分離課税の規定により異なった課税標準により算出された税額を合計する場合であっても、課税処分の取消 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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分離課税の規定により異なった課税標準により算出された税額を合計する場合であっても、課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は課税処分によって確定された税額の適否であるから、当該課税処分によって確定された税額が租税法規によって客観的に定まる税額を上回る場合には、その限度において違法なものとして取消しを免れないとされた事例

 

 

              所得税更正処分等取消請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和63年(行ツ)第184号

【判決日付】      平成5年5月28日

【判示事項】      一 分離課税の規定により異なった課税標準により算出された税額を合計する場合であっても、課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は課税処分によって確定された税額の適否であるから、当該課税処分によって確定された税額が租税法規によって客観的に定まる税額を上回る場合には、その限度において違法なものとして取消しを免れないとされた事例

             二 課税処分取消訴訟において、税額の適否を判断する上で、「納付すべき税額」とは、昭和五一年分所得税の特別減税のための臨時措置法一一条及び一二条一項に基づく特別減税の適用がある場合には、同規定による特別減税額を控除した後の税額であるとされた事例

【判決要旨】      課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は当該課税処分によって確定された税額の適否であるから、当該課税処分によって確定された税額(ただし、審査請求に対する裁決によりその一部が取り消されたときは取消し後の税額)が租税法規によって客観的に定まる税額を上回る場合には、当該課税処分はその上回る限度において違法となるものというべきである。

【参照条文】      行政訴訟通則4

             租税特別措置法(昭和五七年法律第八号による改正前のもの)28の4

             国税通則法

             昭和五一年分所得税の特別減税のための臨時措置法5-1

             昭和五一年分所得税の特別減税のための臨時措置法11

             昭和五一年分所得税の特別減税のための臨時措置法12-1

【掲載誌】        訟務月報40巻4号876頁

             税務訴訟資料195号598頁

 

 

租税特別措置法

(土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例)

第二十八条の四 個人が、他の者(当該個人が非居住者である場合の所得税法第百六十一条第一項第一号に規定する事業場等を含む。)から取得をした土地(国内にあるものに限る。以下この条において同じ。)又は土地の上に存する権利(以下この条において「土地等」という。)で事業所得又は雑所得の基因となるもののうち、その年一月一日において所有期間が五年以下であるもの(その年中に取得をした土地等で政令で定めるものを含む。)の譲渡(地上権又は賃借権の設定その他契約により他人(当該個人が非居住者である場合の同号に規定する事業場等を含む。)に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるもの(次項及び第三項第一号において「賃借権の設定等」という。)及び土地等の売買又は交換の代理又は媒介に関し報酬を受ける行為その他の行為で土地等の譲渡に準ずるものとして政令で定めるものを含む。以下この条において「土地の譲渡等」という。)をした場合には、当該土地の譲渡等による事業所得及び雑所得については、同法第二十二条及び第八十九条並びに第百六十五条の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の当該土地の譲渡等に係る事業所得の金額及び雑所得の金額として政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「土地等に係る事業所得等の金額」という。)に対し、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額に相当する所得税を課する。

一 土地等に係る事業所得等の金額(第五項第二号の規定により読み替えられた所得税法第七十二条から第八十七条までの規定の適用がある場合には、その適用後の金額。次号において「土地等に係る課税事業所得等の金額」という。)の百分の四十に相当する金額

二 土地等に係る課税事業所得等の金額につきこの項の規定の適用がないものとした場合に算出される所得税の額として政令で定めるところにより計算した金額の百分の百十に相当する金額

2 前項に規定する所有期間とは、当該個人がその譲渡(賃借権の設定等を含む。)をした土地等をその取得をした日の翌日から引き続き所有していた期間として政令で定める期間をいう。

3 第一項の規定は、次に掲げる土地等の譲渡に該当することにつき財務省令で定めるところにより証明がされたものについては、適用しない。

一 国、地方公共団体その他これらに準ずる法人に対する土地等の譲渡(賃借権の設定等を含む。以下この項において同じ。)で政令で定めるもの

二 独立行政法人都市再生機構、土地開発公社その他これらに準ずる法人で宅地若しくは住宅の供給又は土地の先行取得の業務を行うことを目的とするものとして政令で定めるものに対する土地等の譲渡で、当該譲渡に係る土地等が当該業務を行うために直接必要であると認められるもの(政令で定める法人に対する土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等の面積が千平方メートル以上である場合には、第四号イに掲げる要件に該当する譲渡に限るものとし、土地開発公社に対する土地等の譲渡である場合には、政令で定める土地等の譲渡を除く。)

三 土地等の譲渡で第三十三条の四第一項に規定する収用交換等によるもの(当該収用交換等のうち政令で定めるものによる土地等の譲渡で当該譲渡に係る土地等の面積が千平方メートル以上である場合には、次号イに掲げる要件に該当する譲渡に限るものとし、前二号に掲げる譲渡に該当するものを除く。)

四 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二十九条第一項の許可(同法第四条第二項に規定する都市計画区域内において行われる同条第十二項に規定する開発行為に係るものに限る。以下この項において「開発許可」という。)を受けた個人(開発許可に基づく地位を承継した個人を含む。)が造成した一団の宅地(その面積が千平方メートル以上のものに限る。)の全部又は一部の当該個人による譲渡で、次に掲げる要件(当該譲渡が政令で定める譲渡に該当する場合には、イ及びロに掲げる要件)に該当するもの

イ 当該譲渡に係る対価の額が当該譲渡に係る適正な対価の額として政令で定める金額以下であること。

ロ 当該譲渡に係る宅地の造成が当該開発許可の内容に適合していること。

ハ 当該譲渡が公募の方法により行われたものであること。

五 その宅地の造成につき開発許可を要しない場合において個人が造成した一団の宅地(その面積が千平方メートル以上のものに限る。)の全部又は一部の当該個人による譲渡で、次に掲げる要件(当該譲渡が政令で定める譲渡に該当する場合には、イ及び前号イに掲げる要件)に該当するもの

イ 当該譲渡に係る宅地の造成が優良な宅地の供給に寄与するものであることについて政令で定めるところにより都道府県知事の認定を受けて行われ、かつ、その造成が当該認定の内容に適合していること。

ロ 当該譲渡が前号イ及びハに掲げる要件に該当するものであること。

六 個人が自己の計算により新築した住宅又は政令で定める請負の方法により新築した住宅(その新築が優良な住宅の供給に寄与するものであることについて政令で定めるところにより都道府県知事の認定を受けたものに限る。)の敷地の用に供された一団の宅地(その面積が千平方メートル以上のものに限る。)の全部又は一部の当該個人による譲渡で、第四号イ及びハに掲げる要件に該当するもの(前二号に掲げる譲渡に該当するものを除く。)

七 次に掲げる一団の宅地(その面積が千平方メートル未満のものに限る。)の全部又は一部の当該個人による譲渡で、当該譲渡に係る対価の額が当該譲渡に係る適正な対価の額として政令で定める金額以下であるもの

イ 当該個人が造成した一団の宅地でその造成が優良な宅地の供給に寄与するものであることについて政令で定めるところにより市町村長又は特別区の区長(その造成が開発許可を受けたものである場合には、当該許可をした者)の認定を受けたもの

ロ 一団の宅地で、当該個人が自己の計算により新築した住宅又は政令で定める請負の方法により新築した住宅(その新築が優良な住宅の供給に寄与するものであることについて政令で定めるところにより市町村長又は特別区の区長の認定を受けたものに限る。)の敷地の用に供されたもの(イに掲げる宅地に該当するものを除く。)

八 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者である個人の行う土地等(住宅の敷地の用に供されているもので政令で定めるものに限る。)の譲渡でその取得後政令で定める期間内に行われるもののうち土地等の売買の代理又は媒介に関し報酬を受ける行為に類するものとして政令で定めるもの

4 第一項及び前項に定めるもののほか、同項第四号ハの公募の方法に関する事項その他第一項及び前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

5 第一項の規定の適用がある場合には、次に定めるところによる。

一 所得税法第二条第一項第三十号から第三十四号の四までの規定の適用については、同項第三十号の規定中「山林所得金額」とあるのは、「山林所得金額並びに租税特別措置法第二十八条の四第一項(土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例)に規定する土地等に係る事業所得等の金額(以下「土地等に係る事業所得等の金額」という。)」とする。

二 所得税法第四十四条の二第二項、第六十九条、第七十条、第七十一条及び第七十二条から第八十七条までの規定の適用については、これらの規定中「総所得金額」とあるのは、「総所得金額、土地等に係る事業所得等の金額」とする。

三 所得税法第九十二条、第九十五条及び第百六十五条の六の規定の適用については、同法第九十二条第一項中「前節(税率)」とあるのは「前節(税率)及び租税特別措置法第二十八条の四第一項(土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例)」と、「課税総所得金額」とあるのは「課税総所得金額及び租税特別措置法第二十八条の四第一項に規定する土地等に係る課税事業所得等の金額の合計額」と、同条第二項中「課税総所得金額に係る所得税額」とあるのは「課税総所得金額に係る所得税額、同項に規定する土地等に係る課税事業所得等の金額に係る所得税額」と、同法第九十五条及び第百六十五条の六中「その年分の所得税の額」とあるのは「その年分の所得税の額及び租税特別措置法第二十八条の四第一項(土地の譲渡等に係る事業所得等の課税の特例)の規定による所得税の額」とする。

四 前三号に定めるもののほか、所得税法第二編第五章の規定による申請又は申告に関する特例その他第一項の規定の適用がある場合における所得税に関する法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

6 第一項の規定は、個人が平成十年一月一日から令和八年三月三十一日までの間にした土地の譲渡等については、適用しない。

 

 

国税通則法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 国税 国が課する税のうち関税、とん税、特別とん税、森林環境税及び特別法人事業税以外のものをいう。

二 源泉徴収等による国税 源泉徴収に係る所得税及び国際観光旅客税法(平成三十年法律第十六号)第二条第一項第七号(定義)に規定する特別徴収に係る国際観光旅客税(これらの税に係る附帯税を除く。)をいう。

三 消費税等 消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税及び石油石炭税をいう。

四 附帯税 国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税をいう。

五 納税者 国税に関する法律の規定により国税(源泉徴収等による国税を除く。)を納める義務がある者(国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)に規定する第二次納税義務者及び国税の保証人を除く。)及び源泉徴収等による国税を徴収して国に納付しなければならない者をいう。

六 納税申告書 申告納税方式による国税に関し国税に関する法律の規定により次に掲げるいずれかの事項その他当該事項に関し必要な事項を記載した申告書をいい、国税に関する法律の規定による国税の還付金(以下「還付金」という。)の還付を受けるための申告書でこれらのいずれかの事項を記載したものを含むものとする。

イ 課税標準(国税に関する法律に課税標準額又は課税標準数量の定めがある国税については、課税標準額又は課税標準数量。以下同じ。)

ロ 課税標準から控除する金額

ハ 次に掲げる金額(以下「純損失等の金額」という。)

(1) 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)に規定する純損失の金額又は雑損失の金額でその年以前において生じたもののうち、同法の規定により翌年以後の年分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前年分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの

(2) 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)に規定する欠損金額でその事業年度以前において生じたもの(同法第五十七条第二項(欠損金の繰越し)の規定により欠損金額とみなされたものを含む。)のうち、同法の規定により翌事業年度以後の事業年度分の所得の金額の計算上順次繰り越して控除し、又は前事業年度以前の事業年度分の所得に係る還付金の額の計算の基礎とすることができるもの

(3) 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第二十一条の十二(相続時精算課税に係る贈与税の特別控除)の規定により同条の規定の適用を受けて控除した金額がある場合における当該金額の合計額を二千五百万円から控除した残額

ニ 納付すべき税額

ホ 還付金の額に相当する税額

ヘ ニの税額の計算上控除する金額又は還付金の額の計算の基礎となる税額

七 法定申告期限 国税に関する法律の規定により納税申告書を提出すべき期限をいう。

八 法定納期限 国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限(次に掲げる国税については、それぞれ次に定める期限又は日)をいう。この場合において、第三十八条第二項(繰上請求)に規定する繰上げに係る期限及び所得税法若しくは相続税法の規定による延納(以下「延納」という。)、第四十七条第一項(納税の猶予の通知等)に規定する納税の猶予又は徴収若しくは滞納処分に関する猶予に係る期限は、当該国税を納付すべき期限に含まれないものとする。

イ 第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき国税 その国税の額をその国税に係る期限内申告書に記載された納付すべき税額とみなして国税に関する法律の規定を適用した場合におけるその国税を納付すべき期限

ロ 国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限とされている日後に納税の告知がされた国税(ハ又はニに掲げる国税に該当するものを除く。) 当該期限

ハ 国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている賦課課税方式による国税 当該事実が生じた日

ニ 附帯税 その納付又は徴収の基因となる国税を納付すべき期限(当該国税がイからハまでに掲げる国税に該当する場合には、それぞれ当該国税に係るイからハまでに掲げる期限(地価税に係る過少申告加算税、無申告加算税及び第三十五条第三項に規定する重加算税については、先に到来する期限)又は日)

九 課税期間 国税に関する法律の規定により国税の課税標準の計算の基礎となる期間(課税資産の譲渡等(消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第二条第一項第九号(定義)に規定する課税資産の譲渡等をいい、同項第八号の二に規定する特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第十五条第二項第七号(納税義務の成立及びその納付すべき税額の確定)において同じ。)及び特定課税仕入れ(同法第五条第一項(納税義務者)に規定する特定課税仕入れをいう。同号において同じ。)に課される消費税(以下「課税資産の譲渡等に係る消費税」という。)については、同法第十九条(課税期間)に規定する課税期間)をいう。

十 強制換価手続 滞納処分(その例による処分を含む。)、強制執行、担保権の実行としての競売、企業担保権の実行手続及び破産手続をいう。

 

 

 

 

       主   文

 

 原判決中、上告人の昭和五一年分の所得税に係る再更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分の取消請求に関する部分を破棄し、第一審判決中右部分を次のとおり変更する。

 被上告人が上告人に対して昭和五五年二月五日付けでした昭和五一年分の所得税に係る再更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分中、納付すべき税額二二一万七四〇〇円及び過少申告加算税額九万七四〇〇円を超える部分を取り消す。

 前項の処分に関する上告人のその余の請求を棄却する。

 上告人のその余の上告を棄却する。

 第一項の破棄部分に関する訴訟の総費用はこれを一〇分し、その一を被上告人の、その余の上告人の負担とし、前項に関する上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 一 上告代理人高橋敬、同羽柴修の上告理由第二について

 原審の適法に確定した事実関係によれば、上告人の昭和五一年分の所得税について、(1) 上告人は被上告人に対し、昭和五二年三月一四日付けで、事業所得金額を一七四万円、分離課税に係る長期譲渡所得金額を一三七万九〇五五円、納付すべき税額(昭和五一年分所得税の特別減税のための臨時措置法に基づく特別減税の額を控除した後の額、以下同じ)を二六万七六〇〇円とする確定申告をした、(2) 被上告人は上告人に対し、昭和五五年二月五日付けで、事業所得金額を六八三万四〇〇一円、分離課税に係る土地の譲渡等による事業所得金額を四四三万八一九七円、納付すべき税額を二七一万六〇〇〇円とする再更正処分及び過少申告加算税額を一二万二四〇〇円とする過少申告加算税の賦課決定処分をした、(3)本件再更正処分等に対する上告人の審査請求に対し、国税不服審判所長は、昭和五七年一月二七日付けで、事業所得金額を一一二二万二二八七円、納付すべき税額を二四二万三二〇〇円、過少申告加算税額を一〇万七七〇〇円とし、本件再更正処分中右納付すべき税額を超える部分及び本件賦課決定処分中右過少申告加算税額を超える部分をそれぞれ取り消す旨の裁決をした、(4)上告人には、昭和五一年分の所得として、事業所得金額一〇二九万〇四〇二円、分離課税に係る土地の譲渡等による事業所得金額三五万五六〇一円が存在する、というのである。

 右事実関係の下において、原審は、上告人の事業所得金額一〇二九万〇四〇二円は本件再更正処分における事業所得金額六八三万四〇〇一円を上回るから本件再更正処分は適法であり、本件再更正処分においては分離課税に係る土地の譲渡等による事業所得金額が認められているが、同金額は裁決において取り消されているから本件訴えにおいては右の点の課税関係は審判の対象とはされていないものと判断し、本件再更正処分及び本件賦課決定処分(ただし、いずれも裁決による一部取消し後のもの、以下同じ)のうち右確定申告額を超える部分の取消しを求める上告人の請求を棄却すべきものとした。

 【判示事項一】しかしながら、原審の右判断は是認することができない。すなわち、課税処分の取消訴訟における実体上の審判の対象は当該課税処分によって確定された税額の適否であるから、当該課税処分によって確定された税額(ただし、審査請求に対する裁決によりその一部が取り消されたときは取消し後の税額)が租税法規によって客観的に定まる税額を上回る場合には、当該課税処分はその上回る限度において違法となるものというべきである。これを本件についてみるのに、本件再更正処分は上告人の納付すべき税額を二四二万三二〇〇円と確定したものであるところ、これに対して、前記事実関係の下において、【判示事項二】上告人の昭和五一年分の所得(事業所得金額一〇二九万〇四〇二円及び分離課税に係る土地の譲渡等の事業所得金額三五万五六〇一円)に対して客観的に定まる納付すべき税額は二二一万七四〇〇円(編注・上記金額は、前記特別減税の額を控除した金額である。)であることが明らかであるから、本件再更正処分中、右納付すべき税額を超える部分は違法なものとして取消しを免れない。同様に、本件賦課決定処分は上告人の過少申告加算税額を一〇万七七〇〇円と確定しものであるところ、右事実関係の下で、上告人について客観的に定まる過少申告加算税額は九万七四〇〇円であることが明らかであるから、本件賦課決定処分中、右過少申告加算税額を超える部分は違法なものとして取消しを免れないこととなる。以上と異なる原審の判断には課税処分の取消訴訟における審判の対象について法令の解釈適用を誤った違法があり、右の違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由がある。

 したがって、原判決中、本件再更正処分及び本件賦課決定処分の取消請求に関する部分はこの点において破棄を免れず、第一審判決中同部分を右の趣旨に変更すべきである。

 二 その余の上告理由について

 所論(昭和五一年分についてのその余の論旨及び同五二年分についての論旨)の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三八四条、九六条、八九条、九二条を適用し、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判官 可部恒雄 貞家克己 園部逸夫 佐藤庄市郎)

 

上告理由〈略〉