ALS(筋萎縮性側索硬化症)について
新薬AMX0035が米国で認可審査中ですが(最終決定は6月)
FDAはいくつかの問題点を指摘しており、先日の審議会でも議論がなされたところです(前回ブログ)。
これについてMGH主任メリット教授は「反論」ともいうべき論文を発表しました。
興味深い内容なので少しご紹介します。
FDA(米国食品医薬品局)
「反論」を発表したのはMGHの
Merit Cudkowicz教授(メリット先生)
おなじみですね。
(MGH: マサチューセッツ総合病院主任、ハーバード大学教授)
論文は医学雑誌Annals of Neurologyに掲載されました。
同誌は神経学分野のトップジャーナルで米国神経学会の公式誌です。エディトリアルという形式で発表しました。
ジェレミー教授(バーロー国立神経研究所)との連名です。(文献1)
以下は論文の引用です。
AMX0035の効果は確固たるものです。
主要エンドポイント(目標とする効果)を十分満たしています
ところが、FDAはいくつかのポイントから効果は十分ではないと指摘しました。
私たちは、この指摘は全て誤り と強く主張します。
AMX0035は病気の進行を遅くします。 5〜6か月の延命効果も見られました。
137人の参加者のうち136人の生存が確認されたことも注目されます。これは画期的なことです。
承認が遅れた場合、患者さんにお薬は届くのは3年遅れます。 AMX0035の安全性は確立しています。承認プロセスを柔軟に運用し、すぐに承認することを勧めます。
以下、FDA検証チームの論点(下記)について、ひとつひとつ反論していました。
主なポイントは、主要エンドポイントの統計、二次エンドポイントの扱い、ランダム化の適正性、他の認可薬との比較など。。
感想
メリット教授の反論。
短期間に論文として公表されたもので、意気込みが感じられます。
学会からの強力なサポートですね。
さてFDAの判断はどうなるのか
難関ですが、最終判断を待ちたいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました
文献
1 Merit E. Cudkowicz , Jeremy M. Shefner D Regulatory Approval in ALS; When Is a Single Study Enough?
Annals of Neurology 28 April 2022 https://doi.org/10.1002/ana.26371