偶然逢った。
久しぶり、元気してた？
そんな言葉を交わすことなく
お互いの顔から目が離せなかった。
住んでるところも違う
それでも
いつか逢いたいと思ってたのに
笑って話せたら、そう思ってたのに。
何も言えないわたしに
変わらないね
って微笑んだ。
変わらないのはそっちもでしょ。
うつむきがちに笑う癖
昔となんら変わらない。
あの時、ごめんな
って
今更謝らないで。
わたし聞いたんだよ。
あの日、本当は迎えに来てくれたこと
話をするわたしたちを見つけて黙って帰ったこと
あえて突き放したこと
ずっと気にかけてくれてたこと
何度も何度も、謝ろうとしたこと
幸せになってほしいって
お酒飲みながら泣いたことも
全部、知ってるんだよ。
それでも今の自分じゃだめだからって
そのまま時間が流れて。
わたしたちいつもそうだった。
不器用で
肝心な時に素直になれなくて
自信がもてなかった。
あの時素直になれてたら
今、わたしたちは一緒にいたのかな
そんなことを思ったよ。
連絡先も交換せず
またね、とも言わず
それでも、笑って別れられた。
振り向きたかったけど
目に焼き付けておきたかったけど
きっと、向こうも振り返らないだろうからやめた。