投票の効力ないし帰属の判断に当たり,当該選挙当時の具体的諸事情を考慮して,その被選挙人として記載された者が,何びとを指すかを決定することは,当然諾されるべきことであるとした事例
最高裁判所第3小法廷判決/昭和38年(オ)第1079号
昭和39年7月6日
農業協同組合理事当選取消処分の取消請求
【判示事項】 投票の効力ないし帰属の判断に当たり,当該選挙当時の具体的諸事情を考慮して,その被選挙人として記載された者が,何びとを指すかを決定することは,当然諾されるべきことであるとした事例
【判決要旨】 一 「理事と監事の選挙が同時に行われた場合において、同一人が理事と監事の双方に当選の資格を得たときは、そのものの得票数の多い方を役員の当選者と定める」旨の役員選挙規程によって農業協同組合の理事に当選した者の当選が県知事によって取り消された場合において、同人の得票数を審査した結果、同人は前記規程の適用上監事に当選すべき者のでることが判明したとしても、すでに監事選挙の当選決定が確定して動かすべからざる事情にあるときは、右の理由による前示当選取消処分は維持できない。
2 候補者制のない農業協同組合の役員選挙において、投票に記載された被選挙人の氏名に合致する者が2名ある場合においても、当該組合員(有権者)の状態、組合役員選挙の事情、右両名の経歴、役員候補者としての声望、その選挙運動の有無等原判示の事情のもとにおいては、右投票をそのうちの一名にあてられたものと判定することができるものというべきである。
【参照条文】 農業協同組合法96
農業協同組合法30
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事74号439頁
農業協同組合法
第三十条 組合は、役員として理事及び監事を置かなければならない。
② 理事の定数は、五人以上とし、監事の定数は、二人以上とする。
③ 第十条第一項第三号の事業を行う組合には、役員として、信用事業を担当する専任の理事一人以上を含めて常勤の理事三人以上を置かなければならない。
④ 役員は、定款の定めるところにより、組合員が総会(設立当時の役員にあつては、創立総会)においてこれを選挙する。ただし、農業協同組合の役員(設立当時の役員を除く。)は、定款の定めるところにより、総会外においてこれを選挙することができる。
⑤ 役員の選挙は、無記名投票によつてこれを行う。
⑥ 投票は、一人(第十六条第二項の規定によりその会員に対して二個以上の選挙権を与える農業協同組合連合会にあつては、選挙権一個)につき一票とする。
⑦ 役員の選挙においては選挙ごとに選挙管理者、投票所ごとに投票管理者、開票所ごとに開票管理者を置かなければならない。
⑧ 役員の選挙をしたときは、選挙管理者は選挙録、投票管理者は投票録、開票管理者は開票録を作り、それぞれこれに署名しなければならない。
⑨ 総会外において役員の選挙を行うときは、投票所は、組合員の選挙権の適正な行使を妨げない場所に設けなければならない。
⑩ 役員は、第四項の規定にかかわらず、定款の定めるところにより、組合員が総会(設立当時の役員にあつては、創立総会)においてこれを選任することができる。
⑪ 組合の理事の定数の少なくとも三分の二は、組合員(准組合員を除き、組合員の組合員又はその組合員で准組合員でないものを含む。以下この項において同じ。)たる個人又は組合員たる法人の役員でなければならない。ただし、設立当時の理事は、設立の同意を申し出た農業者(法人にあつては、その役員)又は設立の同意を申し出た組合の組合員(法人にあつては、その役員)でなければならない。
⑫ 農業協同組合の理事の定数の過半数は、次に掲げる者のいずれかでなければならない。ただし、その地区内における認定農業者(農業経営基盤強化促進法第十三条第一項に規定する認定農業者をいう。第一号において同じ。)が少ない場合その他の農林水産省令で定める場合は、この限りでない。
一 認定農業者(法人にあつては、その役員)
二 農畜産物の販売その他の当該農業協同組合が行う事業又は法人の経営に関し実践的な能力を有する者
⑬ 農業協同組合は、その理事の年齢及び性別に著しい偏りが生じないように配慮しなければならない。
⑭ 第十条第一項第三号又は第十号の事業を行う組合(その行う信用事業又は共済事業の規模が農林水産省令で定める基準に達しない農業協同組合を除く。)にあつては、監事のうち一人以上は、次に掲げる要件の全てに該当する者でなければならない。
一 次のイ又はロに掲げる組合の区分に応じ、当該イ又はロに定める者以外の者であること。
イ 農業協同組合 当該農業協同組合の組合員又は当該農業協同組合の組合員たる法人若しくは団体の役員若しくは使用人
ロ 農業協同組合連合会 当該農業協同組合連合会の会員たる法人の役員又は使用人
二 その就任の前五年間当該組合の理事若しくは使用人又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、執行役若しくは使用人でなかつたこと。
三 当該組合の理事又は参事その他の重要な使用人の配偶者又は二親等内の親族以外の者であること。
⑮ 第十条第一項第三号又は第十号の事業を行う組合(その行う信用事業又は共済事業の規模が農林水産省令で定める基準に達しない農業協同組合を除く。)は、監事の互選をもつて常勤の監事を定めなければならない。
第九十六条 組合員がその総数の十分の一以上の同意を得て、組合の総会(創立総会を含む。)の招集手続、決議の方法又は選挙が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反することを理由として、その決議又は選挙若しくは当選決定の日から一月以内に、その決議又は選挙若しくは当選の取消しを請求した場合において、行政庁は、その違反の事実があると認めるときは、当該決議又は選挙若しくは当選を取り消すことができる。
② 前項の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
主 文