不法行為を原因として心神喪失の常況にある被害者の損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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不法行為を原因として心神喪失の常況にある被害者の損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成5年(オ)第708号

【判決日付】      平成10年6月12日

【判示事項】      不法行為を原因として心神喪失の常況にある被害者の損害賠償請求権と民法724条後段の除斥期間

【判決要旨】      不法行為の被害者が不法行為の時から20年を経過する前6箇月内において右不法行為を原因として心神喪失の常況にあるのに法定代理人を有しなかった場合において、その後当該被害者が禁治産宣告を受け、後見人に就職した者がその時から6箇月内に右不法行為による損害賠償請求権を行使したなど特段の事情があるときは、民法158条の法意に照らし、同法724条後段の効果は生じない。(意見がある。)

【参照条文】      民法158

             民法724

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集52巻4号1087頁

 

 

民法

(未成年者又は成年被後見人と時効の完成猶予)

第百五十八条 時効の期間の満了前六箇月以内の間に未成年者又は成年被後見人に法定代理人がないときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その未成年者又は成年被後見人に対して、時効は、完成しない。

2 未成年者又は成年被後見人がその財産を管理する父、母又は後見人に対して権利を有するときは、その未成年者若しくは成年被後見人が行為能力者となった時又は後任の法定代理人が就職した時から六箇月を経過するまでの間は、その権利について、時効は、完成しない。

 

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第七百二十四条の二 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。