自動改札機や自動精算機を利用した,いわゆるキセル乗車が,刑法246条の2後段の電子計算機使用詐欺 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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自動改札機や自動精算機を利用した,いわゆるキセル乗車が,刑法246条の2後段の電子計算機使用詐欺罪に該当するとした事例

 

 

電子計算機使用詐欺被告事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成24年(う)第1509号

【判決日付】      平成24年10月30日

【判示事項】      自動改札機や自動精算機を利用した,いわゆるキセル乗車が,刑法246条の2後段の電子計算機使用詐欺罪に該当するとした事例

【判決要旨】      被告人両名が,それぞれ鶯谷駅又は上野駅において,130円区間有効の乗車券を自動改札機に投入した上で列車に乗車し,宇都宮駅において,雀宮駅から岡本駅までを有効区間とする回数券(入場記録のないもの)を自動改札機に投入し,出場したという往路のキセル乗車の事案と,それぞれ宇都宮駅において,180円区間又は190円区間有効の乗車券を自動改札機に投入した上で,列車に乗車し,その後,1名は赤羽駅において,他の1名は渋谷駅において,それぞれ往路に用いた乗車券を自動精算機に投入し,表示された不足運賃(30円から60円)を投入して,精算券を入手し,これを各駅の自動改札機に投入して,出場したという復路のキセル乗車の事案について,被告人両名が自動改札機又は自動精算機に回数券又は乗車券を投入する行為は,「虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供した」ものであり,刑法246条の2後段の電子計算機使用詐欺罪が成立する。

【参照条文】      刑法246の2後段

【掲載誌】        高等裁判所刑事裁判速報集平成24年146頁

 

 

刑法

(電子計算機使用詐欺)

第二百四十六条の二 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。