10年以上勤めている会社の社長が悪性リンパ腫になってしまった。
小さな会社で皆の仲が良く、人望も厚い。
子どものまま大きくなった大人という感じの社長。
まだ40代だ。
癌の原因は恐らく有機溶剤で、10年以上の間、防護マスク等をせずに作業していたらしい。
業務ではなく、趣味で有機溶剤を使っていたので、屋内換気は家庭用の換気扇を回す程度。
そもそもリスクについてもあまり知らなかったのが本音らしい。
発覚の経緯は脇にしこりが出来たことを不思議に思い病院へ。
町医者では分からないからと、いくつか病院を紹介され、最終的に総合病院に回される。
CTを撮るもリンパが腫れていることしか分からずで、念の為生検に出したところ癌が発覚。
幸いにもステージ1だったので、すぐに抗がん剤治療に入るところだ。
従業員に自分の病状を説明している社長はいつも通りで、入院になるからノートパソコンのゲーミグマシンを買ってゲームしよう
大部屋で他人の弱音とか聞きたくないから個室にしよう
抗がん剤の副作用で毛が抜け落ちるから毛穴のデトックスになる
抗がん剤の副作用で味覚障害が起きるから逆にどんな味に変わるのか楽しみだ
抗がん剤の副作用で体がダルくなるらしいから、どれだけダルイ中でも動けるのか実験しよう
と、過去に癌を宣告されてきた自分が見てきた人達の中でもダントツに明るかった
明るかったというか、これからの治療や検査を楽しみにしてるようにも見えた
確かにもともと明るいというか、全てポジティブに考えるタイプの人ではあるが、癌が怖くない訳ない
ふとした瞬間に恐怖も垣間見える
・癌について調べ倒した
・とはいっても癌だから死ぬ可能性もあるし
・こういう病気だからね
最初から病を受け入れるモードに切り替えようとしているのだと思う
本人が本当はどう思っているかは他人に分からないけど、怖くない訳がないんだなと感じることは出来る
これが自分の場合だったらどうだろうか?
癌と告知される前から、この世の終わりのような心境に陥り、ご飯も喉を通らない状況になることは容易に想像できる
癌と告知されたあとは更に、自分は死ぬんだという感情に支配され、毎日泣き続ける情緒不安定な状況で、妻に泣きながら不安や恐怖についてずーっと愚痴ってるだろう
愚痴を吐くことで心が楽になるなら、吐いたほうが良い
聞かされ続ける方は勘弁してほしいと思うだろうが(笑)
だけど、社長は違った
癌かー
マジかー
抗がん剤ってどうなの?
へー、そんなにダルくなるなら、そのダルさに打ち勝ってみるか
治療期間中は免疫が下がるから人ゴミを避けないといけない。これは…家でズーッとゲームをしてられる口実ができたな
本心かどうかは置いておき、ポジティブに捉えてポジティブなことだけしか口にしない
だからこそ
社長の周りにはいつも人がいて
癌になったと周りが知らされたときに本人以上に周りが本気で心配して
本人が気にしないように周囲が最大限の努力を自然とするのだと思った
自分もいつか大病をしてしまったら
恐怖や不安と上手く付き合いながら
社長のように治療を楽しめるようにしたい