商法265条所定の取引につき取締役会の承認を要しないとされた事例 所有権移転登記手続等請求 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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商法265条所定の取引につき取締役会の承認を要しないとされた事例

 

 

              所有権移転登記手続等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和43年(オ)第335号

【判決日付】      昭和45年8月20日

【判示事項】      商法265条所定の取引につき取締役会の承認を要しないとされた事例

【判決要旨】      会社と取締役間に商法265条所定の取引がなされる場合でも、右取締役が会社の全株式を所有し、会社の営業が実質上右取締役の個人経営のものにすぎないときは、右取引によつて両者の間に実質的に利害相反する関係を生ずるものでなく、右取引については、同条所定の取締役会の承認を必要としない。

【参照条文】      商法265

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集24巻9号1305頁

 

 

会社法

(競業及び利益相反取引の制限)
第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号又は第三号の取引については、適用しない。

 

(競業及び取締役会設置会社との取引等の制限)

第三百六十五条 取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

2 取締役会設置会社においては、第三百五十六条第一項各号の取引をした取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければならない。