第2種公営住宅とみなされて公営住宅法の適用を受ける改良住宅の家賃の変更と借家法7条の適用(消極) | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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第2種公営住宅とみなされて公営住宅法の適用を受ける改良住宅の家賃の変更と借家法7条の適用(消極)

 

大阪高等裁判所判決昭和56年9月29日

家賃請求控訴事件

【判示事項】 第2種公営住宅とみなされて公営住宅法の適用を受ける改良住宅の家賃の変更と借家法7条の適用(消極)

【参照条文】 住宅地区改良法29

       公営住宅法12

       公営住宅法13

       借家法7

 

【掲載誌】  判例タイムズ460号108頁

 【判旨】

 3 本件改良住宅の家賃の変更については、住宅地区改良法29条により準用される公営住宅法13条および改良住宅条例7条により準用される市営住宅条例16条の規定の適用があり(条例の関係については前掲甲第1、第3号証参照)、一定の要件の下に条例で家賃を変更することができるものとされているところ、成立に争いのない甲第2号証と弁論の全趣旨によれば、被控訴人は請求原因(4)記載の経緯で本件改良住宅の家賃を1戸当り月額7、800円と改定する旨の条例改正手続をとり、同条例は昭和53年4月1日から施行されたことが認められ、右認定に反する証拠はない。〈中略〉

 4 進んで、控訴人の供託の抗弁(抗弁(2))について判断するに、〈証拠〉によれば、控訴人は昭和53年4月以降も毎月従前の家賃額である1万円12戸分1を神戸地方法務局尼崎支局に供託していることが認められるけれども、本件改良住宅の賃貸借には借家法7条の規定の適用の余地はないものと解されるから、従前の家賃額の提供のみでは債務の本旨に従った弁済の提供とみることはできず、したがつて、右の供託は無効というほかないから、前記抗弁は採用できない。

住宅地区改良法

住国の補助に係る改良住宅の管理及び処分)

第二十九条 第二十七条第二項の規定により国の補助を受けて建設された改良住宅の管理及び処分については、第三項に定めるもののほか、改良住宅を公営住宅法に規定する公営住宅とみなして、同法第十五条、第十八条から第二十四条まで、第二十五条第一項、第二十七条第一項から第四項まで、第三十二条第一項及び第二項、第三十三条、第三十四条、第四十四条、第四十六条並びに第四十八条の規定を準用する。ただし、同法第二十二条から第二十四条まで及び第二十五条第一項の規定は、第十八条の規定により改良住宅に入居させるべき者が入居せず、又は居住しなくなつた場合に限る。

2 前項の規定による公営住宅法の規定の準用について必要な技術的読替えは、政令で定める。

3 第一項の改良住宅の家賃及び敷金の決定及び変更並びに収入超過者に対する措置については、公営住宅法の一部を改正する法律(平成八年法律第五十五号)の規定による改正前の公営住宅法(以下この項において「旧公営住宅法」という。)第二条第四号の第二種公営住宅に係る旧公営住宅法第十二条、第十三条(建設大臣の承認に係る部分を除く。)、第二十一条の二及び第二十一条の四前段の規定による家賃及び敷金の決定及び変更並びに収入超過者に対する措置の例による。この場合において、旧公営住宅法第十三条第三項中「建設大臣」とあるのは「国土交通大臣」と、「政令で定める審議会」とあるのは「社会資本整備審議会」とする。宅地区改良法

 

公営住宅法

(都道府県の補助)

第十二条 都道府県は、公営住宅の整備、共同施設の整備又は災害に基づく補修をする事業主体が市町村であるときは、当該事業主体に対して補助金を交付することができる。

 

(地方債についての配慮)

第十三条 国は、事業主体が公営住宅を建設するための土地の取得等若しくは共同施設を建設するための土地の取得等又は公営住宅を買い取るための土地の取得若しくは共同施設を買い取るための土地の取得に要する費用に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情の許す限り、適切な配慮をするものとする。

 

平成三年法律第九十号

借地借家法

(借賃増減請求権)

第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2 建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3 建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。