顧客が理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化する中、厚生労働省は労働施策総合推進法を改正し、従業員を守る対策を企業に義務づける検討に入りました。今後、「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に対策の方向性が盛り込まれる見通しです。

ニュースでも取り上げられる「顧客からの行き過ぎたクレーム」での、受けた側の精神的な苦痛は大変なものでしょう。

 メーカーは製品を売り出す際に、原価として研究開発費に係る費用の他に、製品の持つ機能等の付加価値を加味して、販売価格を決めていきます。それを販売する店舗では、販売価格の中に、店舗に使った資金や、綺麗にデイスプレィする費用、販売員に拠る商品説明や、場合によっては顧客への「お愛想」などの付加価値が含まれています。しかし、製品自体に問題があったり、商品説明に齟齬があったりした場合、消費者は、(諸々の付加価値が上乗せされた)商品に対して「思っていたものと違う」と感じ、クレームを入れるケースが生じます。対象がサービスそのものであれば、「満足出来なかった」場合にクレームになる可能性があります。販売側に常に「利益が加算」されている(当然な)ことに、顧客側は無意識であっても「バランスがとれていない」と感じていることが原因です。

 勿論、理不尽なクレームや、社会や世間に対する不満を「ここぞとばかりに」相手にぶつける「勘違い・腹いせ」クレームは論外です。

気を付けないといけないのは、製造や販売をする側の付加価値に相当するであろう「機能やサービスが不足している場合」に、その不満に対するクレームまで「カスハラ」と反論され、一方的に顧客(カスタマー)側が糾弾されるリスクがあるということです。

 今後、法整備が進んだ場合、自らに非があるケースであっても、それを棚に上げて相手側に「〇〇ハラスメントだ!!」と騒ぎ立てることになれば、製品やサービス自体の「質が下がる」ことに繋がる可能性があります。

 「不適切にもほどがある」という宮藤官九郎氏のドラマを楽しく見ていましたが、顧客側も製造する側・販売する側も「適切と不適切の境目」、更に言えば「常識と非常識の境目」を自覚する必要があるのでしょう。でも、これが難しいですよね。ん?こんなこと考えること自体が既に「昭和のオヤジ」なんでしょうか(>_<)。

                                                                         (雀)