国税通則法68条1項による重加算税と、過少申告を行うことの納税者の認識の要否(消極) | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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国税通則法68条1項による重加算税と、過少申告を行うことの納税者の認識の要否(消極)

 

 

所得税更正処分等取消請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和59年(行ツ)第302号

【判決日付】      昭和62年5月8日

【判示事項】      国税通則法68条1項による重加算税と、過少申告を行うことの納税者の認識の要否(消極)

【判決要旨】      国税通則法68条に規定する重加算税は、納税義務違反が事実の隠ぺい又は仮装という不正な方法に基づいて行われた場合に、違反者に対して課される行政上の措置であつて、故意に納税義務違反を犯したことに対する制裁ではないから、重加算税を課し得るためには、納税者が故意に課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装し、その隠ペイ、仮装行為を原因として過少申告の結果が発生したものであれば足り、それ以上に、申告に際し、納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまでを必要とするものではない。

【参照条文】      国税通則法68

【掲載誌】        訟務月報34巻1号149頁

             最高裁判所裁判集民事151号35頁

 

 

 

国税通則法

(重加算税)

第六十八条1項 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。