延滞税、過少申告加算税、重加算税のほかに刑罰を科することが憲法三九条に違反するとの主張を刑訴法四〇八条で処理した事例
所得税法違反
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/昭和52年(あ)第1222号
【判決日付】 昭和53年6月6日
【判示事項】 延滞税、過少申告加算税、重加算税のほかに刑罰を科することが憲法三九条に違反するとの主張を刑訴法四〇八条で処理した事例
【参照条文】 国税通則法60
国税通則法65
国税通則法68
所得税法238
憲法39
刑事訴訟法408
【掲載誌】 最高裁判所裁判集刑事210号225頁
税務訴訟資料107号954頁
憲法
第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
国税通則法
(延滞税)
第六十条 納税者は、次の各号のいずれかに該当するときは、延滞税を納付しなければならない。
一 期限内申告書を提出した場合において、当該申告書の提出により納付すべき国税をその法定納期限までに完納しないとき。
二 期限後申告書若しくは修正申告書を提出し、又は更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定を受けた場合において、第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき国税があるとき。
三 納税の告知を受けた場合において、当該告知により納付すべき国税(第五号に規定する国税、不納付加算税、重加算税及び過怠税を除く。)をその法定納期限後に納付するとき。
四 予定納税に係る所得税をその法定納期限までに完納しないとき。
五 源泉徴収等による国税をその法定納期限までに完納しないとき。
2 延滞税の額は、前項各号に規定する国税の法定納期限(純損失の繰戻し等による還付金額が過大であつたことにより納付すべきこととなつた国税、輸入の許可を受けて保税地域から引き取られる物品に対する消費税等(石油石炭税法第十七条第三項(引取りに係る原油等についての石油石炭税の納付等)の規定により納付すべき石油石炭税を除く。)その他政令で定める国税については、政令で定める日。次条第二項第一号において同じ。)の翌日からその国税を完納する日までの期間の日数に応じ、その未納の税額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額とする。ただし、納期限(延納又は物納の許可の取消しがあつた場合には、その取消しに係る書面が発せられた日。以下この項並びに第六十三条第一項、第四項及び第五項(納税の猶予等の場合の延滞税の免除)において同じ。)までの期間又は納期限の翌日から二月を経過する日までの期間については、その未納の税額に年七・三パーセントの割合を乗じて計算した額とする。
3 第一項の納税者は、延滞税をその額の計算の基礎となる国税にあわせて納付しなければならない。
4 延滞税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。
(過少申告加算税)
第六十五条 期限内申告書(還付請求申告書を含む。第三項において同じ。)が提出された場合(期限後申告書が提出された場合において、次条第一項ただし書又は第七項の規定の適用があるときを含む。)において、修正申告書の提出又は更正があつたときは、当該納税者に対し、その修正申告又は更正に基づき第三十五条第二項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に百分の十の割合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、百分の五の割合)を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する。
2 前項の規定に該当する場合(第五項の規定の適用がある場合を除く。)において、前項に規定する納付すべき税額(同項の修正申告又は更正前に当該修正申告又は更正に係る国税について修正申告書の提出又は更正があつたときは、その国税に係る累積増差税額を加算した金額)がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と五十万円とのいずれか多い金額を超えるときは、同項の過少申告加算税の額は、同項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した金額に、その超える部分に相当する税額(同項に規定する納付すべき税額が当該超える部分に相当する税額に満たないときは、当該納付すべき税額)に百分の五の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
3 前項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 累積増差税額 第一項の修正申告又は更正前にされたその国税についての修正申告書の提出又は更正に基づき第三十五条第二項の規定により納付すべき税額の合計額(当該国税について、当該納付すべき税額を減少させる更正又は更正に係る不服申立て若しくは訴えについての決定、裁決若しくは判決による原処分の異動があつたときはこれらにより減少した部分の税額に相当する金額を控除した金額とし、次項の規定の適用があつたときは同項の規定により控除すべきであつた金額を控除した金額とする。)
二 期限内申告税額 期限内申告書(次条第一項ただし書又は第七項の規定の適用がある場合には、期限後申告書を含む。次項第二号において同じ。)の提出に基づき第三十五条第一項又は第二項の規定により納付すべき税額(これらの申告書に係る国税について、次に掲げる金額があるときは当該金額を加算した金額とし、所得税、法人税、地方法人税、相続税又は消費税に係るこれらの申告書に記載された還付金の額に相当する税額があるときは当該税額を控除した金額とする。)
イ 所得税法第九十五条(外国税額控除)若しくは第百六十五条の六(非居住者に係る外国税額の控除)の規定による控除をされるべき金額、第一項の修正申告若しくは更正に係る同法第百二十条第一項第四号(確定所得申告)(同法第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)に規定する源泉徴収税額に相当する金額、同法第百二十条第二項(同法第百六十六条において準用する場合を含む。)に規定する予納税額又は災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(昭和二十二年法律第百七十五号)第二条(所得税の軽減又は免除)の規定により軽減若しくは免除を受けた所得税の額
ロ 法人税法第二条第三十八号(定義)に規定する中間納付額、同法第六十八条(所得税額の控除)(同法第百四十四条(外国法人に係る所得税額の控除)において準用する場合を含む。)、第六十九条(外国税額の控除)若しくは第百四十四条の二(外国法人に係る外国税額の控除)の規定による控除をされるべき金額又は同法第九十条(退職年金等積立金に係る中間申告による納付)(同法第百四十五条の五(申告及び納付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の法人税の額)
ハ 地方法人税法第二条第十八号(定義)に規定する中間納付額、同法第十二条(外国税額の控除)の規定による控除をされるべき金額又は同法第二十条第二項(中間申告による納付)の規定により納付すべき地方法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の地方法人税の額)
ニ 相続税法第二十条の二(在外財産に対する相続税額の控除)、第二十一条の八(在外財産に対する贈与税額の控除)、第二十一条の十五第三項及び第二十一条の十六第四項(相続時精算課税に係る相続税額)の規定による控除をされるべき金額
ホ 消費税法第二条第一項第二十号(定義)に規定する中間納付額
4 次の各号に掲げる場合には、第一項又は第二項に規定する納付すべき税額から当該各号に定める税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除して、これらの項の規定を適用する。
一 第一項又は第二項に規定する納付すべき税額の計算の基礎となつた事実のうちにその修正申告又は更正前の税額(還付金の額に相当する税額を含む。)の計算の基礎とされていなかつたことについて正当な理由があると認められるものがある場合 その正当な理由があると認められる事実に基づく税額
二 第一項の修正申告又は更正前に当該修正申告又は更正に係る国税について期限内申告書の提出により納付すべき税額を減少させる更正その他これに類するものとして政令で定める更正(更正の請求に基づく更正を除く。)があつた場合 当該期限内申告書に係る税額(還付金の額に相当する税額を含む。)に達するまでの税額
5 第一項の規定は、修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合において、その申告に係る国税についての調査に係る第七十四条の九第一項第四号及び第五号(納税義務者に対する調査の事前通知等)に掲げる事項その他政令で定める事項の通知(次条第六項において「調査通知」という。)がある前に行われたものであるときは、適用しない。
(重加算税)
第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。
3 前条第一項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第二項若しくは第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者が事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは、税務署長又は税関長は、当該納税者から、不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る不納付加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。
4 前三項の規定に該当する場合において、これらの規定に規定する税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものに基づき期限後申告書若しくは修正申告書の提出、更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は納税の告知(第三十六条第一項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)若しくは納税の告知を受けることなくされた納付があつた日の前日から起算して五年前の日までの間に、その申告、更正若しくは決定又は告知若しくは納付に係る国税の属する税目について、無申告加算税等を課され、又は徴収されたことがあるときは、前三項の重加算税の額は、これらの規定にかかわらず、これらの規定により計算した金額に、これらの規定に規定する基礎となるべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
刑事訴訟法
第四百八条 上告裁判所は、上告趣意書その他の書類によつて、上告の申立の理由がないことが明らかであると認めるときは、弁論を経ないで、判決で上告を棄却することができる。