真正の所有者から登記簿上の所有名義人に対する移転登記請求の許否 所有権確認等請求事件 最高裁 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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真正の所有者から登記簿上の所有名義人に対する移転登記請求の許否

 

 

所有権確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和27年(オ)第865号

【判決日付】      昭和32年5月30日

【判示事項】      真正の所有者から登記簿上の所有名義人に対する移転登記請求の許否

【判決要旨】      不動産の所有権者でない者が所有権保存登記手続をして登記簿上所有名義人となつたときは、真正の所有権者は、右名義人に対し、移転登記を求ることができる。

【参照条文】      民法177

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集11巻5号843頁

             判例タイムズ72号56頁

【評釈論文】      民商法雑誌36巻5号85頁

 

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 論旨第三点について。

 所論のように所有権者でない者の為した無効の所有権保存登記の存在する場合に、その無権利者である登記名義人に対し真正の所有権者から所有権移転登記手続を求める請求は是認さるべきであり、これと同一見解の下に被上告人の所論請求を容認した原判決の判断は正当である(昭和三〇年七月五日最高裁判所第三小法廷判決最高裁判所民事判例集第九巻第九号一〇〇二頁以下参照)。論旨は、右と相容れない上告人独自の見解に立脚して原判決を非難するもので採るをえない。

 同第一、二点について。

 論旨はすべて、「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号ないし三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

     最高裁判所第一小法廷