国土利用計画法23条(土地に関する権利の移転又は設定後における利用目的等の届出)の届出を欠く土 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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 国土利用計画法23条(土地に関する権利の移転又は設定後における利用目的等の届出)の届出を欠く土地売買の効力(有効)

 

大阪高判昭和55年5月30日判タ419号105頁 金融・商事判例607号21頁 

【判決要旨】 国土利用計画法23条による届出を要する土地売買契約が締結された場合において、右届出を欠いていても、右契約が直ちに無効となるものではない。

【参照条文】 国土利用計画法23(土地に関する権利の移転又は設定後における利用目的等の届出)

 

国土利用計画法

(土地に関する権利の移転又は設定後における利用目的等の届出)

第二十三条 土地売買等の契約を締結した場合には、当事者のうち当該土地売買等の契約により土地に関する権利の移転又は設定を受けることとなる者(次項において「権利取得者」という。)は、その契約を締結した日から起算して二週間以内に、次に掲げる事項を、国土交通省令で定めるところにより、当該土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければならない。

一 土地売買等の契約の当事者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名

二 土地売買等の契約を締結した年月日

三 土地売買等の契約に係る土地の所在及び面積

四 土地売買等の契約に係る土地に関する権利の種別及び内容

五 土地売買等の契約による土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的

六 土地売買等の契約に係る土地の土地に関する権利の移転又は設定の対価の額(対価が金銭以外のものであるときは、これを時価を基準として金銭に見積つた額)

七 前各号に掲げるもののほか、国土交通省令で定める事項

2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する場合には、適用しない。

一 次のイからハまでに規定する区域に応じそれぞれその面積が次のイからハまでに規定する面積未満の土地について土地売買等の契約を締結した場合(権利取得者が当該土地を含む一団の土地で次のイからハまでに規定する区域に応じそれぞれその面積が次のイからハまでに規定する面積以上のものについて土地に関する権利の移転又は設定を受けることとなる場合を除く。)

イ 都市計画法第七条第一項の規定による市街化区域にあつては、二千平方メートル

ロ 都市計画法第四条第二項に規定する都市計画区域(イに規定する区域を除く。)にあつては、五千平方メートル

ハ イ及びロに規定する区域以外の区域にあつては、一万平方メートル

二 第十二条第一項の規定により指定された規制区域、第二十七条の三第一項の規定により指定された注視区域又は第二十七条の六第一項の規定により指定された監視区域に所在する土地について、土地売買等の契約を締結した場合

三 前二号に定めるもののほか、民事調停法による調停に基づく場合、当事者の一方又は双方が国等である場合その他政令で定める場合

3 第十五条第二項の規定は、第一項の規定による届出のあつた場合について準用する。

 

 

 国土利用計画法23条は、一定面積以上の土地の売買契約等について都道府県知事に対する届出を義務づけており、その違反に対して罰則を設けている(47条)。

  本件の事案は、土地の売買契約が無効である等と主張して、その代金の返還を求めた事件であるが、無効事由の一つとして国土利用計画法23条の届出を欠くことがあげられていた。

  行政法規が取引について一定の制限を加えている場合、その規定に違反した取引の効力については、問題があるところである(我妻・『新訂民法講義Ⅰ』263頁、注釈民法(3)71頁等参照)。

  本判決は、法14条による規制区域内の土地の売買の許可の場合と異なり法23条の届出は土地売買等の契約の有効要件ではなく、この届出を経ずにされた契約もそのことのためにすぐに無効となるものではないと解すべきであるとしている(河野正三・国土利用計画法344頁も同説である。)。

  同様の土地売買の事例も多いと考えられるので参考となる。