被害者の証人尋問において,捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを許可した裁判所 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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被害者の証人尋問において,捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを許可した裁判所の措置に違法がないとされた事例

 

 

強制わいせつ被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成21年(あ)第1125号

【判決日付】      平成23年9月14日

【判示事項】      1 被害者の証人尋問において,捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを許可した裁判所の措置に違法がないとされた事例

             2 証人に示した写真を刑訴規則49条に基づいて証人尋問調書に添付する措置について,当事者の同意は必要か

             3 独立した証拠として採用されていない被害再現写真を示して得られた証言を事実認定の用に供することができるか

【判決要旨】      1 被害者の証人尋問において,検察官が,証人から被害状況等に関する具体的な供述が十分にされた後に,その供述を明確化するため,証拠として採用されていない捜査段階で撮影された被害者による被害再現写真を示すことを求めた場合において,写真の内容が既にされた供述と同趣旨のものであるときは,刑訴規則199条の12に基づきこれを許可した裁判所の措置に違法はない。

             2 証人に示した写真を刑訴規則49条に基づいて証人尋問調書に添付する措置について,当事者の同意は必要ではない。

             3 証人に示された被害再現写真が独立した証拠として採用されていなかったとしても,証人がその写真の内容を実質的に引用しながら証言した場合には,引用された限度において写真の内容は証言の一部となり,そのような証言全体を事実認定の用に供することができる。

【参照条文】      刑事訴訟規則199の12

             刑事訴訟法304

             刑事訴訟規則49

             刑事訴訟法317

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集65巻6号949頁

 

 

刑事訴訟法

第三百四条 証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人は、裁判長又は陪席の裁判官が、まず、これを尋問する。

② 検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問が終つた後、裁判長に告げて、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問することができる。この場合において、その証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の取調が、検察官、被告人又は弁護人の請求にかかるものであるときは、請求をした者が、先に尋問する。

③ 裁判所は、適当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、前二項の尋問の順序を変更することができる。

 

第三百十七条 事実の認定は、証拠による。

 

 

刑事訴訟規則

(調書への引用)

第四十九条 調書には、書面、写真その他裁判所又は裁判官が適当と認めるものを引用し、

訴訟記録に添附して、これを調書の一部とすることができる。

 

(図面等の利用・法第三百四条等)

第百九十九条の十二 訴訟関係人は、証人の供述を明確にするため必要があるときは、裁

判長の許可を受けて、図面、写真、模型、装置等を利用して尋問することができる。

2 前項の場合には、第百九十九条の十第二項の規定を準用する。