少年法27条の2第1項にいう「本人に対し審判権がなかつたこと……を認め得る明らかな資料を新たに発 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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少年法27条の2第1項にいう「本人に対し審判権がなかつたこと……を認め得る明らかな資料を新たに発見したとき」の意義


    保護処分取消の決定に対する抗告棄却決定に対する再抗告事件
【事件番号】    最高裁判所第3小法廷決定/昭和58年(し)第30号
【判決日付】    昭和58年9月5日
【判示事項】    1 少年法27条の2第1項にいう「本人に対し審判権がなかつたこと……を認め得る明らかな資料を新たに発見したとき」の意義
          2 少年法27条の2第1項の趣旨
          3 少年法27条の2第1項による保護処分の取消を求める申立に対してされたこれを取り消さない旨の決定に対する抗告の可否
          4 少年の再抗告事件において再抗告事由以外の事由により原決定を職権で取り消すことの可否
【判決要旨】    1 少年法27条の2第1項にいう「本人に対し審判権がなかつたこと……を認め得る明らかな資料を新たに発見したとき」とは、少年の年齢超過等が事後的に明らかにされた場合のみならず、非行事実がなかつたことを認めうる明らかな資料を新たに発見した場合を含む
          2 少年法27条の2第1項は、保護処分の決定の確定したのちに処分の基礎とされた非行事実の不存在が明らかにされた少年を将来に向かつて保護処分から解放する手続をも規定したものである。
          3 少年法27条の2第1項による保護処分の取消を求める申立に対してされたこれを取り消さない旨の決定に対しては、同法32条の準用により少年側の抗告が許される。
          4 少年の再抗告事件において、原決定に少年法35条所定の事由が認められない場合でも同法32条所定の事由があつてこれを取り消さなければ著しく正義に反すると認められるときは、最高裁判所は、職権により原決定を取り消すことができる。
【参照条文】    少年法27の2-1
          少年審判規則55
          少年法32
          少年法35
          少年法36
          少年審判規則54
          少年審判規則48
          少年審判規則53-2
          刑事訴訟法411
【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集37巻7号901頁

少年法
(保護処分の取消し)
第二十七条の二 保護処分の継続中、本人に対し審判権がなかつたこと、又は十四歳に満たない少年について、都道府県知事若しくは児童相談所長から送致の手続がなかつたにもかかわらず、保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、保護処分をした家庭裁判所は、決定をもつて、その保護処分を取り消さなければならない。
2 保護処分が終了した後においても、審判に付すべき事由の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見したときは、前項と同様とする。ただし、本人が死亡した場合は、この限りでない。
3 保護観察所、児童自立支援施設、児童養護施設又は少年院の長は、保護処分の継続中の者について、第一項の事由があることを疑うに足りる資料を発見したときは、保護処分をした家庭裁判所に、その旨の通知をしなければならない。
4 第十八条第一項及び第十九条第二項の規定は、家庭裁判所が、第一項の規定により、保護処分を取り消した場合に準用する。
5 家庭裁判所は、第一項の規定により、少年院に収容中の者の保護処分を取り消した場合において、必要があると認めるときは、決定をもつて、その者を引き続き少年院に収容することができる。但し、その期間は、三日を超えることはできない。
6 前三項に定めるもののほか、第一項及び第二項の規定による第二十四条第一項の保護処分の取消しの事件の手続は、その性質に反しない限り、同項の保護処分に係る事件の手続の例による。

(抗告)
第三十二条 保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は付添人から、二週間以内に、抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。

(再抗告)
第三十五条 抗告裁判所のした第三十三条の決定に対しては、憲法に違反し、若しくは憲法の解釈に誤りがあること、又は最高裁判所若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をしたことを理由とする場合に限り、少年、その法定代理人又は付添人から、最高裁判所に対し、二週間以内に、特に抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。
2 第三十二条の二、第三十二条の三、第三十二条の五第二項及び第三十二条の六から前条までの規定は、前項の場合に、これを準用する。この場合において、第三十三条第二項中「取り消して、事件を原裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送しなければならない」とあるのは、「取り消さなければならない。この場合には、家庭裁判所の決定を取り消して、事件を家庭裁判所に差し戻し、又は他の家庭裁判所に移送することができる」と読み替えるものとする。
(その他の事項)
第三十六条 この法律で定めるものの外、保護事件に関して必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。

刑事訴訟法
第四百十一条 上告裁判所は、第四百五条各号に規定する事由がない場合であつても、左の事由があつて原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
一 判決に影響を及ぼすべき法令の違反があること。
二 刑の量定が甚しく不当であること。
三 判決に影響を及ぼすべき重大な事実の誤認があること。
四 再審の請求をすることができる場合にあたる事由があること。
五 判決があつた後に刑の廃止若しくは変更又は大赦があつたこと。