ALSにおける線維束収縮(ぴくつき)について(本篇①) | やまいものsay it with flowers

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嚥下困難、上肢、肩の筋力低下があります。2015年3月6日にALSと診断されました。脚の調子はいいので、てくてくお散歩をつづけています、いまは小康状態かな。
いままでのALSブログのまとめは、右欄で。。

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線維束収縮という所見、筋肉がピクピクうごく症状。

 

 

気になる症状ですが、

 

 

ALS(筋萎縮性側索硬化症)でもおこるけれど、それ以外の病気でも健常者にもみられ、

 

 

むしろ、ALS以外のことがほとんどだとのこと。

 

 

さて、どのように考えたらいいか。

 

 

今回は本篇(1)です。(前回の序論は→こちら

 

 

よろしければ、おつきあいいください。

 

 

 

 

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論文はポルトガル、リスボン大学の

 

Mamede de carvalho 教授(カルバリョ教授)

 

 

雑誌は2017年JNNP。(文献1)

 

JNNPは神経学のトップジャーナルです。

 

すみませんが、、また長文です。

 

 

 

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1  歴史的には

 

 

150年前から、筋肉のこまかい動きは知られていて、こうした徴候が、ALSにおこることが報告され、ALSの診断において重要な所見だとされました。

 

 

そういった歴史的な記載もあって、線維束収縮はALSの診断において重要視され、以前は診断基準にもはいっていました。(誤解のはじまりのよう。)

 

 

 

19世紀、シャルコー先生の講義(ALSの名付け親)

 
 
 

 

2 線維束収縮の原因

 

 

ALSの線維束収縮の原因は、最近の超音波検査などによって詳細にわかってきました。(ほかに大脳皮質からの検査所見での証明もあります)

 

 

ALSの線維束収縮は当初、下位ニューロン症状と考えられてきたのですが、最近の研究では、上位ニューロンも関係することがわかってきました。

 

 

線維束収縮で動く筋単位は、明らかに違う運動神経で支配されており、下位の活動というより、上位からの指令で収縮する、すなわち大脳皮質由来の指令(上位ニューロン症状)で動いているのです。

 

 

 

(以下、略)
 
 
つまり、ALSの線維束収縮の原因は1)下位ニューロンの異常活動、2)上位ニューロンの異常活動、または3)その両方、ということなのです。
 
 
 
 

上位ニューロン、下位ニューロンの説明はこちら↓

運動ニューロンには上位ニューロンと下位ニューロンがありますね。(さらに詳しくは→こちら

 

 

 

 

3 線維束収縮の意味

 
 
線維束収縮は正常者にもおこります。その場合、とくに足の筋肉やふくらはぎに多く(それ以外の筋でもおきます)、その動きは本人も気づき、(実際は心配はないのだが)不安になります。
 
 
インターネットなどで検索すると、ALSなどの運動ニューロン病が検索されるので、ますます不安になるのです。(グーグル病
 
 
こうした現象は医療関係者にもよく知られており、線維束収縮不安症候群と呼ばれています。(過剰に心配してしまうという意味)

 

 

線維束収縮にかんして重要なことは、この所見は、ほかの神経学的徴候や症状、たとえば筋力低下などを伴う場合にのみ意味があるということです。
 
 
つまり、筋力低下のない線維束収縮は良性なのです。
 
 
 
 
 

4 良性の線維束収縮やクランプ(つり)という状態

 

 

 

神経の過活動状態はあるが、ほかに神経症状がない場合、良性線維束収縮症候群(BFS)という一群があります。

 

 

良性線維束収縮症候群(BFS)では線維束収縮がよく足の筋におこりますが、ほかの筋でもおこり、進行することはなく問題はありません。この線維束収縮はいったんなくなったり、またでてきたり、ずっと続いたりで、何年も持続することがあります。

 
 
この症状は運動後に多くみられ、安静時にはあまりはっきりしないことが多く、日内変動もあり、気分や不安、過呼吸や緊張でもおこります。
 
 
 
(つづく)
 
 
 

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感想(やまいもの感想です)
 
 
 
 
線維束収縮(ぴくつき)はいろいろな病気でおきるし、ALS以外でも健常者でもおきる。
 
 
筋萎縮などがなければあまり心配いらないということですね。
 
 
いっぽう、ALSの場合、線維束収縮(ぴくつき)は上位ニューロン症状である可能性があるのですね。
 
 
このあたりは最先端の研究で、興味深いことでした。
 
 
上位ニューロンのケア、つまり大脳のケア
 
 
やまいもは食事(栄養)、睡眠、運動(リハビリ)と思っていますが、やはりたいせつかもしれませんね。
 
 
また楽しいことをするのも、いいことではないでしょうか。
 
 
いっぽう、線維束収縮(ぴくつき)は筋電図として反映され、筋電図所見はALS診断の際に重視されることもありますね。
 
 
次回は筋電図との関連をふくめて、ALSの線維束収縮、もうすこしみていきたいと思います。

 

 
すみません、またつづききます。
 
 
 
 
ここまで、ご覧いただきありがとうございました。
 
 

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続編はこちら

 

 

ALSにおける線維束収縮(ぴくつき)について(本篇②)→こちら

 

 

 

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参考画像

 

参考動画(オランダ語ですが、腱反射や不随意運動などの例が9分ごろでてきます。

マイケル教授(michael van es教授、オランダ,ユトレヒト大学)

 
 

 

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文献

 

 

1 de Carvalho M, Kiernan M, Swash M.Fasciculation in amyotrophic lateral sclerosis: Origin and pathophysiological
relevance.J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017 Sep;88(9):773-779. doi: 10.1136/jnnp-2017-315574. Epub 2017 May 10.