左舷側外板亀裂による浸水沈没事故が生じた船舶について発航の当時公的検査に合格し船体外板が船級協会 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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左舷側外板亀裂による浸水沈没事故が生じた船舶について発航の当時公的検査に合格し船体外板が船級協会の規則を満たす板厚を有していたとしても国際海上物品運送法五条一項一号の堪航能力保持につき注意義務が尽くされたとは認められないとされた事例

 

 

損害賠償等請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成9年(ネ)第4599号

【判決日付】      平成12年9月14日

【判示事項】      一 左舷側外板亀裂による浸水沈没事故が生じた船舶について発航の当時公的検査に合格し船体外板が船級協会の規則を満たす板厚を有していたとしても国際海上物品運送法五条一項一号の堪航能力保持につき注意義務が尽くされたとは認められないとされた事例

             二 運送契約により運送品である丸太を陸揚港の岸壁に陸揚げして引き渡すことが約定されている場合における海没した丸太の引き揚げ費用と商法五八〇条二項の適用

【判決要旨】      1 丸太を運搬して航海中の船舶が左舷側外板亀裂による浸水沈没事故を生じた場合において、右船舶が錆が生じ腐食しやすい丸太運搬船で、外板に溝状腐食が生じやすいものであって、事故の1か月前に右舷側外板に亀裂浸水事故を惹起しているなど判示の事実関係のもとにおいては、右船舶が公的検査に合格しており、発航の当時、亀裂を生じた部分の船体外板が船級協会の規則の定める最大衰耗率の範囲内の衰耗しか認められなかったとしても、国際海上物品運送法5条1項1号の堪航能力の保持につき注意が尽くされたとは認められない。

             2 運送契約により運送品である丸太を陸揚港の岸壁に陸揚げして引き渡すことが約定されている場合における、丸太の引渡前に発生した船舶の浸水沈没事故により海中に没した丸太を右岸壁に引き揚げる費用については、商法580条2項の適用はない。

【参照条文】      国際海上物品運送法5-1

             国際海上物品運送法5-2

             国際海上物品運送法(平成4年法律第69号による改正前のもの)20-2

             商法580-2

             民法416

【掲載誌】        高等裁判所民事判例集53巻2号124頁

 

 

国際海上物品運送法

(航海に堪える能力に関する注意義務)

第五条 運送人は、発航の当時次に掲げる事項を欠いたことにより生じた運送品の滅失、損傷又は延着について、損害賠償の責任を負う。ただし、運送人が自己及びその使用する者がその当時当該事項について注意を怠らなかつたことを証明したときは、この限りでない。

一 船舶を航海に堪える状態に置くこと。

二 船員の乗組み、船舶の艤ぎ装及び需品の補給を適切に行うこと。

三 船倉、冷蔵室その他運送品を積み込む場所を運送品の受入れ、運送及び保存に適する状態に置くこと。

 

 

商法

(荷送人による運送の中止等の請求)

第五百八十条 荷送人は、運送人に対し、運送の中止、荷受人の変更その他の処分を請求することができる。この場合において、運送人は、既にした運送の割合に応じた運送賃、付随の費用、立替金及びその処分によって生じた費用の弁済を請求することができる。

 

 

民法

(損害賠償の範囲)

第四百十六条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。

2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。