じられるのであろう
はっとするから、ほっとしたりとか、
不安があるから、安心したりとか、
見えないから、冴えたりとか、
いろいろな気づきがありました。
気づきはいろいろなんですけど、
その気づきたちの源泉というか背景はみんな同じだなって感じたんです。

チームなんですよね。
人なんです。
想像を超えちゃってたおっかない世界は、
ずっとじゃない。
目以外の感覚器を自分1人ではなくチームで共有することで、
人と人が繋がって、チームで繋がることで、
暗闇に光が射すんです。
そう感じたんです。
ココロんところに光が射すんです。
その光が旅の道しるべになり、
1人じゃ寒々しいけど光の成分が体温を上げてくれる。
保ってくれる。

大学時代から2人で歩くのならワタシが先を行き肩を貸している今回一緒に参加した全盲者の友人は
事故によって光を失い毎日毎秒がイン・ザ・ダークであって、
浜松町を出て飲み会の席でも現実の光が射すことはありません。
今回は逆にワタシの前を行くその彼の声に従って恐る恐る前に進み、
真っ暗闇でその彼の肩にワタシの手をのせて繋がった時の
彼の体温、温かさ、温もりは、
優しさのようだったり、強さのようだったり、
ワタシのココロに射した光だったんです。
心強くて安心してホッとして、
まさに光によって明るくなって温かくなったんです。
人の体温、温かさ、温もりの影響力をこんなにも心身で実感したことって、
あっただろうか。
なかったかも。
純度100%の暗闇のなかで、
ココロに光が射してじんわりと温まった体験だった。
それは、健常者にだって場面によって暗闇と化する世界においても、
人のカラダが有する体温、温かさ、温もりがココロにもたらす影響力、
その力を実感した。
学んだ。
そんな体験でした。

「ダイアログ」
浜松町から移動して読み会に入る前に調べてみました。
Googleさんはこんな意味だと説明してくれます。

「ダイアローグとは対話や対談という意味ですが、組織におけるコミュニケーションのあり方を考えた時のダイアローグは、情報のやりとりにとどまらず、話す側、聞く側がお互いに理解を深め、行動や意識を変化させるような創造的なコミュニケーションを指します。」

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」
https://did.dialogue.or.jp
誰かの暗闇に光を届けられたら。
体温を伝えるマッサージにはそんな力があるんじゃないか。
ホストのお宅で大いに語って笑った酔っ払った飲み会も含めて、
力をいただいた休日でした。