午前1時。
引っ越し荷物の整理で
実家に留まっている次男が、
地元でのライブを終わって
帰りました。
食べるかなと作っておいた
おでんの鍋を開けているのを見て、
遠い昔の東京時代のひとこまを
思い出しました。



四畳半一間のアパートに、
弟(長男)としばらく
住んでいた頃です。
弟は、
アルバイトで、夜中の工事現場の
夜警をしていました。
寒い冬、温かい物をと、
うどんを作って置いて休みました。
夜中に帰ってきて、ふと目覚めると
弟が台所で立ったまま、
うどんのスープを、
ああ~と言いながら飲んでいたのです。
弟はうどんが好きではないと
後から聞きました。
その時の事を思い出す度に
涙ぐんでいました。

弟が結婚してからは安心して、
思い出す事がありませんでしたが、
久し振りに次男の姿を見て
ふと思い出しました。

弟は、もう66才で
孫ちゃんを可愛い可愛いと
言っています。

一生懸命に生きていたなぁ、
生きて来たなぁと思います。

その四畳半のアパートには、
最初、妹が借りていて、
妹が奄美に帰り私が継いで借り、
時期は別々ですが、
弟二人とも暮らしました。

東京時代は、
そのアパートに住んでいました。

63才の時、
東京に40年振りに、
息子長男の舞台を見に行った時、
その町に行って
アパートを探しましたが、
当たり前にすっかり変わっていて
見つけられませんでした。

思えば、
苦しむ事の方が殆どの
東京時代でしたが、
私の20代初めの頃の
一つの青春なのかなと、
老いた今は思います。