社会保険診療報酬支払基金の診療担当者に対する診療報酬支払義務
取立命令に基く取立請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和43年(オ)第1311号
【判決日付】 昭和48年12月20日
【判示事項】 一、社会保険診療報酬支払基金の診療担当者に対する診療報酬支払義務
二、国民健康保険法四五条五項所定の権限を有する国民健康保険団体連合会の療養取扱機関に対する療養給付等の費用の支払義務
【判決要旨】 一、社会保険診療報酬支払基金は、保険者から診療報酬の請求に対する審査及び支払に関する事務の委託を受けたときは、診療担当者に対し、みずから審査したところに従い、自己の名において診療報酬を支払う義務を負う。
ニ、国民健康保険法45条5項により審査及び支払に関する事務の委託を受けた国民健康保険団体連合会は、療養取扱機関に対し、みずから審査したところに従い、自己の名において療養給付等の費用を支払う義務を負う。
【参照条文】 健康保険法43の9-5
国民健康保険法45-5
社会保険療養報酬支払基金法13
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集27巻11号1594頁
国民健康保険法
(保険医療機関等の診療報酬)
第四十五条 市町村及び組合は、療養の給付に関する費用を保険医療機関等に支払うものとし、保険医療機関等が療養の給付に関し市町村又は組合に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険者(第五十七条に規定する場合にあつては、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員)が当該保険医療機関等に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。
2 前項の療養の給付に要する費用の額の算定については、健康保険法第七十六条第二項の規定による厚生労働大臣の定めの例による。
3 市町村及び組合は、都道府県知事の認可を受け、保険医療機関等との契約により、当該保険医療機関等において行われる療養の給付に関する第一項の療養の給付に要する費用の額につき、前項の規定により算定される額の範囲内において、別段の定めをすることができる。
4 市町村及び組合は、保険医療機関等から療養の給付に関する費用の請求があつたときは、第四十条に規定する準則並びに第二項に規定する額の算定方法及び前項の定めに照らして審査した上、支払うものとする。
5 市町村及び組合は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(加入している都道府県、市町村及び組合の数がその区域内の都道府県、市町村及び組合の総数の三分の二に達しないものを除く。)又は社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)による社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)に委託することができる。
(後略)
社会保険療養報酬支払基金法
第十五条 基金は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 各保険者(国民健康保険法の定めるところにより都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険にあつては、市町村。第六号及び第七号を除き、以下この項において同じ。)から、毎月、その保険者が過去三箇月において最高額の費用を要した月の診療報酬の政令で定める月数分に相当する金額の委託を受けること。
二 診療担当者の提出する診療報酬請求書に対して、厚生労働大臣の定めるところにより算定したる金額を支払うこと。
三 診療担当者の提出する診療報酬請求書の審査(その審査について不服の申出があつた場合の再審査を含む。以下同じ。)を行うこと。
四 前二号に準じ、訪問看護療養費又は家族訪問看護療養費の支払及び審査を行うこと。
五 保険者から委託された医療保険各法等による保険給付の支給に関する事務(前各号に掲げるものを除く。)を行うこと。
六 保険者から委託された健康保険法(大正十一年法律第七十号)第二百五条の四第一項第二号、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第百五十三条の十第一項第二号、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)第四十七条の三第一項第二号、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第百十四条の二第一項第二号、国民健康保険法第百十三条の三第一項第一号、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)第百四十四条の三十三第一項第二号又は高齢者の医療の確保に関する法律第百六十五条の二第一項第一号に掲げる情報の収集又は整理に関する事務を行うこと。
七 保険者から委託された健康保険法第二百五条の四第一項第三号、船員保険法第百五十三条の十第一項第三号、私立学校教職員共済法第四十七条の三第一項第三号、国家公務員共済組合法第百十四条の二第一項第三号、国民健康保険法第百十三条の三第一項第二号、地方公務員等共済組合法第百四十四条の三十三第一項第三号又は高齢者の医療の確保に関する法律第百六十五条の二第一項第二号に掲げる情報の利用又は提供に関する事務を行うこと。
八 診療報酬請求書及び特定健康診査等(高齢者の医療の確保に関する法律第十八条第二項第一号に規定する特定健康診査等をいう。)に関する記録に係る情報その他の国民の保健医療の向上及び福祉の増進に資する情報の収集、整理及び分析並びにその結果の活用の促進に関する事務を行うこと。
九 前各号の業務に附帯する業務
十 前各号に掲げるもののほか、第一条の目的を達成するために必要な業務
(後略)