抗議及び申入書
当組合は、貴社のこの間の前委員長に対する残業禁止命令、すなはち退職に追いやるための兵糧攻めに対して、再三再四抗議しその撤回を求めてきた。貴社の兵糧攻めによって、家族の生活を守るため、前委員長は退職せざるを得なくなっている。当組合は貴社に対して、貴社が直ちに前委員長が退職せずにすむような措置を取るように強く申入れます。
           
               記
             
当組合は、12月8日の団体交渉において、「残業をさせない貴社の業務命令によって前委員長が生活できなくなっている、貴社が前委員長を退職に追いやろうとしている」と抗議し、その「業務命令の取り消し、ないし生活できる残業時間を保障する配転を直ちに行うように」と要求し、その回答を12月10日までに文書でするように求めたのであった。貴社は、この当組合の要求を無視して回答せず、前委員長が退職せざるを得ない状態に追い込んでいる。当組合は、この組合つぶしの不当労働行為に厳重に抗議する。貴社は12月17日までに、前委員長に残業させるなど生活できるようにし、退職しないですむ措置を取るように要求する。貴社が当組合のこの当然で切実な要求を踏みにじるのであれば、当組合は貴社に対する争議を拡大することを通告する。尚、この抗議及び申入書に対する回答は12月17日までに文書で行うこと。                            
以上

S事件(平成27年(不)第7号事件)命令要旨

更新日:平成28年10月31日

1 事件の概要

 本件は、会社が組合員1名に対し、経験のない部門への配置転換を命じたことが不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。

2 判断要旨

(1)配転命令は、不利益な取扱いに当たるかについて

 配転命令により組合員の職務等級に変更があったとの疎明はないものの、配転命令によるマネージャーから主任への変更は、実質的には降格ということができる。

(2)会社が配転命令を行った理由について

ア 配転命令について、新店開店が直接関連しているとは認めがたく、生鮮センターの鮮魚部門を増強するとの会社方針との直接の関連性についても疎明がなく、配転命令が新店開店への対応と生鮮センターの増強という会社方針の一環であるとの会社主張は、不自然との疑念を拭えない。

イ 社内での人材育成をどのような方針で行うかは、原則として、会社の裁量によるものであるところ、様々な分野を経験させたいとするジョブローテーションの方針自体は不合理とはいえない。また、従業員が異なる部門へ異動した事例があることについては、当事者間に争いはない。
 
しかしながら、組合員は入社以来グロッサリー部門のみを担当しているところ、会社は組合との団交において、たまたまジョブローテーションに入った旨述べるのみで、具体的な人事方針や運用方法について言及しておらず、会社が主張するジョブローテーションの運用実態は不明瞭で、恣意的に運用された可能性が極めて大きいといわざるを得ず、ジョブローテーションの一環であるとの会社の主張は採用できない。

ウ 会社は、グロッサリー部門で評価の低い組合員の評価を高めるためである旨主張する。しかしながら、会社は、組合員の評価は低いとしながら、同一部門に10年以上にわたり配置しており、この時期に全く経験のない部門へ異動させる必要があったのかは疑わしい。
 
また、会社が、組合員以外の評価の低い従業員をその評価を高めるために異なる部門に異動させたとの事実の疎明もなく、会社の主張には理由がない。

エ 以上のことからすると、配転命令は、会社の恣意が入る余地が大きい中で、具体的な業務上の必要性が明確ではなく、人選の相当性などの合理的な理由も認められない。

(3)配転命令当時の労使関係と組合員の組合活動について

 配転命令当時、組合と会社との間には激しい対立関係があり、組合員は積極的に活動しており、会社は、活発な組合活動が行われていた配転命令当時、組合及び組合員を好ましからざる存在と認識していたと推認できる。

(4)以上を総合的に判断すると、配転命令は、労使対立が激しい中で、人事権を恣意的に行使することにより、積極的に組合活動を行っていた組合員に対し不利益取扱いを行ったものといえ、また、これにより、組合員の組合活動を萎縮させ、組合の弱体化を図ったものであって、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である。

3 命令内容

 誓約文の手交

※なお、本件命令に対して、会社は、大阪地方裁判所に取消訴訟を提起した

1.S事件(平成27年(不)第6号事件)命令要旨

更新日:平成28年10月31日

1 事件の概要

 本件は、会社が組合員に対し、無断欠勤等を理由として懲戒処分を行ったことが不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。

2 判断要旨

(1)本件懲戒処分の根拠や程度、手続について

 会社は、本件懲戒処分について、就業規則上の減給や賃金規則によるものではないと主張する一方で、本件懲戒処分通知書には規律違反名として就業規則の当該条項を挙げており、会社主張は整合していない。
 また、本件懲戒処分の手続についてみると、懲戒処分という不利益処分を行うに当たっては、組合員に弁明の機会を付与するのが相当であるところ、付与したとの疎明はなく、弁明の機会を与えないことは手続上も問題があるといわざるを得ない。
 以上のことからすると、本件懲戒処分は、就業規則に則ったものではなく、手続上も問題がないとはいえない。

(2)組合員の欠勤を無断欠勤としたことは合理性を有するかについて

 まず、会社では欠勤届に係る書式はなく、承認申請の前提となる所定の届出手続が定められていないのであるから、会社が承認しなければ「無断」欠勤になる旨の会社主張には理由がない。
 
次に、会社は、組合による争議行為の通告は適法要件を欠き、無効である旨主張するが、組合員の欠勤は、争議行為によるものと解すべきであり、会社主張は採用できない。
 
また、会社は、組合員の欠勤については、根拠となる診断書の提出がなく、届出がない旨主張するものの、少なくとも体調不良を理由とするものであったことは認識した上で対応していたといえる。
 
以上のことからすると、会社が組合員の欠勤を無断欠勤としたことには、合理的理由がない。

(3)本件懲戒処分当時の労使関係について

 組合員は、組合と会社が激しい対立関係にある中で、本件配転命令に異を唱え、組合の闘争手段としての争議行為に参加し、争議行為として欠勤を続けていたといえる。

(4)以上を総合的に判断すると、本件懲戒処分は、労使対立が激しい中で、会社が、組合活動としての争議行為により欠勤した組合員に対し、合理的根拠もなく、手続においても問題があるまま、懲戒処分を行い、組合員に不利益を与えたものといえ、また、これにより、組合員の組合活動を萎縮させ、組合の弱体化を図ったものであって、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である。

3 命令内容 

(1)懲戒処分がなかったものとしての取扱い及びバック・ペイ

(2)誓約文の手交