捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法42条1項の自首が成立しないとされた事例 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法42条1項の自首が成立しないとされた事例

 

 

              殺人,窃盗,住居侵入,会社法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/令和元年(あ)第1843号

【判決日付】      令和2年12月7日

【判示事項】      捜査機関への申告内容に虚偽が含まれていた事案につき刑法42条1項の自首が成立しないとされた事例

【判決要旨】      被告人が,自宅で,被害者をその嘱託を受けることなく殺害した後,嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の事実を記載したメモを遺体のそばに置いた状態で,自宅の外から警察署に電話をかけ,自宅に遺体があり,そのそばにあるメモを見れば経緯が分かる旨伝えるとともに,自宅の住所を告げ,その後,警察署において,司法警察員に対し,嘱託を受けて被害者を殺害した旨の虚偽の供述をしたという本件事実関係の下においては,刑法42条1項の自首は成立しない。

【参照条文】      刑法42-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集74巻9号757頁

 

 

刑法

(自首等)

第四十二条 罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。

2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

 

(殺人)

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

(自殺関与及び同意殺人)

第二百二条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。