米倉さんのドクターXで毎回

ガムシロを脳みそ活性とそのまま飲んでたけど

当時リアルタイムで観てた時も「あれはダメだろ…」と思っていた

よく医療ドラマで時間のない医者の食事がカップ麺だったけど

それもダメだろと素人の私でも子供の頃から感じていた

 

 

この本のおわりに、糖質ゼロ商品の開発が増えて(2015年発行)

著者は喜んでいたけど、糖質ゼロも罠とどこかで読んだ

こういう嘘商品で、この療法は効果なしと

間違った判断がされてしまうんだろうなと思う

塩も精製されたミネラルを抜かれたものでなければ

いくらとってもいいと言う

生きるための備蓄の参考に本文をどうぞ

備蓄がなくなれば、野草もあるので

野草図鑑や調味料(本物)を買っておくのをお勧め

 

 

以下本文より

 

 

「妊婦糖尿病はインスリンを使って完全に管理できる」

「糖質制限など絶対に認められない」

「ケトン体が上昇したら胎児が奇形、知能低下を起こす」

というのが学会の常識。

糖尿病の母から生まれた子は障害児が多いので

中絶してしまう妊婦もいる。

それは、今までの治療法の結果で生まれているのであって

妊婦のためにも、糖尿病患者のためにも

この間違いを正さなければならないと強く誓いました。

 

実はケトン体は、危険どころか

その後の研究では、小児の重症てんかんに対して

「ケトン食」として治療に使われ、有効性が証明されています。

また、脳神経系にとって、ケトン体は保護的に働くという文献が増えており

ケトン体は「脳に優しく大切な栄養源である」

ということも明らかになりつつあるのです。

ケトン体を「基本的なエネルギー源」として考える

新たな人間栄養学を確立しなければならないのです。

 

今までは、とにかく「ブドウ糖が大切な熱源、エネルギー源だ」

とされていましたが、実は人は、発生の初期には

ケトン体で生きていたということ。

もう一つは、ケトン体がこのように高値であっても

胎児が生きていけるのであれば、「ケトン体は危険である」

というこれまでの考えが否定されるということ。

何よりも「高ケトン体は奇形につながる」とか

「ケトン体が高いままで妊娠後期の管理をすると知能の低下を起こす」

とした論文が、いかに無意味なものかが即座に証明されてしまいました。

そしてこのことは、さらなる大きな命題に答えを与えることになります。

その命題とは、「人は主に何を食べて生きてきたのか」という問いです。

胎児も新生児もケトン体を熱源にしているのなら

乳児期以降の離乳食、また小児期の食事も

今のような炭水化物を中心にしたものは間違いではないか

という問いも出てきます。

いや、乳児や小児期の人だけではない、人は古来

ケトン食を中心に生きてきたのではないだろうか?

 

今の栄養学は正しいのだろうか?

 

こうして考えてみると、今の栄養学で言われている

炭水化物(糖質)を60%接種するという基準は

はたして正しいのだろうか、などなど、たくさんの疑問が起こってきます。

今、流行り始めている糖質制限は、たんぱく質や脂質を十分にとるように

促しているものが多く、これはすなわち「ケトン体を重視した食事法」を意味します。

そして我々が発見した「胎児、新生児の高ケトン体環境」を根拠にすれば

この食事法には、合理的な整合性があることになります。

さらにこれは、単に栄養上の問題ではなく

今人類が直面している医療をめぐるたくさんの課題にも

大きな影響を与えることになります。

 

糖尿病患者には、カロリーが高いから肉や油は少なくしなさい

と指導しますが、これらがまったく無意味な指導なのです。

血糖値は、カロリーとは無縁なのです。

糖質にあたるもの、米やパンをやめてもらうと、速やかに血糖値は下がって

7日目には血糖値150以下になってしまいます。

高カロリーのローストビーフやハムエッグを食べても血糖値は上がらず

どら焼きやアイスで上がるのです。

つまり、米やパンやパスタなどの麺類、お菓子類をやめれば

たちまち血糖値は正常化します。

摂取カロリーを下げて糖尿病を治そうとする学会や糖尿病専門医や

管理栄養士がごまんといますが、それがいかに無駄で無意味で

無知で馬鹿げてるかがよくわかると思います。

 

ケトン体は、心筋、骨格筋、腎臓など、さまざまな臓器で

日常的にエネルギー源として利用されています。

人体に日常的に存在しているもので、まったく毒性はありません。

ところが、一般に医者の誰に聞いても、ケトン体は悪いものであって

尿中にでも血液中にでもこれが出ていたら

飢餓か糖尿病の悪化かと言われてしまいます。

これほど無害で、大切な役割を果たしているものを

毒物や悪魔のように思っているのです。

 

ケトンエンジンの優れた点

 

食事をとらずにいるときのことを考えてみましょう。

糖質エンジンのほうは、体内に貯蔵している

グリコーゲンは200~300gくらいですから

わずか1000kcalくらいしか持ち合わせがありません。

ですから、体の外から補給しなければ

12時間くらいでなくなってしまいます。

それに比べて貯蔵脂肪は圧倒的にたくさんあります。

体重60キロで、体脂肪が20%の場合

12キログラムの脂肪がありますから

10万8000kcalにもなります。

このくらいの貯蔵量であれば、1日2000kcal消費しても

50日以上生活できることになります。

ですから、朝食を食べられなかったり

たまたま食事ができない日が続いても

心臓が止まったり、呼吸筋が止まったり

歩く筋肉が使えなくなることはないのです。

この「脂肪を使ったエネルギー」こそ、ケトン体エンジンなのです。

 

コレステロールも「無実の罪」をきせられていた

 

さて、ここまで見てきたような

「カロリーを制限すべき」の考え方や

「脂肪が糖尿病の原因」説など、間違った主張の根拠となっているのは

コレステロールが巨悪の根源と考える

「コレステロール悪玉説」です。

これは根強い支持を得ていて、今でもそれを信じている人が

国民の大半を占めていると思います。

ところが、ここへきて従来のコレステロール悪玉説が崩れつつあります。

コレステロールというのは、体内の主要成分であって

特に脳は、水分を除けば脂肪が40%を占め

さらにその30%がコレステロールでできています。

全身の3分の1のコレステロールが脳に存在しているそうですから

脳にとってどんなに重要な物質かがわかるでしょう。

コレステロールを下げる薬を飲むと、脳の活動が低下して

認知症やうつ病などが引き起こされることもわかってきました。

従来は、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化などの疾患は

「コレステロールが原因」とされていたのですが

最近になって、実は梗塞の現場にコレステロールが見つかっただけで

コレステロールは犯人ではなく、血管損傷の修復係であることが

明らかにされてきました。

火事の現場で見つかったコレステロールは、放火犯ではなく消防士だったのです。

ケトン体と同じ構造の、冤罪事件だったのです。

 

人間の身体は、食事でコレステロールをたくさんとれば

体内で合成を減らし、食事からとる量が少なくなれば

合成を増やしています。

体には調節性があって、たぶんどこかの学会よりも柔軟で賢いのが人体です。

薬で無理やりコレステロールを下げることは、この調節機能を壊すことになります。

しかし、日本動脈硬化学会は、脂質異常症の患者に対する

コレステロールの摂取制限を今後も継続し

見直しは現段階では考えていないというのです。(2015年11月発行)

 

脳はほとんどが脂質であり、コレステロールの集積所です。

脳に必要なコレステロール値を下げてしまうとどうなるのか?

 

医者に行くと、コレステロール220以上で異常だといって

コレステロール降下薬を飲まされる。

すると、まずいことに鬱(うつ)になるんですね。

非常に多弁だった人が無口になったりする。

そういう人が電車に飛び込んだという話をしていたら

実際に大学の精神科の先生とJR東日本が協力して

JR中央線で自殺した人を調べたんです。

その結果、9割が55~60歳で、ほとんどが男だった。

それが見事に全員、コレステロール降下薬を飲んでいたという。

 

コレステロール降下薬の年間売り上げは3千~4千億円ともいわれている。

その7割は女性が飲まされている。

女性は閉経後に必ずコレステロールが上がるからです。

もしコレステロール降下薬を処方されても、安易に従わず

捨ててしまうようお勧めします。

 

避けて通れない白米問題

 

日本で糖尿病を治療する際に

白米についてどう考えるかは非常に大切な問題です。

これをあいまいにして

「白米を普通に食べながら糖尿病を治そう」とするのは

実はまさに絵に描いた餅と言えるからです。

糖質の摂り過ぎが糖尿病の原因ですから

糖質量を減らすことが最大の治療です。

中でも、特に減らすべきものの中心は、精製された糖質である白米であり

さらに、急に血糖値を上げる砂糖水=清涼飲料水の2つです。

 

日本人は農耕民族なのか

 

日本糖尿病学会の権威の方たちがよく口にする言葉は

「日本人は農耕民族であって、西洋人は狩猟民族」ということです。

また、「農耕民族である日本人には脂質の多い食生活は向かない」

とか「日本人は農耕民族だからインスリンの分泌が少ない」

などということも言います。

この「日本人はインスリンの分泌が少ない」という主張がされる際には

よくグラフが使われますが、これはインチキみたいなものです。

なぜなら、この実験の際に

欧米人の場合は100gのブドウ糖が負荷されていますが

対する日本人は75gの負荷なのです。

分泌量が下がって当然ですね。

また、「日本人は農耕民族」という考え方は

人類史の観点から考えてもおかしいのです。

私は医者になる前には、大学で地質学を研究していました。

地質調査であちこち発掘してまわりましたが

遺跡からはクルミなどの木の実や動物や魚の骨などがたくさん出てきたのを

繰り返し見ています。

そのような事実から言えば、人類は、誕生からある時期までは

ほとんどの時を狩猟、漁労、採集を中心として生きてきたのであり

農耕が始まったのはごくごく最近の出来事です。

日本人だけが昔から、農耕をしてきたわけではないのです。

 

何度かの発掘で、約5500年前の遺物層が約60センチの厚さで検出され

その中にはドングリ、クルミなどナッツの種子層、魚骨やウロコなどの魚骨層

淡水産の貝殻の貝層が確認されました。

その堆積状況から、秋に採取した森の食べ物を

秋から冬にかけて食べ、春には三方湖で魚や貝をとっていたこと

夏は若狭湾に回遊するマグロ、カツオ、ブリ、サワラなどの海水魚をとって

食べていたことがわかり、季節に応じた食生活の様相が明らかとなりました。

 

この頃に特に多く食べられていたと思われるクルミには

糖質はなく、脂質がほとんどです。

ですから、実際上はタンパク質と脂質で80%にもなります。

炭水化物としては20%ぐらい含まれていますが

その中には食物繊維も多く、糖質はあるものの

現代人が食べているような瞬時に血糖値を上げるようなものはありません。

過酷な環境にあったと思われるだけに、エネルギーの消耗も多く

この長い時代には、飢えとの闘いが主だったと思われ

この時期のほとんどの人は、ほぼケトン体だけで生きていたものと思われます。

もちろん、肥満やメタボなどには縁がなかったことでしょう。

人体には本来、穀物に依存して生きるような遺伝的システムはないのです。

 

日本に人が住み着いて3万年くらいの時間が経っていて

縄文時代の終わりから弥生時代に米が伝わり

作られるようになるまでの過程は先に見てきたとおりですが

日本で米が作られるようになったのは、ほんの3千年くらい前のことです。

しかし、それ以降も、日本人がいつでも腹一杯

お米を食べていたかというと、そんなことはありません。

江戸時代には、稲作は特に盛んになりましたが

お米は今の貨幣のようなもので、武士が管理していて

農民、庶民が普通に食べられるものではありませんでした。

200年くらい前になっても、庶民は米を食べられませんでした。

北海道の屯田兵の食事にも、麦や粟やひえが主体であって

「お米を浮かべて食べた」という記録が残っています。

明治時代には、日清戦争で兵隊を集めるために

「お米を1日6合食べさせる」という誘い文句で徴兵し

それが成功してたくさんの兵隊が集まったという逸話があることからも

当時の庶民にとっていかに米が魅力的で、価値あるものであったかがわかります。

とはいえ、つい最近まで米は生産量も低く

すべての国民が食べられるような量は作れませんでした。

お米が日本中に行きわたって誰でも食べられるようになったのは

秋田の八郎潟の干拓が終ったころと言いますから、1960年ごろのことです。

多くの研究で、だいたい第二次世界大戦後になって

やっと米が「主食」になったと言われています。

白米を銀シャリと呼び

「腹いっぱい食べて死にたい」という言葉も残っているように

お米を食べることは、庶民の憧れでした。

麦や粟、ひえには

「食べすぎて死にたい」などという言葉は残っていません。

お米がいかに貴重なもので

庶民の手に入らないものであったかを知る言葉です。

 

米を大食いする村は短命

 

若いころから、お米ばかりたくさん食べていた人は

みんな若死をしてしまうということです。

例えば東北地方の米どころの生活ならば、みんなそれです。

中でも特に一番短命なのは秋田県ですが

ここの米どころの人は、白いご飯を大食いします。

しかも塩辛い大根の味噌漬け、なすの味噌漬けなどをおかずにして

まっ白いご飯を驚くほど、たくさん食べます。

塩気がなかったら白いご飯を大食できるはずはありません。

こういう食事を若い時からやってきた人は

みんな40歳ごろから、脳溢血(のういっけつ)で倒れます。

結局これが、そうした村の短命な原因です。

また、志摩の海女が長生きなわけは

志摩ではお米がとれないので

イモや麦を主食として大豆、野菜、魚、海藻などを食べるからだそうです。

彼女たちが、甘いお菓子が食べたいというから差し出すと1つしか食べません。

実はのどから手が出るくらいほしいようなのですが

それを食べたら「アワビをとる時、お腹が重苦しくてとれないから」

と言います。

海女の仕事を通して、お菓子が体によくないということを知っているのです。

 

また、日本の脚気(かっけ)の話も有名です。

脚気はビタミンB₁の欠乏によって起こる病気で

江戸時代に、白米を食べる習慣が普及した層で急速に増えたと言われています。

かつて日本では平安時代ごろから

京都の皇族や貴族など、上流階級を中心に脚気が発生していました。

そして江戸時代の江戸では、精米された白米を食べる習慣が広まったため

将軍をはじめとした上層武士に脚気患者が増えます。

徳川13代将軍家定は、脚気による心臓発作で35歳の時に亡くなっています。

続いて14代将軍家茂も、その夫人(皇女和宮)も

脚気で死亡しています。

脚気は、元禄年間には一般の武士にも発生し、やがて地方に広がり

また、町人にも大流行し、「江戸わずらい」と呼ばれます。

自分の領地では貧しさから白米を食することのできなかった地方武士も

江戸へ上がると白米を主食としたため

江戸在住期間が長いと、この病になる例が多かったようで

そのために「江戸わずらい」と呼ばれたのです。

 

明治になってから、脚気は国民病としてますます流行するようになります。

ところが、この病気は、世界では日本以外の国では見られない病気でした。

完全に精米された白米が安く手に入るようになったことが関係していたようです。

ビタミンB₁は米ぬかや麦などに多く含まれるからです。

さらに、この脚気の流行は、徴兵制で採用された軍隊で顕著でした。

そのため国家的な大問題となったのです。

明治6年(1873年)に公布された徴兵令の目玉は、先にも触れましたように

兵隊には1日6合の白米を食べさせるという特典でした。

これはとても魅力的な特典でした。

しかしこのため、脚気は帝国軍人の職業病となったのでした。

海軍の軍医となってイギリスに留学していた高木兼寛らは

脚気の原因を、白米中心の食事にあるのではないかと考えました。

麦やそばを食べると治ってしまうからです。

一方、陸軍の軍医総監だった森鴎外は

脚気をドイツ医学の流れで「細菌感染が原因だ」と考え

海軍の米食由来説を徹底的に非難してこれをしりぞけ

その結果、陸軍は多大な犠牲者を出します。

陸軍が「白米6合」をやめ、麦3割の兵食を採用したのは

海軍から遅れること実に30年の、大正2年(1913年)でした。

脚気は大正期以降も、精米された白米が普及するにしたがって

さらに多くの患者を出し、結核とならぶ二大国民病と言われることになります。

 

当時、日本の医学はドイツ医学が主流でしたが

海軍の医学だけはイギリス流でした。

英軍海軍はもちろん洋食ですが、それに比べたら日本海軍の食事は貧弱でした。

将校はまだいいほうで、水兵はほとんどタンパク質がない食事だったのです。

そして脚気は将校にはなく、水兵に多かったのでした。

明治16年(1883年)に天皇が脚気になった折に

高木は自説、「脚気は炭水化物をとりすぎ、タンパク質の不足で起こる」

を天皇に拝謁(はいえつ)して奏上(そうじょう)しています。

このことがきっかけで、海軍は兵食を思い切って洋食に変えるのです。

しかし、陸軍は先に述べましたように

この考えを受け入れず、細菌説を主張したまま、日清戦争に突入します。

戦地には白米だけが送られました。

日清戦争では戦死した人は453人、ところが4万800人もの人が脚気になり

そのうち2410人が死亡したのでした。

続く日露戦争では、無謀な攻撃でたくさんの戦死者を出しましたが

戦死者が4万7000人だったのに対して

脚気患者は21万2000人、うち2万8000人もの人が

脚気により死亡したのでした。

国民の脚気死亡者数は、大正末期には年間2万5000人を超え

昭和期に入っても、日中戦争の拡大などで食糧事情が悪化する

1938年(昭和13年)までは、毎年1万~2万人も死亡しています。

1000人を下回ったのは、やっと1950年代後半のことでした。

1950年(昭和25年)で3968人

1955年(昭和30年)は1126人

1960年(昭和35年)は350人

1965年(昭和40年)は92人

という具合です。

 

米食ではなく、洋食が解決の道を開いた

 

日本の医学者たちは、麦飯の採用によって脚気克服の道を実証的に確かめ

新しい栄養素ビタミンB₁の発見の道を確実にたどっていました。

しかし、本来その成果を担うべき東大医学部と陸軍医務当局の人々こそが

麦飯派や米ぬか派を弾圧して、その研究の道を閉ざしてしまったのでした。

当時、「麦飯が脚気に効くという事実」をすみやかに認めていたら

この研究史は変わっていたでしょう。

海軍で洋食、カレーを普及させた高木は

のちに慈恵会医科大学の創始者となりました。

残念ながら、今の慈恵医大の教授は「和食は世界に冠たる健康食、長寿食」

などと言って、いつのどの和食がそれにあたるのか

まったく実証もなく唱えていますが

日本の国民病だった脚気を解決したのは

米食一辺倒だった当時の食生活に洋食をとり入れた

慈恵医大の創始者の高木の優れた卓見なのです。

こうした歴史から学んでほしいものです。

 

脚気をめぐる研究史を見ると

それが「科学研究」というよりも、派閥や権力争いによる

ドロドロした人間くさい対立だったことがわかります。

事実をきちんと見ない研究者たちが権力をにぎったために

解明には時間がかかり、多くの犠牲者を出したのです。

しかも、「白米だけを食べていたら健康が破壊されてしまった」

という栄養学の貴重な歴史は

昨今の糖尿病への糖質制限治療導入の是非をめぐる議論とよく似ています。

 

患者の体調が確実によくなる糖質制限食に

実践もしないで攻撃を加え、事実に目を向けない権威が存在します。

このことは、脚気論争の当時と何も変わっておらず

その思考過程は、不思議としか言いようがありません。

白米ばかりを食べて命を落とす、という病気の原因が

つい100年前にはわからなかったのです。

良いと信じるものばかりを食べて、命を落とす病気になる。

この事実は、いかに食べ物が大切かということを示しています。

そして、「古くから食べていたものではならなかった病気に

文明が作った新しい食べ物を食べて罹る」という貴重な経験が

脚気をめぐる研究史には存在します。

こういった、「食べ物の何が必要で、何が大切か」

ということがわかってきたのは、実はかなり最近のことであり

また、まだわかっていないことも多いのですが

こうした貴重な歴史を、日本ではあまり教訓として学んでいません。

 

糖尿病にとっての白米とは何か

 

「お米はのど元過ぎたら砂糖と同じ」

と言ったら、びっくりしますか?

前の節でも少し述べましたが、栄養学的には

お米は砂糖と同じなのです。

お茶碗1杯のご飯を150gとしますと、糖質量は55gで

これは角砂糖に換算すると17個分にあたります。

そういって説明しますと、拒否反応を示す方が多いことは

よくわかっています。

「いや、米と砂糖は違う。お米は血糖値を上げるのはゆっくりであり

砂糖は速く上げるから、違うものである」

そういうことを言う方もいます。

 

この2つの食べ物は、血糖を上げる点では同じですし

長い時間高い点でも、ご飯と砂糖は甲乙つけがたいものです。

ただ、いわゆるペットボトル症候群というものがどんなものかはよくわかりますね。

砂糖水は、瞬時に高血糖にしてしまうのです。

覚えてほしいのは、ご飯と砂糖水は

1時間後には同じレベルの血糖値です。

さらにご飯は長時間、高い状態が続きます。

これを見ると、お米がいかに優れた「精製糖質」であるかということがわかります。

 

お米は気が付かないで大量にとれる砂糖なのです。

甘くないので、無意識のうちにたくさん食べられる。

これは食パンやパスタにも同じことが言えます。

それほど甘味がないのに、体に入れれば

その成分は砂糖と同じだということを忘れてはなりません。

このような米が持つ魅力、魔力が、その普及とともに

糖尿病をはじめとしたさまざまな病気を引き起こしているのです。

ふと気が付くと、「糖」という字は

なんと、木偏でも肉月でもなく米偏です。

まだ医学が米の成分を解明していなかった時代から

この字が使われてきたのです。

米が糖になるというのは素晴らし着眼です。

 

また、白米はそのほとんどが糖質であって

そのほかのタンパク質や脂質はほとんど含まれていません。

お米を食べて栄養をつけてと言っても

ほとんどが糖質ということになり、実際は、砂糖をとっているのと同じになってしまいます。

精米することで、ビタミンB₁をはじめビタミンはほとんどなくなってしまいますし

ミネラルやタンパク質も「主に食べる」食べ物としては不足しています。

バランスがよい食品の中心にしておくには、大いに疑問です。

また、お米には味がほとんどないので、塩味の副菜をたくさん食べることにつながります。

たとえば塩辛や明太子などは、ご飯とセットで考えられる食品です。

セットにすると食が進んで、何杯もおかわりをして食べてしまいます。

塩分と糖質をセットで多量に摂取することで、血圧も上がることになってしまうのです。

 

私たちは、疲れていると甘いものがほしくなります。

そこで、ケーキやスイーツを食べてしまいます。

そうすると、疲れがとれたような気がします。

毎日ペットボトルで1本以上は、炭酸飲料やジュースを飲む人も多いでしょう。

コーヒーに必ず砂糖を入れる人もいます。

「おいしい」と思う快感の中に、マイルドドラッグが働きます。

砂糖はその中でも、中心的なマイルドドラッグです。

砂糖の消費量が多いほど、脳の働きが悪くなるという傾向も指摘されています。

こうした砂糖の過剰摂取は、攻撃的な行動や、不安、イライラ、焦り

集中力の欠如などを起こすことが知られており

血糖値の乱高下が心身の不安定につながると言われています。

ここで理解していただきたいことは

白米や砂糖のすべてが「悪」だというわけではありません。

食べ物の性質を正確に知っておくことが大事なのです。

白米は食べたら急速に血糖値を上げること

それは砂糖と同じだけの威力があること

そして糖質には依存性があるということです。

それを知らないで

糖尿病をはじめとした成人病を治すことは、大変難しいということです。

 

「お米はヘルシー」「やっぱり日本人だからお米はやめられない」

「お米を食べないと、力が出ない」これらは本当のことでしょうか。

そう思い込んでいるだけ、という可能性を、考えてみてください。

白米に対する幻想から醒めて、もう一度白米との上手な付き合い方を

見直す時が来ているのではないでしょうか。

 

マッチポンプの医学にだまされるな

 

日本糖尿病学会の重鎮であるM先生は

「糖尿病は増えているが、それは砂糖やお米ではなく

脂肪の取りすぎが原因だ」と強調します。

そして大切なのは食後高血糖を抑制することだと言います。

しかし、食後高血糖の最大の原因は、お米と砂糖です。

ところが「米や砂糖を摂取してもよくて、食事は和食がいい」と言うのです。

それでは結局は、食後血糖値は上がって、インスリンが多く追加分泌し

肥満が進行し、インスリン抵抗性が増し、糖尿病が進行します。

食事で悪化する病気ですから、食事で治せるはずですが

それには触れず、当然のように薬剤を使うことを推奨します。

 

日本の内科医、糖尿病専門医と称する方々のほとんどが

「お米を食べて糖尿病を治そう」とか

「お肉はササミがいい」「卵は1日1個だけ」など

根拠もなく、食後血糖値を上げないものを否定し

高血糖になる食べ物を平気で推奨していることに怒りを感じています。

そう、これは「マッチポンプの医学」です。

マッチポンプとは

「マッチで自ら火事を起こして煽り、それを自らポンプで消す」

ことで、原因を作り出しておきながら

そ知らぬ顔で立ち回り、その解決、収拾役も自ら担うときに用いられる表現です。

食事指導が大事と言い、バランスよくと称して糖質をたくさんとらせた上で

薬でしか治療できないと言います。

そしてそのことによって多大な利益を得ているのです。

これは大いに疑問ですし、また、そのような治療を勧められても

もう気が付かなければいけません。

だまされてはいけません。

 

アメリカ、イギリス、スウェーデンをはじめ諸外国ではすでに

糖質制限を糖尿病治療などの選択肢の1つにして取り入れて

成果を上げつつあります。

これに対して、日本糖尿病学会は、糖質制限を現時点でも勧められないとしています。

理由は、長期的な食事療法としての遵守性や

安全性などについて担保するエビデンスが不足していること

そしてケトン体が危険だ、ということからです。

ケトン体が安全であることは、本書で繰り返し述べてきたとおりですし

長期的なエビデンスがないことは、日本糖尿病学会が推奨する

「カロリー制限食」においても同様でしょう。

さらに、妊婦の場合には妊娠は短期的に収束しますので問題ありません。

根拠のない食事法で、しかも結果が出ていない

「カロリー制限食」だけが推奨されるのは異常です。

これに対して、糖質制限食は

100人が100人、結果を出しているのです。

たくさんの患者さんが、現行のカロリー制限食と薬物療法では

よい結果が出ておらず苦しんでいます。

糖尿病が原因の透析患者はこの25年間、毎年同じ割合で増え続けています。

 

透析患者になる時、多くの医師が言う言葉を知っていますか?

「透析をすれば、何でも食べられますよ」

「甘い物も大丈夫です」しかしそれは嘘です。

透析をしていても、糖質を減らした方が、長く生きられます。

しかし、たいていの医師はそんなことは言わないのです。

インスリン治療をしている患者にも同様です。

こんなに悲しいことはありません。

一方で、本書でご紹介した多くの実名入りの患者さんは皆さん

糖質制限で見事に糖尿病を管理し、改善しているのです。

動物実験や、統計学的な検定を見るまでもなく

1人残らず改善するこの方法を、早く正式に選択肢の1つとして認めて

多くの患者さんを救ってほしいものです。

 

赤ちゃんがケトン体で生きていること

タンパク質や脂肪を栄養にして赤ちゃんたちが育ってきている

ということがわかれば、今の糖尿病治療、日本の食事の栄養摂取基準

こうしたことが皆おかしいということが

見えてくるのではないかと思います。

赤ちゃんはケトン体で生きている。

ケトン体こそが人類を救う。

 

2015年10月