倒産の現実的危険性のある会社の再建と株主利益最大化義務
損害賠償請求控訴事件
【事件番号】 東京高等裁判所判決/令和3年(ネ)第977号
【判決日付】 令和3年11月18日
【判示事項】 1 倒産の現実的危険性のある会社の再建と株主利益最大化義務
2 代表取締役に100%無償減資後の出資が認められ、留任したことと他の株主の100%無償減資との間に実質的な利益相反関係はないとされた事例
3 自主再建のための基本協定書に係る合意の締結と「重要ナル業務執行」
4 名目的監査役に対する取締役会の招集通知の欠けつと代表取締役の任務懈怠等
【判決要旨】 1 (代表)取締役は、倒産の現実的危険性のあった会社を自主再建することを優先すべきであって、これに反してまで株主の利益を最大化するよう配慮し、行動すべき義務を負わない。
2 代表取締役に自主再建後の会社に対する再出資が認められ、その代表取締役の地位にとどまったことと他の旧株主についてはその保有株式を100%無償減資としたこととの間に実質的な利益相反関係があるとはいえないとされた事例
3 自主再建のための基本協定書に係る合意の締結は、「重要ナル業務執行」には当たらず、取締役会の決議を要しないとされた事例
4 名目的監査役に対する取締役会の招集通知の欠けつが代表取締役の任務懈怠行為および不法行為に当たらないとされた事例
【参照条文】 商法(平成17年法律第87号による改正前)266の3-1
民法709
民法(平成18年法律第50号による改正前)44-1(商法(平成17年法律第87号による改正前)261-3、商法(平成17年法律第87号による改正前)78-2による準用)
民法719-1前段
【掲載誌】 金融・商事判例1643号6頁
会社法
(株式会社と役員等との関係)
第三百三十条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一 取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ 虚偽の登記
ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)
二 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
三 監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
四 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
民法
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(共同不法行為者の責任)
第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
2 行為者を教唆した者及び幇ほう助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。