会社が取引上の通称を用いて降り出した約束手形につき振出人として支払の責に任ずべきものであるとされた事例
約束手形金請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和43年(オ)第1070号
【判決日付】 昭和44年1月30日
【判示事項】 会社が取引上の通称を用いて降り出した約束手形につき振出人として支払の責に任ずべきものであるとされた事例
【判決要旨】 有限会社カネ一松尾自転車商会なる商号の会社が、その営業活動の実態の変化に伴ない、手形取引も含めて、取引上自己をあらわす名称として有限会社松尾商会なる名称を使用しているなど原判示の事実関係のもとにおいては、有限会社カネ一松尾自転車商会は、同社が有限会社松尾商会なる名称を用いて降り出した約束手形につき、振出人として支払の責に任ずべきものである。
【参照条文】 手形法1
手形法77
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事94号129頁
手形法
第一条 為替手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ
一 証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル為替手形ナルコトヲ示ス文字
二 一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル委託
三 支払ヲ為スベキ者(支払人)ノ名称
四 満期ノ表示
五 支払ヲ為スベキ地ノ表示
六 支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称
七 手形ヲ振出ス日及地ノ表示
八 手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名
第七十七条 左ノ事項ニ関スル為替手形ニ付テノ規定ハ約束手形ノ性質ニ反セザル限リ之ヲ約束手形ニ準用ス
一 裏書(第十一条乃至第二十条)
二 満期(第三十三条乃至第三十七条)
三 支払(第三十八条乃至第四十二条)
四 支払拒絶ニ因ル遡求(第四十三条乃至第五十条、第五十二条乃至第五十四条)
五 参加支払(第五十五条、第五十九条乃至第六十三条)
六 謄本(第六十七条及第六十八条)
七 変造(第六十九条)
八 時効(第七十条及第七十一条)
九 休日、期間ノ計算及恩恵日ノ禁止(第七十二条乃至第七十四条)
② 第三者方ニテ又ハ支払人ノ住所地ニ非ザル地ニ於テ支払ヲ為スベキ為替手形(第四条及第二十七条)、利息ノ約定(第五条)、支払金額ニ関スル記載ノ差異(第六条)、第七条ニ規定スル条件ノ下ニ為サレタル署名ノ効果、権限ナクシテ又ハ之ヲ超エテ為シタル者ノ署名ノ効果(第八条)及白地為替手形(第十条)ニ関スル規定モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス
③ 保証ニ関スル規定(第三十条乃至第三十二条)モ亦之ヲ約束手形ニ準用ス第三十一条末項ノ場合ニ於テ何人ノ為ニ保証ヲ為シタルカヲ表示セザルトキハ約束手形ノ振出人ノ為ニ之ヲ為シタルモノト看做ス