港湾施設の建設工事中である埋立地内の道路を夜間走行していた自動車が岸壁から海中に転落して運転者が死亡した場合において右埋立地の管理に瑕疵があるとされた事例
損害賠償請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和54年(オ)第227号
【判決日付】 昭和55年9月11日
【判示事項】 港湾施設の建設工事中である埋立地内の道路を夜間走行していた自動車が岸壁から海中に転落して運転者が死亡した場合において右埋立地の管理に瑕疵があるとされた事例
【判決要旨】 港湾施設の建設工事中である埋立地内の道路を夜間走行していた自動車が道路前方の岸壁から海中に転落して運転者が死亡した場合において、右埋立地内の道路が一般車両の通行する都市計画幹線道路と、舗装ずみの取付道路をもつて結ばれているため、港湾施設工事に関係のない一般車両であつても取付道路を通つて埋立地内の道路に入ることができるようになつており、とくに夜間には一般人が釣やドライブの目的で立ち入ることがないではないのに、取付道路の入口付近には立入禁止、立入制限の掲示等は設置されておらず、また、転落現場付近の夜間照明も対岸の埋立地にあるものだけであるため、一般人にとつて一般道路と埋立地内の道路との区別がつかず、夜間とくに雨天等の視界不良の状態が重なつたときは、土地不案内の自動車運転者にとつて道路前方に岸壁があつてこれが海面と接していることを識別することが必ずしも容易でない状況にあるなど、原判示の事実関係のもとでは、埋立地の管理には瑕疵がある。
【参照条文】 国家賠償法2-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事130号371頁
判例タイムズ428号63頁
判例時報984号65頁
国家賠償法
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。