ある日

私はずいぶんと悲しかった

何かをしたわけではない

外側の出来事を知っただけだった


外側の出来事は

不思議と内側まで浸透していて

そのカラクリに

驚きを隠せなかった


体は重だるく

目は閉じてくる


しかし

悲しみは別に悪いことではない

人間だからだ

悲しみをなんとかしようなど

考えてはいけない

痛みは何のためにあるのだろう

と呟いた


ほんとうの幸せを今ここに

痛みが癒えぬうちから

歩き出す

風にも晒し

刻みながら歩く

それぐらいがちょうどいい


風よ吹け

湿り気を飛ばしながら

軽やかな鈴の音を鳴らす


再び

歩みを止めるまで

葉を揺らし

姿を知らせ

どうか共に








2023.8.2