温泉旅館を経営する原告が,被告が新築した9階建の本件建物により,原告所有の旅館用建物(A,B)の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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温泉旅館を経営する原告が,被告が新築した9階建の本件建物により,原告所有の旅館用建物(A,B)の眺望利益が侵害されたと主張し,妨害排除請求権に基づき,本件建物の7階以上の撤去を求めた事案。裁判所は,原告の温泉旅館であるA,Bからの眺望の利益は,社会通念上も財産的価値を有する独自の利益として重要性が認められ,法的保護に値すると認められる余地もあるが,本件被告建物は既に完成しており,その除去の社会的損失は大きい。同建物は,明確な法令違反はないし,市の景観形成基準も満たし,高齢者の居住の安定確保を目的にした事業運営を予定しており,眺望阻害も限られたもので,受忍限度を超える侵害とは認められないとし,請求を棄却した事例

 

大分地方裁判所判決/平成23年(ワ)第955号

平成25年7月10日

建物建築工事差止請求事件

【判示事項】    温泉旅館を経営する原告が,被告が新築した9階建の本件建物により,原告所有の旅館用建物(A,B)の眺望利益が侵害されたと主張し,妨害排除請求権に基づき,本件建物の7階以上の撤去を求めた事案。裁判所は,原告の温泉旅館であるA,Bからの眺望の利益は,社会通念上も財産的価値を有する独自の利益として重要性が認められ,法的保護に値すると認められる余地もあるが,本件被告建物は既に完成しており,その除去の社会的損失は大きい。同建物は,明確な法令違反はないし,市の景観形成基準も満たし,高齢者の居住の安定確保を目的にした事業運営を予定しており,眺望阻害も限られたもので,受忍限度を超える侵害とは認められないとし,請求を棄却した事例

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載