ファイナンス・リース契約が公序良俗に違反せず、割賦販売法の脱法行為ではないと認められた事例 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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ファイナンス・リース契約が公序良俗に違反せず、割賦販売法の脱法行為ではないと認められた事例

 

 

リース料請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和55年(オ)第1062号

【判決日付】      昭和57年10月19日

【判示事項】      ファイナンス・リース契約が公序良俗に違反せず、割賦販売法の脱法行為ではないと認められた事例

【判決要旨】      原審認定の事実関係のもとにおいては、本件のリース契約が公序良俗に違反しまたは割賦販売法による規制を免脱しようとする脱法行為として無効であるとは認められない。

【参照条文】      民法90

             割賦販売法

【掲載誌】        金融法務事情1011号46頁

 

 

民法

(公序良俗)

第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

(任意規定と異なる意思表示)

 

 

割賦販売法

(契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限)

第六条 割賦販売業者は、第二条第一項第一号に規定する割賦販売の方法により指定商品若しくは指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約が解除された場合(第三項及び第四項に規定する場合を除く。)には、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者又は役務の提供を受ける者に対して請求することができない。

一 当該商品又は当該権利が返還された場合 当該商品の通常の使用料の額又は当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額(当該商品又は当該権利の割賦販売価格に相当する額から当該商品又は当該権利の返還された時における価額を控除した額が通常の使用料の額又は当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額を超えるときは、その額)

二 当該商品又は当該権利が返還されない場合 当該商品又は当該権利の割賦販売価格に相当する額

三 当該商品又は当該権利を販売する契約又は当該役務を提供する契約の解除が当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転又は当該役務の提供の開始前である場合(次号に掲げる場合を除く。) 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額

四 当該役務が特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第四十一条第二項に規定する特定継続的役務に該当する場合であつて、当該役務を提供する契約の同法第四十九条第一項の規定に基づく解除が当該役務の提供の開始前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額として当該役務ごとに同条第二項第二号の政令で定める額

五 当該役務を提供する契約の解除が当該役務の提供の開始後である場合(次号に掲げる場合を除く。) 提供された当該役務の対価に相当する額に、当該役務の割賦提供価格に相当する額から当該役務の現金提供価格に相当する額を控除した額を加算した額

六 当該役務が特定商取引に関する法律第四十一条第二項に規定する特定継続的役務に該当する場合であつて、当該役務を提供する契約の同法第四十九条第一項の規定に基づく解除が当該役務の提供の開始後である場合 次の額を合算した額

イ 提供された当該役務の対価に相当する額に、当該役務の割賦提供価格に相当する額から当該役務の現金提供価格に相当する額を控除した額を加算した額

ロ 当該役務を提供する契約の解除によつて通常生ずる損害の額として当該役務ごとに同条第二項第一号ロの政令で定める額

2 割賦販売業者は、前項の契約について賦払金の支払の義務が履行されない場合(契約が解除された場合を除く。)には、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、当該商品若しくは当該権利の割賦販売価格又は当該役務の割賦提供価格に相当する額から既に支払われた賦払金の額を控除した額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者又は役務の提供を受ける者に対して請求することができない。

3 割賦販売業者は、第二条第一項第一号に規定する割賦販売の方法により指定商品若しくは指定権利を販売する契約又は指定役務を提供する契約が特定商取引に関する法律第三十七条第二項に規定する連鎖販売契約に該当する場合であつて、当該契約が同法第四十条の二第一項の規定により解除された場合には、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、契約の締結及び履行のために通常要する費用の額(次の各号のいずれかに該当する場合にあつては、当該額に当該各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額を加算した額)にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者又は役務の提供を受ける者に対して請求することができない。

一 当該連鎖販売契約の解除が当該連鎖販売取引に伴う特定商取引に関する法律第三十三条第一項に規定する特定負担(次号、第三十五条の三の十一及び第三十五条の三の十四において「特定負担」という。)に係る商品の引渡し又は権利の移転後である場合 次の額を合算した額

イ 引渡しがされた当該商品又は移転がされた当該権利(当該連鎖販売契約に基づき販売が行われた商品又は権利に限り、特定商取引に関する法律第四十条の二第二項の規定により当該商品又は当該権利に係る同項に規定する商品販売契約が解除されたものを除く。)の割賦販売価格に相当する額

ロ 提供された特定商取引に関する法律第三十三条第一項に規定する特定利益(第三十五条の三の十四において「特定利益」という。)その他の金品(同法第四十条の二第二項の規定により解除された同項に規定する商品販売契約に係る商品又は権利に係るものに限る。)に相当する額

二 当該連鎖販売契約の解除が当該連鎖販売取引に伴う特定負担に係る役務の提供開始後である場合 提供された当該役務(当該連鎖販売契約に基づき提供されたものに限る。)の対価に相当する額に、当該役務の割賦提供価格に相当する額から当該役務の現金提供価格に相当する額を控除した額を加算した額

4 割賦販売業者は、第二条第一項第一号に規定する割賦販売の方法により指定商品又は指定権利を販売する契約が特定商取引に関する法律第四十条の二第二項に規定する商品販売契約に該当する場合であつて、当該契約が同項の規定により解除された場合には、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者に対して請求することができない。

一 当該商品若しくは当該権利が返還された場合又は当該商品販売契約の解除が当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転前である場合 当該商品又は当該権利の現金販売価格の十分の一に相当する額に、当該商品又は当該権利の割賦販売価格に相当する額から当該商品又は当該権利の現金販売価格に相当する額を控除した額を加算した額

二 当該商品又は当該権利が返還されない場合 当該商品又は当該権利の割賦販売価格に相当する額

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

 

       判決理由

 

 上告代理人大脇保彦、同鷲見弘、同大脇雅子の上告理由について

 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係のもとにおいては、本件のリース契約が公序良俗に違反し又は割賦販売法による規制を免脱しようとする脱法行為として無効であるとは認められない。論旨は、採用することができない。(裁判長裁判官横井大三 裁判官 伊藤正己・寺田治郎・木戸口久治)