履行不能と責に帰すべき事由の挙証責任 売買代金返還請求事件 最高裁判所第1小法廷 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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履行不能と責に帰すべき事由の挙証責任

 

 

              売買代金返還請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和32年(オ)第571号

【判決日付】      昭和34年9月17日

【判示事項】      1、賃借権の譲渡と賃貸人の承諾をえる義務

             2、履行不能と責に帰すべき事由の挙証責任

【判決要旨】      1、賃借権の譲渡人は、特別の事情のないかぎり、譲受人に対し、譲渡につき遅滞なく賃貸人の承諾をえる義務を負うものと解すべきである。

             2、債務が履行不能となつたときは、債務者は右履行不能が自己の責に帰すべからざる事由によつて生じたことを証明するのでなければ、債務不履行の責を免れることはできない。

【参照条文】      民法612

             民法415

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集13巻11号1412頁

 

 

 

民法

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

 

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。