雪組全国ツアー「はばたけ黄金の翼よ」「Music Revolution」静岡公演を観劇。


令和の時代にばりばり昭和を感じる演出と展開。
宝塚を身始めて二年程度の私には一周回って逆に新鮮だった!


ヴィットリオとクラリーチェの十字路の出会いまではいつもの宝塚。
ダンサーが身体的な表現を駆使してその場の空気を作り、演者が真ん中で物語を進行する。
直近の壬生義士伝にもあったよね、そういうの。
他にもいくらでも似た場面は思いつく。

主演二人はおいおい書くとして、ここは何と言っても霧を表現するダンサーの皆様の着地がすごかった!

重力も衝撃も感じさせず、ふわりと舞い降りる。
あの人たち、体重がティッシュくらいなん? って思ったよね。まじで。
強靭な筋力と肉体のコントロールは生で体感するに限る。


衝撃だったのはその後。
幕が開き、さあ始まるぞとうきうきしていたら、頭に羽を生やした白い衣装の美男美女がズラッと整列!
かと思えば、


♬アラードール アラードール 黄金の翼よー(歌詞うろ覚え)


壮大に歌い上げる。
唐突すぎてぽかーんびっくり

え、ショーが始まった!?
これフィナーレナンバー!?!?

そして閉じる幕。
歌の中でお芝居が進行する訳でもなく、ただただキラキラして終わった。

訳がわからず、思わず笑ってしまったよね。
そんでもってこれが、演出の意図というか、今回はこんな風に進行していきますよー、っていう演出家さんの宣言なんだなと、何となく理解した。


古臭さを楽しむ。
長く宝塚を観てきた人にとっては懐かしく思えるだろうし、私みたいな新参者には一周回って新しい。

キャラクターが何かをばーんと言って、ジジャーーン、って音とともに幕が閉まるの。
壬生義士伝のそれはあんまり好きじゃなかったけど、今回違和感が無かったのは全部が全部、そういう作りだからかな。

いわゆる、テンプレとかお約束とかって言われるものを築き上げた時代の作品。
前面に押し出された昭和の香りから、私は長く続いた宝塚の層の厚さと歴史を感じた。
古き良きってのはこういうのを言うんだよ。


ストーリーもど直球。
再演するにあたっても全くひねらないところにやはり演出家の意思を感じる。

敵対する男女が会って、反発しながらも惹かれ合い、なんやかんやあって結ばれるという物語は多い。
だからこそ、いろんな要素を足して色をつけていくのが現代では必要だと思う。

ひかりふる路とか、金色の砂漠とか。
観劇中は演者が同じな分、特にひかりふる路との違いを勝手に感じて勝手にあれこれ考えてた。


台詞回しも簡潔で、キャラクターの性格、考え方、行動はかなり分かりやすく、追っていきやすい。
みんな動作や口上は大仰なのに中身はサラッとしてる。
複雑じゃない。
唯一難解なのはファルコくらいかな。


私は毎回観劇のたびにこの登場人物は何を感じてるんだとか、その裏側を考えてみたくなる性癖があるんだけど、黄金の翼はそういう作品ではないんだろうね。

目の前で起こるあれこれをストレートに楽しみ、ストレートに萌えてニヤニヤするもんなんだと思う。
なので総括はただ一言


ごちそうさまでした!