会社がその取締役にあてて約束手形を振り出す行為と商法265条にいう取引
約束手形金請求事件
【事件番号】 最高裁判所大法廷判決/昭和42年(オ)第1464号
【判決日付】 昭和46年10月13日
【判示事項】 1、会社がその取締役にあてて約束手形を振り出す行為と商法265条にいう取引
2、商法265条に違反して会社が振り出した約束手形を取得した第三者に対する会社の手形責任
【判決要旨】 1、会社がその取締役にあてて約束手形を振り出す行為は、原則として、商法265条にいう取引にあたる。
2、会社は、商法265条に違反して振り出した約束手形を裏書により取得した第三者に対しては、右手形が会社からその取締役にあてて振り出され、かつ、その振出につき取締役会の承認がなかつたことについて、右第三者が悪意であつたことを主張・立証しないかぎり、振出人としての責任を免れない。
(1、2につき補足意見および意見がある。)
【参照条文】 商法265
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集25巻7号900頁
会社法
(競業及び利益相反取引の制限)
第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号又は第三号の取引については、適用しない。
(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)
第三百六十五条 取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。
2 取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。