第一次家永教科書検定訴訟 損害賠償請求事件 最高裁判所第3小法廷判決 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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第一次家永教科書検定訴訟

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和61年(オ)第1428号

【判決日付】      平成5年3月16日

【判示事項】      一 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科書図書の検定と憲法二六条、教育基本法一〇条

             二 右検定と憲法二一条二項前段

             三 右検定と憲法二一条一項

             四 右検定と憲法二三条

             五 右検定における文部大臣の裁量的判断と国家賠償上の違法

【判決要旨】      一 学校教育法二一条二項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定は、憲法二六条、教育基本法一〇条に違反しない。

             二 右検定は、憲法二一条二項前段に違反しない。

             三 右検定は、憲法二一条一項に違反しない。

             四 右検定は、憲法二三条に違反しない。

             五 右検定における合否の判定等の判断は、文部大臣の合理的な裁量にゆだねられているが、文部大臣の諮問機関である教科用図書検定調査審議会の判断の過程に、申請原稿の記述内容又は欠陥の指摘の根拠となるべき検定当時の学説状況、教育状況についての認識や、検定の基準に違反するとの評価等に関して看過し難い過誤があり、文部大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、右判断は、裁量権の範囲を逸脱したものとして、国家賠償法上違法となる。

【参照条文】      学校教育法21-1(昭45法48号改正前)

             学校教育法51(昭49法70号改正前)

             旧教科用図書検定規則(昭23文部省令4号)1

             旧教科用図書検定規則(昭23文部省令4号)2

             旧教科用図書検定規則(昭23文部省令4号)3

             憲法26

             教育基本法10

             憲法21

             憲法23

             国家賠償法1-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集47巻5号3483頁

 

 

 

憲法

第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 

第二十三条 学問の自由は、これを保障する。

 

第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

 

 

 

平成十八年法律第百二十号

教育基本法

第二章 教育の実施に関する基本

(学校教育)

第六条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

 

 

 

学校教育法

第二十一条 義務教育として行われる普通教育は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)第五条第二項に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

二 学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。

三 我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

四 家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。

五 読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。

六 生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

七 生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。

八 健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。

九 生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。

十 職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

 

第五十一条 高等学校における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。

二 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。

三 個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。

 

 

 

国家賠償法

第一条1項 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。