所有権移転請求権保全仮登記の効力 家屋明渡請求事件 最高裁判所第1小法廷判決 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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所有権移転請求権保全仮登記の効力

 

 

              家屋明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和33年(オ)第871号

【判決日付】      昭和36年6月29日

【判示事項】      1、所有権移転請求権保全仮登記の効力

             2、仮登記ある不動産の賃貸借と本登記名義人に対する損害の発生

【判決要旨】      1、所有権移転請求権保全の仮登記後本登記をしたときは、仮登記の時以後におけるこれと相容れない中間処分の効力を否定することができるけれども、仮登記の時に所有権移転のあつた事実が擬制されるものではない。

             2、家屋賃貸借が仮登記後の中間処分として本登記名義人に対抗できない場合でも、特段の事情のないかぎり、本登記名義人において、現実に所有権を取得する以前、右賃貸借にもとづく家屋占有により損害を被つたものと認むべきではない。

【参照条文】      不動産登記法

             不動産登記法7-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集15巻6号1764頁

 

 

不動産登記法

(仮登記に基づく本登記の順位)

第百六条 仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。

 

(仮登記に基づく本登記)

第百九条 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者(本登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

2 登記官は、前項の規定による申請に基づいて登記をするときは、職権で、同項の第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない。