スモン訴訟カルテ提出命令事件抗告審決定 大阪高等裁判所決定 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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スモン訴訟カルテ提出命令事件抗告審決定

大阪高等裁判所決定/昭和53年(ラ)第25号

昭和53年5月17日

文書提出命令に対する即時抗告事件

【判示事項】    ―スモン訴訟カルテ提出命令事件抗告審決定―

【参照条文】    民事訴訟法312

          医師法24

          医師法施行規則23

【掲載誌】     高等裁判所民事判例集31巻2号187頁

          下級裁判所民事裁判例集32巻9~12号1275頁

          判例タイムズ364号173頁

          判例時報904号72頁

       主   文

 原決定(決定書50通)を取消す。

 相手方の本件文書提出命令の申立を却下する。

 

スモン訴訟カルテ提出命令事件抗告審決定

大阪高等裁判所決定/昭和53年(ラ)第20号

昭和53年6月20日

文書提出命令申立却下決定に対する即時抗告事件

【判示事項】    ―スモン訴訟カルテ提出命令事件抗告審決定―

【参照条文】    民事訴訟法312

          医師法24

          医師法施行規則23

【掲載誌】     高等裁判所民事判例集31巻2号199頁

          下級裁判所民事裁判例集32巻9~12号1288頁

          判例タイムズ364号173頁

          判例時報904号72頁

       主   文

 原決定を取消し、これを原審に差戻す。

 

スモンSMONsubacute myelo-optico-neuropathyの略称、別名:亜急性脊髄視神経症)とは、整腸剤キノホルム(クリオキノール、5-クロロ-7-ヨード-8-キノリノール)による薬害1955年頃より患者が発生し、1967年から1968年に患者発生数がピークとなった。

 

 

事案の概要

いわゆるスモン薬害訴訟において田辺製薬等が各地で患者(原告)らの診療録の提出命令を求めて争っているが、本件は相反する結論をとって注目を集めた2つの大阪高裁決定である。

 

 

民事訴訟法

(文書提出義務)

第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

 

 

医師法

第二十四条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。

2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。

 

 

医師法施行規則

第二十三条 診療録の記載事項は、左の通りである。

一 診療を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢

二 病名及び主要症状

三 治療方法(処方及び処置)

四 診療の年月日