会社更生法(昭和42年改正前)112条、241条、会社更生法213条、242条と憲法29条1項、 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

会社更生法(昭和42年改正前)112条、241条、会社更生法213条、242条と憲法29条1項、2項

 

 

会社更生計画認可決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷決定/昭和40年(ク)第464号

【判決日付】      昭和45年12月16日

【判示事項】      1、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)112条、241条、会社更生法213条、242条と憲法29条1項、2項

             2、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)125条、147条、237条、241条、会社更生法213条、242条、243条と憲法29条2項、32条

             3、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)244条と憲法14条1項

【判決要旨】      1、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)112条、241号、会社更生法213条、242条は、憲法29条1項、2項に違反しない。

             2、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)125条、147条、237条、241条、会社更生法213条、242条、243条は、憲法29条2項、32条に違反しない。

             3、会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)244条は、憲法14条1項に違反しない。

【参照条文】      会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)112

             会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)125

             会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)147

             会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)237

             会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)241

             会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)244

             会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)213

             会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)242

             会社更生法(昭和42年法律第88号による改正前のもの)243

             憲法29

             憲法32

             憲法14

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集24巻13号2099頁

 

 

憲法

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 

第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

 

 

平成十四年法律第百五十四号

会社更生法

(定義)

第二条 この法律において「更生手続」とは、株式会社について、この法律の定めるところにより、更生計画を定め、更生計画が定められた場合にこれを遂行する手続(更生手続開始の申立てについて更生手続開始の決定をするかどうかに関する審理及び裁判をする手続を含む。)をいう。

2 この法律において「更生計画」とは、更生債権者等又は株主の権利の全部又は一部を変更する条項その他の第百六十七条に規定する条項を定めた計画をいう。

3 この法律において「更生事件」とは、更生手続に係る事件をいう。

4 この法律において「更生裁判所」とは、更生事件が係属している地方裁判所をいう。

5 この法律(第六条、第四十一条第一項第二号、第百五十五条第二項、第百五十九条、第二百四十六条第一項から第三項まで、第二百四十八条第一項から第三項まで、第二百五十条並びに第二百五十五条第一項及び第二項を除く。)において「裁判所」とは、更生事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。

6 この法律において「開始前会社」とは、更生裁判所に更生事件が係属している株式会社であって、更生手続開始の決定がされていないものをいう。

7 この法律において「更生会社」とは、更生裁判所に更生事件が係属している株式会社であって、更生手続開始の決定がされたものをいう。

8 この法律において「更生債権」とは、更生会社に対し更生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権又は次に掲げる権利であって、更生担保権又は共益債権に該当しないものをいう。

一 更生手続開始後の利息の請求権

二 更生手続開始後の不履行による損害賠償又は違約金の請求権

三 更生手続参加の費用の請求権

四 第五十八条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する債権

五 第六十一条第一項の規定により双務契約が解除された場合における相手方の損害賠償の請求権

六 第六十三条において準用する破産法(平成十六年法律第七十五号)第五十八条第二項の規定による損害賠償の請求権

七 第六十三条において準用する破産法第五十九条第一項の規定による請求権(更生会社の有するものを除く。)

八 第九十一条の二第二項第二号又は第三号に定める権利

9 この法律において「更生債権者」とは、更生債権を有する者をいう。

10 この法律において「更生担保権」とは、更生手続開始当時更生会社の財産につき存する担保権(特別の先取特権、質権、抵当権及び商法(明治三十二年法律第四十八号)又は会社法(平成十七年法律第八十六号)の規定による留置権に限る。)の被担保債権であって更生手続開始前の原因に基づいて生じたもの又は第八項各号に掲げるもの(共益債権であるものを除く。)のうち、当該担保権の目的である財産の価額が更生手続開始の時における時価であるとした場合における当該担保権によって担保された範囲のものをいう。ただし、当該被担保債権(社債を除く。)のうち利息又は不履行による損害賠償若しくは違約金の請求権の部分については、更生手続開始後一年を経過する時(その時までに更生計画認可の決定があるときは、当該決定の時)までに生ずるものに限る。

11 この法律において「更生担保権者」とは、更生担保権を有する者をいう。

12 この法律において「更生債権等」とは、更生債権又は更生担保権をいう。ただし、次章第二節においては、開始前会社について更生手続開始の決定がされたとすれば更生債権又は更生担保権となるものをいう。

13 この法律において「更生債権者等」とは、更生債権者又は更生担保権者をいう。ただし、次章第二節においては、開始前会社について更生手続開始の決定がされたとすれば更生債権者又は更生担保権者となるものをいう。

14 この法律において「更生会社財産」とは、更生会社に属する一切の財産をいう。

15 この法律において「租税等の請求権」とは、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権であって、共益債権に該当しないものをいう。

 

(更生債権等の弁済の禁止)

第四十七条 更生債権等については、更生手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、更生計画の定めるところによらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。

2 更生会社を主要な取引先とする中小企業者が、その有する更生債権等の弁済を受けなければ、事業の継続に著しい支障を来すおそれがあるときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより又は職権で、その全部又は一部の弁済をすることを許可することができる。

3 裁判所は、前項の規定による許可をする場合には、更生会社と同項の中小企業者との取引の状況、更生会社の資産状態、利害関係人の利害その他一切の事情を考慮しなければならない。

4 管財人は、更生債権者等から第二項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。

5 少額の更生債権等を早期に弁済することにより更生手続を円滑に進行することができるとき、又は少額の更生債権等を早期に弁済しなければ更生会社の事業の継続に著しい支障を来すときは、裁判所は、更生計画認可の決定をする前でも、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。

6 第二項から前項までの規定は、約定劣後更生債権である更生債権については、適用しない。

7 第一項の規定は、次に掲げる事由により、更生債権等である租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)が消滅する場合には、適用しない。

一 第二十四条第二項に規定する国税滞納処分(当該国税滞納処分又はその続行が許される場合に限る。)

二 第二十四条第二項に規定する国税滞納処分による差押えを受けた更生会社の債権(差押えの効力の及ぶ債権を含む。)の第三債務者が当該国税滞納処分の中止中に徴収の権限を有する者に対して任意にした給付

三 徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当

四 管財人が裁判所の許可を得てした弁済

 

(更生債権等の免責等)

第二百四条 更生計画認可の決定があったときは、次に掲げる権利を除き、更生会社は、全ての更生債権等につきその責任を免れ、株主の権利及び更生会社の財産を目的とする担保権は全て消滅する。

一 更生計画の定め又はこの法律の規定によって認められた権利

二 更生手続開始後に更生会社の取締役等(取締役、会計参与、監査役、代表取締役、執行役、代表執行役、清算人又は代表清算人をいう。)又は使用人であった者で、更生計画認可の決定後も引き続きこれらの職に在職しているものの退職手当の請求権

三 第百四十二条第二号に規定する更生手続開始前の罰金等の請求権

四 租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)のうち、これを免れ、若しくは免れようとし、不正の行為によりその還付を受け、又は徴収して納付し、若しくは納入すべきものを納付せず、若しくは納入しなかったことにより、更生手続開始後懲役若しくは罰金に処せられ、又は国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第百五十七条第一項若しくは地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十二条の二十八第一項の規定による通告の旨を履行した場合における、免れ、若しくは免れようとし、還付を受け、又は納付せず、若しくは納入しなかった額の租税等の請求権で届出のないもの

2 更生計画認可の決定があったときは、前項第三号及び第四号に掲げる請求権については、更生計画で定められた弁済期間が満了する時(その期間の満了前に更生計画に基づく弁済が完了した場合にあっては、弁済が完了した時)までの間は、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。

3 第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権についての同項の規定による免責及び担保権の消滅の効力は、租税条約等実施特例法第十一条第一項の規定による共助との関係においてのみ主張することができる。

 

 

       主   文

 

 本件抗告を棄却する。

 抗告費用は抗告人の負担とする。

 

       理   由

 

 抗告代理人山田利夫の抗告理由第一について。

 所論は、原決定は憲法二九条一項、二項の解釈、適用を誤まるものであると主張する。

 思うに、会社更生法(以下法という。)は、企業を破産により解体清算させることが、ひとり利害関係人の損失となるに止まらず、広く社会的、国民経済的損失をもたらすことがあるのにかんがみ、窮境にはあるが再建の見込のある株式会社について、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整しつつ、その事業の維持更生を図ることを目的とするものである。そして、法は、右の目的を達成するため、更生債権または更生担保権については、更生手続によらなければ弁済等のこれを消滅させる行為をすることができないこと〔昭和四二年法律八八号による改正前の法(以下改正前の法という。)一一二条、一二三条〕、更生計画によつて債務の期限が猶予されるときは、その債務の期限は、担保があるときはその担保物の耐用期間内、担保がないときまたは担保物の耐用期間が判定できないときは二〇年までそれぞれ定めることができること(法二一三条)、更生計画認可の決定があつたときは、計画の定めまたは法の規定によつて認められた権利を除き、更生会社は、すべて更生債権および更生担保権につきその責を免かれ、株主の権利および更生会社の財産の上に存した担保権はすべて消滅し、また、更生債権者、更生担保権者および株主の権利は計画の定めに従い変更されること(改正前の法二四一条、法二四二条)などを、それぞれ定めている。もとより、これらの規定によつて更生債権者、更生担保権者および株主の財産権が制限されることは明らかであるが、右各法条の定める財産権の制限は、前記目的を達成するためには必要にしてやむを得ないものと認められる。しかも、法は、更生手続が裁判所の監督の下に、法定の厳格な手続に従つて行われることを定め、ことに、更生計画は、改正前の法一八九条以下の綿密な規定に従つて関係人集会における審理、議決を経たうえ、さらに裁判所の認可によつて効力を生ずるものとし、その認可に必要な要件を法二三三条以下に詳細に定めるなど、公正かつ衡平に前記目的が達成されるよう周到かつ合理的な諸規定をもうけているのである。したがつて、これらの点を考えると、論旨の指摘する改正前の法一一二条、法二一三条、改正前の法二四一条、法二四二条の各規定は、公共の福祉のため憲法上許された必要かつ合理的な財産権の制限を定めたものと解するのが相当であり、憲法二九条一項、二項に違反するものということはできない。

 右と同旨の原決定の判断は正当であり、憲法二九条一項、二項の解釈適用についての原決定の判断に所論の違憲ありとは認められず、論旨は採用することができない。

 同第二について。

 所論は、原決定は憲法二九条二項、三二条の解釈適用を誤まるものであると主張する。

 そこで、会社更生法の規定をみると、更生債権者が更生手続に参加するためには、裁判所の定めた期間内に所定の届出をすることを要し(改正前の法一二五条)、届出をしても、その権利について異議があると、その異議者に対し訴をもつて権利確定の手続をすることを要し(改正前の法一四七条)、これらいずれの手続を怠つても更生手続に参加する資格を失い、裁判所の更生計画認可の決定があると、更生債権は、更生計画の定めによつて認められた範囲内においてのみ存在し、その余は失権することとなり(法二一三条、改正前の法二四一条、法二四二条、二四三条)、届出をしなかつた更生債権者は、更生計画認否の決定に対し不服の申立をすることができない(改正前の法二三七条)旨をそれぞれ定めている。

 そして、会社更生法の右各規定によつて更生債権者の財産権が制限されることは明らかであるが、前記抗告理由第一に対する判断で説示したところと同様の理由により、右各規定は、公共の福祉のため憲法上許された必要かつ合理的な制限を定めたものと解するのが相当であり、憲法二九条二項に違反するものということはできない。

 原決定に所論の違憲ありとは認められず、論旨は採用することができない。

 次に、憲法三二条にいう裁判とは、同法八二条にいう裁判と同様に、現行法が裁判所の権限に属せしめている一切の事件につき、裁判所が裁判の形式をもつてするすべての判断作用ないし法律行為を意味するものではなく、そのうち固有の司法権の作用に属するもの、すなわち、裁判所が当事者の意思いかんにかかわらず終局的に事実を確定し当事者の主張する権利義務の存否を確定することを目的とする純然たる訴訟事件についての裁判のみをさすものと解すべきであつて(昭和二六年(ク)第一〇九号・同三五年七月六日大法廷決定・民集一四巻九号一六五七頁、昭和三六年(ク)第四一九号・同四〇年六月三〇日大法廷決定・民集一九巻四号一〇八九頁、昭和三七年(ク)第二四三号・同四〇年六月三〇日大法廷決定・民集一九巻四号一一一四頁、昭和三九年(ク)第一一四号・同四一年三月二日大法廷決定・民集二〇巻三号三六〇頁、昭和四一年(ク)第四〇二号・同四五年六月二四日大法廷決定・裁判所時報五四八号九五頁等参照)、憲法三二条は、かかる裁判の請求権を保障しているものにほかならず、その本質において固有の司法権の作用に属しない非訟事件は、憲法三二条の定める事項ではなく、したがつて、非訟事件の手続および裁判に関する法律の規定について、憲法三二条違反の問題は生じないものと解すべきである。

 ところで、会社更生手続の眼目であり、会社更生の基準となる更生計画は、関係人集会においてその案が審理可決された上、裁判所の認可をもつてはじめて有効に成立するのであるが(法二三二条以下)、裁判所のなす右更生計画認否の裁判は、国家のいわゆる後見的民事監督の作用に属し、固有の司法権の作用に属しないことが明らかであつて、その本質は非訟事件の裁判であり、それに対する不服の申立もまた純然たる訴訟事件ではないと解すべきであり(昭和三七年(ク)第六四号・同四一年一二月二七日大法廷決定・民集二〇巻一〇号二二七九頁参照)、また、前説示の改正前の法二四一条、法二四二条、二四三条による更生債権失権の効果は、有効に成立した更生計画を要件として法律により定められた私権の変更の効果にほかならない。以上の次第で、右失権の定めおよび前説示の更生計画認否の決定に不服の申立ができない(改正前の法二三七条)旨の定めは、非訟事件に関する定めであり、憲法三二条が保障する裁判請求権の制限ないし剥奪と解すべきものではなく、したがつて、同条に違反するものということはできない。

 なお、更生手続中、所論の更生債権確定の訴は、純然たる訴訟事件と解すべきであるが、この訴の前提となる更生債権届出期間の定めおよびこの訴についての出訴期間の定めは、会社更生法の目的に照らし必要かつ合理的なものであり、実質上裁判の拒否と認められるような不合理な点は認められないから、憲法三二条に違反するものではない(昭和二三年(オ)第一三七号・同二四年五月一八日大法廷判決・民集三巻六号一九九頁参照)。

 以上と結論を同じくする原決定の判断は正当であり、原決定に所論の違憲はなく、論旨は採用することができない。

 なお、抗告理由中の法二三四条についての主張は、論旨が不明というべく、特別抗告適法の理由に当らない。

 同第三について。

 所論は、改正前の法二四四条を適用した更生計画認可の決定を是認する原決定は、憲法一四条に違反すると主張する。

 そこで、考えてみると、憲法一四条一項は、国民に対し絶対的な平等を保障したものではなく、差別すべき合理的な理由なくして差別することを禁止している趣旨と解すべきであるから、事柄の性質に即応して合理的と認められる差別的取扱をすることが何ら右法条の否定するところでないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和三七年(オ)第一四七二号・同三九年五月二七日大法廷判決・民集一八巻四号六七六頁参照)。

 ところで、改正前の法二四一条、法二四二条、二四三条によれば、更生計画の定めによつて更生債権者または更生担保権者に対し権利が認められた場合には、その権利は、確定した更生債権または更生担保権を有する者に対してのみ認められることとし、改正前の法一二五条、一二六条所定の届出や、改正前の法一四七条以下に定める権利確定の手続を怠つた更生債権者または更生担保権者は何らの権利も認められず失権することとしている。他方、改正前の法二四四条によれば、更生計画の定めによつて株主に対し権利が認められた場合には、その権利は、株式の届出をしなかつた者に対しても、認められるものとしている。かように株主を更生債権者または更生担保権者に対し別異の取扱をしているのは、更生債権者または更生担保権者の各権利と株主の権利とはそれぞれその性質を異にし、かつ、株式の数および内容は、会社の知悉するところであり、また、その帰属は、株主名簿等により明らかであるからである。したがつて、右取扱の差異は、事柄の性質に即応した合理的な差別というべきであつて、改正前の法二四四条の規定を適用した更生計画認可の決定を是認する原決定が憲法一四条一項に違反するものということはできない。

 原決定に所論の違憲はなく、論旨は、採用することができない。

 よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人の負担すべきものとし、裁判官全員の一致で、主文のとおり決定する。

昭和四五年一二月一六日

     最高裁判所大法廷