自ら保有する住宅ローン債権を対象とする信託契約を締結し,その信託受益権を優先的に償還される優先受 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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自ら保有する住宅ローン債権を対象とする信託契約を締結し,その信託受益権を優先的に償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権の2種類の信託受益権に分割し,優先受益権を第三者に売却するとともに劣後受益権を自らが保有するという仕組みの取引につき,劣後受益権による収益配当金をすべて法人税に係る益金及び消費税に係る資産の譲渡等の対価の額に含まれるとしてした法人税の更正処分及び課税期間の消費税の更正処分が,いずれも違法とされた事例

 

 

              法人税更正処分取消等請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成24年(行コ)第466号

【判決日付】      平成26年8月29日

【判示事項】      自ら保有する住宅ローン債権を対象とする信託契約を締結し,その信託受益権を優先的に償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権の2種類の信託受益権に分割し,優先受益権を第三者に売却するとともに劣後受益権を自らが保有するという仕組みの取引につき,劣後受益権による収益配当金をすべて法人税に係る益金及び消費税に係る資産の譲渡等の対価の額に含まれるとしてした法人税の更正処分及び課税期間の消費税の更正処分が,いずれも違法とされた事例

【判決要旨】      自ら保有する住宅ローン債権を対象とする信託契約を締結し,その信託受益権を優先的に償還される優先受益権と優先受益権の元本が全額償還された後に元本が償還される劣後受益権の2種類の信託受益権に分割し,優先受益権を第三者に売却するとともに劣後受益権を自らが保有するという仕組みの取引につき,その保有する劣後受益権は,新たな金融資産の取得としてではなく,信託した金融資産である住宅ローン債権の残存部分として評価する必要があるが,信託契約によって保有するに至った劣後受益権は,金融商品会計に関する実務指針105項にいう「債権を取得した」という利益状況に類似しているということができるとして,同項の実質的な類推適用を認め,前記劣後受益権につき,同項と同様の会計処理を選択し,それによって収益を計上したことは,取引の経済的実態からみて合理的なものであり,法人税法上もその会計処理は正当なものとして是認されるべきであるから,これを一般に公正妥当として認められる会計基準に適合しないものとした前記法人税の更正処分及び課税期間の消費税の更正処分を違法とした事例

【掲載誌】        税務訴訟資料264号順号12523

 

法人税法

第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則

第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。

一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額

二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額

三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。

5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。

 

金融商品会計に関する実務指針105項

債 権

債務者の信用リスクを反映した債権の取得価額と償却原価法

105.債権の支払日までの金利を反映して債権金額と異なる価額で債権を取得した場合に

は、取得時に取得価額で貸借対照表に計上し、取得価額と債権金額との差額(以下「取

得差額」という。)について償却原価法に基づき処理を行う。この場合、将来キャッシュ・

フローの現在価値が取得価額に一致するような割引率(実効利子率)に基づいて、債務

者からの入金額を元本の回収と受取利息とに区分する。償却原価法の適用については利

息法によることを原則とするが、契約上、元利の支払が弁済期限に一括して行われる場

合又は規則的に行われることとなっている場合には、定額法によることができる。

なお、債権の取得価額が、債務者の信用リスクを反映して債権金額より低くなってい

る場合には、信用リスクによる価値の低下を加味して将来キャッシュ・フローを合理的

に見積もった上で償却原価法を適用する[設例11]。