各外国法人の株式を保有する国内居住者の原告が,所得税及び復興特別所得税の確定申告に当たり,各外国法人が租税特別措置法40条の4第1項の特定外国子会社等に該当しないことを前提に申告をしたところ,処分行政庁から各更正処分及びこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分を受けたため,各更正処分のうち申告額を超える部分及び各賦課決定処分の取消しを求めた事案。
所得税更正処分等取消請求事件
【事件番号】 東京地方裁判所判決/平成29年(行ウ)第426号
【判決日付】 令和3年7月20日
【判示事項】 各外国法人の株式を保有する国内居住者の原告が,所得税及び復興特別所得税の確定申告に当たり,各外国法人が租税特別措置法40条の4第1項の特定外国子会社等に該当しないことを前提に申告をしたところ,処分行政庁から各更正処分及びこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分を受けたため,各更正処分のうち申告額を超える部分及び各賦課決定処分の取消しを求めた事案。
裁判所は,各外国法人は,特定外国子会社等に該当し,かつ,確定申告書に適用除外記載書面の添付がないことにより適用除外規定は適用されず,適用除外要件の全てを満たさないから,各外国法人に係る各課税対象金額は,雑所得の計算上,総収入金額に算入すべきものであり,各処分は適法として,請求をいずれも棄却した事例
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
租税特別措置法
第一款 居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例
第四十条の四第1項 次に掲げる居住者に係る外国関係会社のうち、特定外国関係会社又は対象外国関係会社に該当するものが、昭和五十三年四月一日以後に開始する各事業年度(第二条第二項第十九号に規定する事業年度をいう。以下この条及び次条第二項において同じ。)において適用対象金額を有する場合には、その適用対象金額のうちその者が直接及び間接に有する当該特定外国関係会社又は対象外国関係会社の株式等(株式又は出資をいう。以下この条において同じ。)の数又は金額につきその請求権(剰余金の配当等(法人税法第二十三条第一項第一号に規定する剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。以下この項及び次項において同じ。)を請求する権利をいう。以下この条において同じ。)の内容を勘案した数又は金額並びにその者と当該特定外国関係会社又は対象外国関係会社との間の実質支配関係の状況を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(次条において「課税対象金額」という。)に相当する金額は、その者の雑所得に係る収入金額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から二月を経過する日の属する年分のその者の雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
一 居住者の外国関係会社に係る次に掲げる割合のいずれかが百分の十以上である場合における当該居住者
イ その有する外国関係会社の株式等の数又は金額(当該外国関係会社と居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある場合には、零)及び他の外国法人を通じて間接に有するものとして政令で定める当該外国関係会社の株式等の数又は金額の合計数又は合計額が当該外国関係会社の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式等を除く。次項、第六項及び第八項において「発行済株式等」という。)の総数又は総額のうちに占める割合
ロ その有する外国関係会社の議決権(剰余金の配当等に関する決議に係るものに限る。ロ及び次項第一号イ(2)において同じ。)の数(当該外国関係会社と居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある場合には、零)及び他の外国法人を通じて間接に有するものとして政令で定める当該外国関係会社の議決権の数の合計数が当該外国関係会社の議決権の総数のうちに占める割合
ハ その有する外国関係会社の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額(当該外国関係会社と居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある場合には、零)及び他の外国法人を通じて間接に有する当該外国関係会社の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額として政令で定めるものの合計額が当該外国関係会社の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の総額のうちに占める割合
二 外国関係会社との間に実質支配関係がある居住者
三 外国関係会社(居住者との間に実質支配関係があるものに限る。)の他の外国関係会社に係る第一号イからハまでに掲げる割合のいずれかが百分の十以上である場合における当該居住者(同号に掲げる居住者を除く。)
四 外国関係会社に係る第一号イからハまでに掲げる割合のいずれかが百分の十以上である一の同族株主グループ(外国関係会社の株式等を直接又は間接に有する者及び当該株式等を直接又は間接に有する者との間に実質支配関係がある者(当該株式等を直接又は間接に有する者を除く。)のうち、一の居住者又は内国法人、当該一の居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある者及び当該一の居住者又は内国法人と政令で定める特殊の関係のある者(外国法人を除く。)をいう。)に属する居住者(外国関係会社に係る同号イからハまでに掲げる割合又は他の外国関係会社(居住者との間に実質支配関係があるものに限る。)の当該外国関係会社に係る同号イからハまでに掲げる割合のいずれかが零を超えるものに限るものとし、同号及び前号に掲げる居住者を除く。)
2 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 外国関係会社 次に掲げる外国法人をいう。
イ 居住者及び内国法人並びに特殊関係非居住者(居住者又は内国法人と政令で定める特殊の関係のある非居住者をいう。)及びロに掲げる外国法人(イにおいて「居住者等株主等」という。)の外国法人に係る次に掲げる割合のいずれかが百分の五十を超える場合における当該外国法人
(1) 居住者等株主等の外国法人(ロに掲げる外国法人を除く。)に係る直接保有株式等保有割合(居住者等株主等の有する当該外国法人の株式等の数又は金額がその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合をいう。)及び居住者等株主等の当該外国法人に係る間接保有株式等保有割合(居住者等株主等の他の外国法人を通じて間接に有する当該外国法人の株式等の数又は金額がその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合として政令で定める割合をいう。)を合計した割合
(2) 居住者等株主等の外国法人(ロに掲げる外国法人を除く。)に係る直接保有議決権保有割合(居住者等株主等の有する当該外国法人の議決権の数がその総数のうちに占める割合をいう。)及び居住者等株主等の当該外国法人に係る間接保有議決権保有割合(居住者等株主等の他の外国法人を通じて間接に有する当該外国法人の議決権の数がその総数のうちに占める割合として政令で定める割合をいう。)を合計した割合
(3) 居住者等株主等の外国法人(ロに掲げる外国法人を除く。)に係る直接保有請求権保有割合(居住者等株主等の有する当該外国法人の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額がその総額のうちに占める割合をいう。)及び居住者等株主等の当該外国法人に係る間接保有請求権保有割合(居住者等株主等の他の外国法人を通じて間接に有する当該外国法人の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額がその総額のうちに占める割合として政令で定める割合をいう。)を合計した割合
ロ 居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある外国法人
ハ 第六号中「外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)」とあるのを「外国法人」として同号及び第七号の規定を適用した場合に同号に規定する外国金融機関に該当することとなる外国法人で、同号に規定する外国金融機関に準ずるものとして政令で定める部分対象外国関係会社との間に、当該部分対象外国関係会社が当該外国法人の経営管理を行つている関係その他の特殊の関係がある外国法人として政令で定める外国法人
二 特定外国関係会社 次に掲げる外国関係会社をいう。
イ 次のいずれにも該当しない外国関係会社
(1) その主たる事業を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有している外国関係会社
(2) その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域(以下この項、第六項及び第八項において「本店所在地国」という。)においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行つている外国関係会社
(3) 外国子会社(当該外国関係会社とその本店所在地国を同じくする外国法人で、当該外国関係会社の有する当該外国法人の株式等の数又は金額のその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合が百分の二十五以上であることその他の政令で定める要件に該当するものをいう。)の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その収入金額のうちに占める当該株式等に係る剰余金の配当等の額の割合が著しく高いことその他の政令で定める要件に該当するもの
(4) 特定子会社(前項各号に掲げる居住者に係る他の外国関係会社で、部分対象外国関係会社に該当するものその他の政令で定めるものをいう。)の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社(当該居住者に係る他の外国関係会社のうち、部分対象外国関係会社に該当するもので、その本店所在地国において、その役員(法人税法第二条第十五号に規定する役員をいう。次号及び第七号並びに第六項において同じ。)又は使用人がその主たる事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものをいう。(4)及び(5)において同じ。)によつてその事業の管理、支配及び運営が行われていること、当該管理支配会社がその本店所在地国で行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしていること、その収入金額のうちに占める当該株式等に係る剰余金の配当等の額及び当該株式等の譲渡に係る対価の額の割合が著しく高いことその他の政令で定める要件に該当するもの
(5) その本店所在地国にある不動産の保有、その本店所在地国における石油その他の天然資源の探鉱、開発若しくは採取又はその本店所在地国の社会資本の整備に関する事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしている外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によつてその事業の管理、支配及び運営が行われていることその他の政令で定める要件に該当するもの
ロ その総資産の額として政令で定める金額(ロにおいて「総資産額」という。)に対する第六項第一号から第七号まで及び第八号から第十号までに掲げる金額に相当する金額の合計額の割合(第六号中「外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)」とあるのを「外国関係会社」として同号及び第七号の規定を適用した場合に外国金融子会社等に該当することとなる外国関係会社にあつては総資産額に対する第八項第一号に掲げる金額に相当する金額又は同項第二号から第四号までに掲げる金額に相当する金額の合計額のうちいずれか多い金額の割合とし、第六号中「外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)」とあるのを「外国関係会社」として同号及び第六項の規定を適用した場合に同項に規定する清算外国金融子会社等に該当することとなる外国関係会社の同項に規定する特定清算事業年度にあつては総資産額に対する同項に規定する特定金融所得金額がないものとした場合の同項第一号から第七号まで及び第八号から第十号までに掲げる金額に相当する金額の合計額の割合とする。)が百分の三十を超える外国関係会社(総資産額に対する有価証券(法人税法第二条第二十一号に規定する有価証券をいう。同項において同じ。)、貸付金その他政令で定める資産の額の合計額として政令で定める金額の割合が百分の五十を超える外国関係会社に限る。)
ハ 次に掲げる要件のいずれにも該当する外国関係会社
(1) 各事業年度の非関連者等収入保険料(関連者(当該外国関係会社に係る前項各号に掲げる居住者、第六十六条の六第一項各号に掲げる内国法人その他これらの者に準ずる者として政令で定めるものをいう。(2)において同じ。)以外の者から収入するものとして政令で定める収入保険料をいう。(2)において同じ。)の合計額の収入保険料の合計額に対する割合として政令で定めるところにより計算した割合が百分の十未満であること。
(2) 各事業年度の非関連者等支払再保険料合計額(関連者以外の者に支払う再保険料の合計額を関連者等収入保険料(非関連者等収入保険料以外の収入保険料をいう。(2)において同じ。)の合計額の収入保険料の合計額に対する割合で按あん分した金額として政令で定める金額をいう。)の関連者等収入保険料の合計額に対する割合として政令で定めるところにより計算した割合が百分の五十未満であること。
ニ 租税に関する情報の交換に関する国際的な取組への協力が著しく不十分な国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社
三 対象外国関係会社 次に掲げる要件のいずれかに該当しない外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)をいう。
イ 株式等若しくは債券の保有、工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)若しくは著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の提供又は船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするもの(次に掲げるものを除く。)でないこと。
(1) 株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち当該外国関係会社が他の法人の事業活動の総合的な管理及び調整を通じてその収益性の向上に資する業務として政令で定めるもの(ロにおいて「統括業務」という。)を行う場合における当該他の法人として政令で定めるものの株式等の保有を行うものとして政令で定めるもの
(2) 株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち第七号中「部分対象外国関係会社」とあるのを「外国関係会社」として同号の規定を適用した場合に外国金融子会社等に該当することとなるもの(同号に規定する外国金融機関に該当することとなるもの及び(1)に掲げるものを除く。)
(3) 航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社のうちその役員又は使用人がその本店所在地国において航空機の貸付けを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していることその他の政令で定める要件を満たすもの
ロ その本店所在地国においてその主たる事業(イ(1)に掲げる外国関係会社にあつては統括業務とし、イ(2)に掲げる外国関係会社にあつては政令で定める経営管理とする。ハにおいて同じ。)を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有していること並びにその本店所在地国においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行つていることのいずれにも該当すること。
ハ 各事業年度においてその行う主たる事業が次に掲げる事業のいずれに該当するかに応じそれぞれ次に定める場合に該当すること。
(1) 卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業又は物品賃貸業(航空機の貸付けを主たる事業とするものに限る。) その事業を主として当該外国関係会社に係る前項各号に掲げる居住者、第六十六条の六第一項各号に掲げる内国法人その他これらの者に準ずる者として政令で定めるもの以外の者との間で行つている場合として政令で定める場合
(2) (1)に掲げる事業以外の事業 その事業を主としてその本店所在地国(当該本店所在地国に係る水域で政令で定めるものを含む。)において行つている場合として政令で定める場合
四 適用対象金額 特定外国関係会社又は対象外国関係会社の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき法人税法及びこの法律による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額(以下この号において「基準所得金額」という。)を基礎として、政令で定めるところにより、当該各事業年度開始の日前七年以内に開始した各事業年度において生じた欠損の金額及び当該基準所得金額に係る税額に関する調整を加えた金額をいう。
五 実質支配関係 居住者又は内国法人が外国法人の残余財産のおおむね全部を請求する権利を有している場合における当該居住者又は内国法人と当該外国法人との間の関係その他の政令で定める関係をいう。
六 部分対象外国関係会社 第三号イからハまでに掲げる要件の全てに該当する外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)をいう。
七 外国金融子会社等 その本店所在地国の法令に準拠して銀行業、金融商品取引業(金融商品取引法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業と同種類の業務に限る。)又は保険業を行う部分対象外国関係会社でその本店所在地国においてその役員又は使用人がこれらの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているもの(以下この号において「外国金融機関」という。)及び外国金融機関に準ずるものとして政令で定める部分対象外国関係会社をいう。
主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
1 西宮税務署長が平成27年10月30日付けで原告に対してした原告の平成24年分の所得税に係る更正処分のうち総所得金額4257万2900円,納付すべき税額150万5400円を超える部分及び同処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。
2 西宮税務署長が平成27年10月30日付けで原告に対してした原告の平成25年分の所得税及び復興特別所得税に係る更正処分のうち総所得金額3505万円,納付すべき税額51万2100円を超える部分並びに同処分に伴う過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。
第2 事案の概要
国内居住者である原告は,中華人民共和国(以下「中国」という。)香港特別行政区(以下「香港」という。)において設立された外国法人であるA1(以下「A1」という。)の株式を保有しており,A1は,香港において設立された外国法人であるA2有限公司(以下「A2」という。)の株式のほとんどを保有している。
本件は,原告が,平成24年分の所得税並びに平成25年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)の確定申告に当たり,A1及びA2が租税特別措置法(平成26年法律第10号による改正前のもの。以下「措置法」という。)40条の4第1項の特定外国子会社等(いわゆるタックス・ヘイブン対策税制の適用対象たる外国法人)に該当しないことを前提に申告をしたところ,西宮税務署長(処分行政庁)から,平成23年12月末日時点の両社及び平成24年12月末日時点のA1が特定外国子会社等に該当するとして,その課税対象金額を原告の雑所得の総収入金額に算入することによる各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及びこれに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい,本件各更正処分と併せて「本件各処分」という。)を受けたため,本件各更正処分のうち申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分の取消しを求める事案である。
1 関係法令
本件に関連する措置法及び租税特別措置法施行令(平成27年政令第148号による改正前のもの。以下「措置法施行令」という。)の定めは,別紙2-1,2-2のとおりであり,その概要は以下のとおりである。
(1) タックス・ヘイブン対策税制の適用要件(措置法40条の4第1項及び第2項)について
タックス・ヘイブン対策税制について定めている措置法40条の4第1項は,同項各号に掲げる居住者に係る外国関係会社(後記イ)のうち特定外国子会社等(後記ウ)が,各事業年度において適用対象金額(後記エ)を有する場合には,その適用対象金額のうち,その者の有する当該特定外国子会社等の直接及び間接保有の株式等(株式又は出資をいう。以下同じ)の数に対応するものとしてその株式等の請求権の内容を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(以下「課税対象金額」という。)に相当する金額は,その者の雑所得に係る収入金額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から2月を経過する日の属する年分のその者の雑所得の金額の計算上,総収入金額に算入する旨規定している。
そして,タックス・ヘイブン対策税制に係る納税義務者(措置法40条の4第1項各号の居住者),外国関係会社,特定外国子会社等及び適用対象金額については,以下のとおり規定されている。
ア 納税義務者
タックス・ヘイブン対策税制の対象となる納税義務者(措置法40条の4第1項各号の居住者)は,①その有する外国関係会社の直接及び間接保有の株式等の数の当該外国関係会社の発行済株式又は出資の総数又は総額のうちに占める割合が100分の10以上である居住者(同項1号),又は②上記割合が100分の10以上である一の同族株主グループに属する居住者(同項2号)である。
なお,ある者が上記各号の居住者に該当するかどうかの判定は,これらの居住者に係る外国関係会社の各事業年度終了の時の現況による(措置法施行令25条の24第1項)。
イ 外国関係会社
外国関係会社とは,外国法人で,その発行済株式又は出資の総数又は総額のうちに居住者及び内国法人並びに特殊関係非居住者(以下「居住者等」という。)が有する直接及び間接保有の株式等の数の合計数又は合計額の占める割合が100分の50を超えるものをいう(措置法40条の4第2項1号)。
なお,ある外国法人が外国関係会社に該当するかどうかの判定は,当該外国法人の各事業年度終了の時の現況による(措置法施行令25条の24第1項)。
ウ 特定外国子会社等
特定外国子会社等とは,本店又は主たる事務所の所在する国又は地域(以下「本店所在地国等」という。)におけるその所得に対して課される税の負担が本邦における法人の所得に対して課される税の負担に比して著しく低いものとして政令で定める外国関係会社であり(措置法40条の4第1項本文),具体的には,①法人の所得に対して課される税が存在しない国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社,又は②その各事業年度の所得に対して課される租税の額が当該所得の金額の100分の20以下である外国関係会社をいう(措置法施行令25条の19第1項)。
エ 適用対象金額
適用対象金額とは,特定外国子会社等の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき法人税法及び措置法による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額(以下「基準所得金額」という。)を基礎として,政令で定めるところにより,当該各事業年度開始の日前7年以内に開始した各事業年度において生じた欠損の金額及び当該基準所得金額に係る税額に関する調整を加えた金額をいう(措置法40条の4第2項2号)。
(2) 適用除外規定について
ア 措置法40条の4第3項の定め
措置法40条の4第3項(以下「本件適用除外規定」ということがある。)柱書きは,同条1項各号の居住者に係る特定外国子会社等が次の要件(以下「本件適用除外要件」という。)の全てを満たすときは,当該特定外国子会社等のその該当する事業年度に係る適用対象金額については,同条1項の規定を適用しない旨を定めている。
すなわち,本件適用除外要件は,当該特定外国子会社等が,①株式等の保有等(以下「株式保有業」ということがある。)を主たる事業とするもの(統括業務を行う事業持株会社を除く。)以外のものであること(以下「事業基準」という。),②その本店所在地国等においてその主たる事業を行うに必要と認められる事務所,店舗,工場その他の固定施設を有していること,③その事業の管理,支配及び運営を自ら行っていること(以下「管理支配基準」という。),④各事業年度においてその行う主たる事業が措置法40条の4第3項各号に掲げる事業のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める場合に該当することである。
そして,上記④の要件については,(a)その主たる事業が,卸売業,銀行業,信託業,金融商品取引業,保険業,水運業又は航空運送業(以下「卸売業等」という。)のいずれかであるときは,その事業を主として当該特定外国子会社等に係る所定の関連者以外の者との間で行っている場合として政令で定める場合に該当すること(以下「非関連者基準」という。),(b)その主たる事業が卸売業等以外の事業であるときは,その事業を主として本店所在地国等において行っている場合として政令で定める場合に該当すること(以下「所在地国基準」という。)を要するものとされている(措置法40条の4第3項1号,2号,措置法施行令25条の22第8項,12項)。
イ 措置法40条の4第7項の定め
措置法第40条の4第7項は,本件適用除外規定は,政令で定めるところにより,確定申告書にこれらの規定の適用がある旨を記載した書面(以下「適用除外記載書面」という。)を添付し,かつ,その適用があることを明らかにする書類その他の資料を保存している場合に限り,適用するものとしている。