やっと曼殊沙華の色が褪せてきました。
今日は10月10日。今年の秋のお彼岸は9月22日を中日として、9月19日から25日となりますが、彼岸の入りには咲いてもいませんでした。
私の記憶の中で、曼殊沙華の開花がこんなに遅い年はありません。
毎年、律儀に9月の半ば過ぎに突然と咲き始める曼殊沙華に「あぁお彼岸だなぁ」と季節を教えて貰ったものです。
夏が暑すぎました。曼殊沙華に限らず植物・生物の体内(季節)時計を狂わせたのでしょうか。秋の味覚の梨も不作だそうで、花も野菜も「変だ、おかしい、どうなっているんだ」と、聞こえない声で訴えていたのかもしれません。
生物の季節時計を狂わす程の猛暑。このまま進むと各方面で大きな影響が出てくる可能性があります。人も花も少しずつでも変化しないと、気候変動に置いてけ掘りにされてしまうかもしれません。
さて曼殊沙華。正式な名は「彼岸花」です。ヒガンバナ科ヒガンバナ属の花であり、前述のとおり秋の彼岸頃に突然と茎を伸ばし開花します。葉はありません。種子も作りません(株分けで増えていきます)。最近はヒガンバナの群生地が観光名所にもなっているようですが、イメージは少し不気味な花です。別名に「死人花」とも呼ばれることもありますが、そもそも毒性を持っており、古の人達は埋葬地に植えることが多かったのです。昔は土葬ですからモグラや鼠が死人を荒らすことがないよう、根に毒を持つ花を植えたとされます。他には田んぼの畔みち。同様にモグラや鼠の被害を畔で止めて稲を守ろうとしたのです。見た目も他に類を見ない形状ですから、不気味な印象が付いてしまったのでしょう。
別の視点でも・・「恋の花なら曼殊沙華」二葉あき子さん美空ひばりさんの歌です。「赤い花なら曼殊沙華」三沢あけみさんの歌です。若い人には「?」でしょうが、何れの歌も女性の悲恋や悲しい境遇を歌ったものです。細く儚げでいて深紅の花を付け群生する様は、作詞家に情念を感じさせる花と映ったのでしょう。
それにしても、来年は彼岸に咲いておくれ。
(雀)