NHKのプロジェクトXが新たに始まりました。今度は平成から令和に掛けての、歴史の陰に隠れた人々の努力と成果のドキュメンタリーです。第一回は東京スカイツリー。2008年7月着工、2012年2月竣工。延べ58万人の人間が工事に参加しました。中心に五重塔と同様に心柱を建て、37000の鉄骨パーツを組立てた634mのタワーです。勿論、電波塔として世界一の高さを誇ります。この偉業は、現場の総責任者から各部門の職工の一人一人の苦労の賜物として完成しています。完成間際の2011年3月11日午後2時過ぎ、鳶の20人は600m近い高さのゲイン塔(最上部の通信アンテナ部分)の取付け作業を行っています。そして東日本大震災。彼らは高さ600mの剝き出しの現場で横に5メートルも揺られました。全員避難の緊急放送の中、一旦は第二展望台まで避難します。しかし、塔本体にゲイン塔を固定するボルト止めが終わっていません。余震の続く中、彼ら20人は全員が再度頂上を目指します。死の恐怖の中、万一ゲイン塔が余震で落下した場合の被害を考え、最後のボルト止めに向かうのです。

人は行動の基準を持っています。命令や指示、善悪や損得も基準になります。しかし最後は使命感かもしれません。彼らは命を賭して自らがやるべき使命を実行したのです。

巷間では議員の先生達が裏金を作って着服したと大騒ぎです。事務方や秘書がやったことで自分は知らぬ存ぜぬと仰います。その先生方は議員を何期か努めて位階勲等を受けるやも知れません。

私たちは知っています。本当に尊敬され褒め称えられるべき人達は誰であるかを。無名で人知れずであっても命を賭して使命を果たし、社会に多くの人に貢献した人達こそが相応しいことを。(雀)