おでんってどうも好きじゃなかったんですよね。
「今日のご飯なぁに?」
なんて可愛らしいボクであったワタシが母に聴くと、
「おでんだよ~。」
なんて軽やかに笑顔で伝えられようもんなら
お腹を空かして興味深く訊ねた今晩のおかずが、
おでんであるという事実が悲しいだけでなくて
おでんを用意したことで子供は喜んでると捉えてると思われる
母に対する不信、大人に対する絶望、日本人に生まれたことの悲哀、
毎日ステーキばっかり食べているであろうアメリカ人の子供に対する羨望。
(おでん、、おでんじゃねえんだよ。。)
(ちがうんだよ、、おでんじゃねえんだよ。。)
ってココロで呟きながら、

「あー。。」

って返事をして
(ぜんぜん嬉しいわけじゃねーんだからね。)
(あー。ってぶっきらぼうな感じ読み取ってよね。。)
なんて感じをチビチビ表現するようなことがあったなぁ。
 
なんて思い出したのは昨日の夜
おでんしてたからでして。
子供の頃を思い出しながら、
大人の今を感じ取りながら、
(おでんって良いな。)
って今の感情を通して昔と今の自分を比べてみたりして
変わることと
変わらないことってあるよなぁ。
って考えたりした夜でした。

 今はなんなら好きなんです。
特徴的な具材で言えば「つみれ」すね。
ボクの頃から食べてはいました。
好きではなかったけど。
そもそもおでんってのを認めてない上に、
子どもの気をひくように肉団子のように仮面をかぶってて
いざ口にしてみりゃゴリゴリに魚なつみれさん。
あいつだけポツンと残すわけにいかないから食べてましたけど、
食わされてる感の強い食材でした。
それが52歳の飲んだくれジジイともなった今、
コンビニでつみれさんを指名することは今後もないと思うし、
家で出てくるおでんの中に座ってるつみれさんを次のお皿でリピートすることもないんですけど、
一杯目のお皿にはつみれさんが座っていてくれることでもって
おでん!
って体裁が整うというか落ち着くというか、
大根、たまご、がんも、豆腐、こんにゃく、もち巾着、
みたいな人気者たちを支えるかのような
つみれさん。
魚魚しい味と独特な色合いのつみれさん。
イイ仕事してくれますよね。
一個だけで良いんですけど、
好きです。

子どもの頃のワタシにとって、
可愛らしすぎたボクであった頃の食事なるものは、
ご飯(お米)を食べるための道具がおかずって感覚でしたから、
肉、油、焼く、揚げる、なやつに醤油とかソースとかケチャップとか、
いつからかマヨネーズも仲間入りしたやつらを
存分に駆使して工夫して
でっかい茶碗で山盛りご飯を2杯も3杯もモリモリ食う。
それが食事であり、待ち遠しい時間だったんですね。

そこにですよ、
薄味の、煮物の、魚の、練りもの。
それは米を食う道具にはならないわけです。
(に、に、肉、あ、油をくれ!)
とボクの細胞が叫ぶわけです。
しかし、母に献立を変更させるまで本当に叫び続けるという力技は
成長の過程でもぎ取られてたのか、使った覚えはない。
仕方なくおでんを道具とすることを受け入れて
いつもは食うはずのないおしんこなんかも道具にしちゃって
いつもの量の米を食って腹を膨らませる。
腹はいっぱいにさせても、どうも大人に丸め込まれてる感じ。
なにか納得がいかないやつ。
ザ・おでん。
好きじゃなかったなぁって。
美味いと思わなかったなぁって。

そんなこと思い出しながら、
目の前のおでんの一品一品を味わいながら、
(おでん、美味いよなぁ。)
って思って酒を飲んでるワタシという物体に変化した自分は
あの頃とはぶいぶん、
変わったもんだ。
変わるもんだ。
なんて思って。

で、
このブログでもよーく出てくるもう一人のワタシ
という面倒くさいやつが出てくるんです。
このもう一人のワタシの口癖は、
(本当にそう?)
ってやつ。
昨日で言えば、
(本当に変わったのか?)
って。
ウザいもう一人のワタシ。

そう聴かれてみるとですね、
ボクであった頃を思い出しながら、
どうでも良いおでんのことをツラツラと書いてるワタシの方も、
(本当にそうかな?)
って考える。

で、
即答でした。
(今も、これからも、)
(ん。)
(おでんでご飯は食わねーな。)
って。

酒を飲むようになって、
酒のアテとしての、
おでんさん
つみれさん
評価は確かに変わった。
大いに変わった。
ちゃんと好きです。

けど、
昼ごはんにどっかの定食屋さんに入って、
おでん定食ってメニューがもしあったとしても、
それは絶対に注文しねーなって。
このおでんとご飯の組み合わせをどっかで許していない自分ってのも、
なんか、
ワタシの中にボクがいるようで
いてくれてるようで、
なんか、
愛おしい。
って感覚があって^^;

そんで今度は、
その愛おしい自分ってのを受け入れてみたら、
おでん定食ってのがあったなら、
食べてみたくなっちゃってるワタシもいたり、
おでん定食なんてみたことないから、
わざわざやってみようかなとか。
絶対に食わないってことはないわな。
とも思えて。
ボクに提案しようとしてるワタシがいて、
新しい発見があるかも、、
くらいは思える。

いろいろがですね。

(変わったなぁ。)
って思って、
(変わってねーな。)
とも思えて。

(変わらないもんだな。)
って思って
(変わるかもな。)
とも思えて。

あの母から生まれたことと、
日本に生まれたことは変わらないし、
ステーキ毎日食いたいなんて思わなくなっちゃったってことも
この辺の事実たちは
もう変わらないなと。
そうなら
ま、
あとは、
なんでも、
変わっていいか。
で、
変わんなくてもいいか。
で、
絶対ってことはないかと。

なんて思えると、
過去も今も未来も、
そこそこで、

愛おしい。

完全に脳みそお花畑な新年を迎えておりますが(^^)
変化をつける一年になるとも思ってて。
本年もよろしくお願いいたします。