線維束収縮という所見、筋肉がピクピクうごく症状。
気になる症状ですが、
ALS(筋萎縮性側索硬化症)でもおこるけれど、それ以外の病気でも健常者にもみられ、
むしろ、ALS以外のことがほとんどだとのこと。
さて、どのように考えたらいいか。
今回は本篇(1)です。(前回の序論は→こちら)
よろしければ、おつきあいいください。
論文はポルトガル、リスボン大学の
Mamede de carvalho 教授(カルバリョ教授)
雑誌は2017年JNNP。(文献1)
JNNPは神経学のトップジャーナルです。
すみませんが、、また長文です。
歴史的には
150年前から、筋肉のこまかい動きは知られていて、こうした徴候が、ALSにおこることが報告され、ALSの診断において重要な所見だとされました。
そういった歴史的な記載もあって、線維束収縮はALSの診断において重要視され、以前は診断基準にもはいっていました。(誤解のはじまりのよう。)
19世紀、シャルコー先生の講義(ALSの名付け親)
線維束収縮の原因
ALSの線維束収縮の原因は、最近の超音波検査などによって詳細にわかってきました。(ほかに大脳皮質からの検査所見での証明もあります)
ALSの線維束収縮は当初、下位ニューロン症状と考えられてきたのですが、最近の研究では、上位ニューロンも関係することがわかってきました。
線維束収縮で動く筋単位は、明らかに違う運動神経で支配されており、下位の活動というより、上位からの指令で収縮する、すなわち大脳皮質由来の指令(上位ニューロン症状)で動いているのです。
上位ニューロン、下位ニューロンの説明はこちら↓
運動ニューロンには上位ニューロンと下位ニューロンがありますね。(さらに詳しくは→こちら)
線維束収縮の意味
良性の線維束収縮やクランプ(つり)という状態
神経の過活動状態はあるが、ほかに神経症状がない場合、良性線維束収縮症候群(BFS)という一群があります。
良性線維束収縮症候群(BFS)では線維束収縮がよく足の筋におこりますが、ほかの筋でもおこり、進行することはなく問題はありません。この線維束収縮はいったんなくなったり、またでてきたり、ずっと続いたりで、何年も持続することがあります。
続編はこちら
ALSにおける線維束収縮(ぴくつき)について(本篇②)→こちら
参考画像
参考動画(オランダ語ですが、腱反射や不随意運動などの例が9分ごろでてきます。
マイケル教授(michael van es教授、オランダ,ユトレヒト大学)
1 de Carvalho M, Kiernan M, Swash M.Fasciculation in amyotrophic lateral sclerosis: Origin and pathophysiological
relevance.J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2017 Sep;88(9):773-779. doi: 10.1136/jnnp-2017-315574. Epub 2017 May 10.