無断私用運転中の事故につき所有者に自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任が認められた事例
損害賠償請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和45年(オ)第267号
【判決日付】 昭和46年7月1日
【判示事項】 無断私用運転中の事故につき所有者に自動車損害賠償保障法3条による運行供用者責任が認められた事例
【判決要旨】 小規模の信用組合の常務理事である甲が、長期出張に際し、同組合営業部長乙に託して甲所有の自動車を修理に出させたが、その際、修理工場への往復には乙の指示により組合従業員が運転にあたることを予想しつつ、不在中の自動車の管理を乙に一任した場合において、修理完了に際し乙から右自動車の引取方の指示を受けた組合従業員丙が、組合預金係見習で自動車運転の業務にも従事していた丁と相談のうえ、右自動車を無断使用したのち組合事務所に届けておくこととし、丁において、修理の終わつた右自動車を修理工場から受け取り、丙を同乗させ運転して私用に赴いたのち、翌朝組合事務所への帰途事故を起こしたものであるなどの判示の事実関係があるときは、甲は、自動車損害賠償保障法3条による運行供用者としての責任を免れない。
【参照条文】 自動車損害賠償保障法3
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集25巻5号727頁
自動車損害賠償保障法
(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。