Xの開発・製造したゲーム機を順次XからY,YからAに販売する旨の契約が締結に至らなかった場合においてYがXに対して契約準備段階における信義則上の注意義務違反を理由とする損害賠償責任を負うとされた事例
損害賠償請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成17年(受)第869号
【判決日付】 平成19年2月27日
【判示事項】 Xの開発,製造したゲーム機を順次XからY,YからAに販売する旨の契約が締結に至らなかった場合においてYがXに対して契約準備段階における信義則上の注意義務違反を理由とする損害賠償責任を負うとされた事例
【判決要旨】 ⅩがAの意向を受けて開発,製造したゲーム機を順次ⅩからY,YからAに継続的に販売する旨の契約が,締結の直前にAが突然ゲーム機の改良要求をしたことによって締結に至らなかった場合において,Yが,開発等の続行に難色を示すⅩに対し,Aから具体的な発注を受けていないにもかかわらず,ゲーム機200台を発注する旨を口頭で約したり,具体的な発注内容を記載した発注書及び条件提示書を交付するなどし,ゲーム機の売買契約が確実に締結されるとの過大な期待を抱かせてゲーム機の開発,製造に至らせたなど判示の事情の下では,Yは,Ⅹに対する契約準備段階における信義則上の注意義務に違反したものとして,これによりⅩに生じた損害を賠償する責任を負う。
【参照条文】 民法1-2
民法415
民法709
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事223号343頁
契約締結上の過失とは、契約締結の段階またはその準備段階における契約締結を目指す一方当事者の過失のことで、契約内容に関する重要な事項について調査・告知しなかったり、相手方の合理的期待を裏切るような行為をすることにより、契約締結後、あるいは契約不成立により不測の損害を被った相手方を救済するための法理論をいいます。
民法
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
(債務不履行による損害賠償)
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
(不法原因給付)
第七百八条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。