今日は土曜日なので、早朝から仕事のため神戸へと向かっていた。
すると…
中学生と思われる制服を着た子どもたちが、駅やら電車やらにウジャウジャといるのである。
これはもしや…と思ってスマホで調べてみると…
やはり今日は、関西の私立高校入試が始まる日…ということだったのである。
関西の雄である灘高等学校も、今日と明日の2日間にわたって入試が行われるとのことだ。
そうなると自然、私の心も…私自身が高校受験をした1988年2月へとタイムスリップしてしまう。
現在は大学生である我が息子二人…
かつては彼らの中学受験に対して、親としてかなりRED HOTな感じで取り組んだ私ではあるものの…
私個人の人生を振り返った時に、最もRED HOTだったのは…何を隠そう高校受験だったのである。
そう、私は…ほぼ親にやらされた体の中学受験に失敗し…
その後、自らの意思で一念発起し…私立高校受験にガチンコ勝負を挑むこととした。
とは言っても…
私は早稲田大学か慶応大学の附属高校に進学することを目指していたから、真の意味でトップオブトップを狙っていた訳ではない。
そしてそんな私は、早稲田大学高等学院、慶應義塾高等学校、慶應志木高等学校の3つに合格し…早稲田大学高等学院に進学することを決定していたのだった。
しかし…この受験シーズンにおいて私は
チャレンジ校として受験していた、御三家である武蔵高等学校に合格したことから…
当初の予定を変更し…
武蔵高等学校へ進学することとなり、そこから最終的には医師となって現在に至る…そんな訳である。
まあここで私は別に、高校受験に成功したとかいう自慢話を…確かにしてるかもしれないのだが、今回は決してそれが本題という訳ではなく…
単純に私は…その時
結果として武蔵高等学校に進学したからこそ、その後医学部へと進学し、現在は医師として生きることになったのであって…
もし仮にその時、早稲田大学高等学院に進学していたとしたら…
そのまま早稲田大学へと進み…
おそらくは今頃サラリーマンとして生きていたであろう…ことに間違いはない訳である。
じゃあ果たして、そのどちらが私にとっては幸せだったのか?
現実のシナリオ通り…
御三家の武蔵に進んで、医師になった今の私の方が幸せだったのか?
はたまた早稲田に進んで、一流企業に就職して出世していく方が幸せだったのか?
まあ正直なところ…
どっちでも良いのである。
結局のところは、自分自身が幸せになれるかどうか…
つまり、「幸せとは何なのか?」という問いに対する答えを捻出することが出来るかどうか…
人生とはそれに尽きるのだから。
その時の入試に合格するかしないかとか…それ自体は正直あまり大きな意味を持たない。
そう…
その入試における試験問題を解けるかどうかが重要なのではなく…
あくまでも「幸せとは何なのか?」という問題を…
自身の生涯において解けるか否か…
それが全てなのである。
そういう意味においては…
今の私は、その答えを出したつもりではいるし…
実際に今日関西の私立高校を受験する中学生諸君に対して、誠にエラそうなことを言っている訳だが…
まあ人生というものは、中々そうシンプルには行かない訳であって…
そう…
本日の神戸での仕事においても…
帰り際の書類仕事に、私はついつい手抜きをしてしまった…
はぁ…
そんな自分に相当な自己嫌悪を抱きながら、やけ酒のビールをあおっているという今の私がいるのも確かなのである。
それが何かと言うならば…
医師であれば誰しもが書くであろう「介護保険主治医意見書」という…
もう、何の意味を持つのかすら分からない、でも介護認定において形式上は必要不可欠となる書類…
「なんでこんなん書かなあかんの?」…と、いつも思ってしまう書類
そう、なんせ…
とにかく本質的なもの以外を極端に嫌悪する私は、昔からこのワケのわからない事務的な書類を書くのが大嫌いなのだが…
それでも医師をしている以上はこれを回避することが出来ないし…
いつもそんな嫌悪感を押し殺しながら、この書類を記載しているという訳だ。
それでもついつい…
帰りの電車の時間が迫っているとか…
早く娘に会いたいからさっさと仕事を終えたいとか…
そんな状況では、「もういいや!」みたいな感じで適当に記載してしまう。
今日がまさにそんな日…だった訳である。
だから…
どれだけ高校受験に成功しようとも…
医学部に進学して医師になろうとも…
世間的には勝ち組とされるルートに乗ろうとも…
そんな流れに乗って、今やベテランとされる50過ぎのオッサンになろうとも…
結局のところは、いつまでたっても未熟な自分自身と向き合わなければならない…
自己嫌悪と闘いながら自らをアップデートしていかなければならない…
そんな切ない真実を…
かつての私がRED HOTで臨んだ高校受験という…
関西でそんな熱い闘いが行われる今日という日に…
成功とは何なのか?失敗とは何なのか?
そして、幸せとは何なのか?
そんなことを改めて考えざるを得ない…
私なのであった。