抵当権放棄の相手方
根抵当権登記抹消請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和42年(オ)第353号
【判決日付】 昭和44年1月16日
【判示事項】 1、抵当権放棄の相手方
2、登記の欠缺を主張することができないいわゆる背信的悪意者にあたるとされた事例
【判決要旨】 1、抵当権の放棄は、その当時の目的物の所有者に対する意思表示によって、その効力を生ずる。
2、根抵当権設定者である会社の代表者甲が、目的物の譲受人乙を代理して根抵当権者丙の根抵当権放棄の意思表示を受領した場合において、その被担保債権の債務者である協同組合の代表者丁が、甲とともに丙との交渉にあたり、その際右意思表示がされた事実を知りながら、その後に丙から右根抵当権を被担保債権とともに譲り受けたときは、丁は、特段の事情がないかぎり、いわゆる背信的悪意者として、根抵当権の放棄による消滅についての登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたらないものと解するのが相当である。
【参照条文】 民法2編第10章第3節
民法177
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集23巻1号18頁
民法
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。