銀行が意思無能力者との間で有効に準消費貸借契約が締結されたと誤信したことについて無能力者の署名等 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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銀行が意思無能力者との間で有効に準消費貸借契約が締結されたと誤信したことについて無能力者の署名等を代行した無能力者の妻の不法行為責任が否定された事例

 

貸金請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成12年(ネ)第4323号

【判決日付】      平成14年3月28日

【判示事項】      一 銀行が意思無能力者との間で有効に準消費貸借契約が締結されたと誤信したことについて無能力者の署名等を代行した無能力者の妻の不法行為責任が否定された事例

             二 銀行が意思無能力者に意思能力があると誤信して同人に対する貸金として金員を交付したことについて無能力者に借入意思があることを認める旨の書面を作成交付するなどした無能力者の妻の不法行為責任が肯定された事例(過失相殺七割)

             三 意思無能力者の妻の不法行為により銀行が無能力者に意思能力があると誤信して同人に対する貸金として金員を交付した結果生じた損害に係る賠償請求権の消滅時効の起算点

【参照条文】      民法9

             民法709

             民法724

             民法722

【掲載誌】        判例時報1793号85頁

【評釈論文】      銀行法務21 620号88頁

             ジュリスト1301号100頁

             判例タイムズ臨時増刊1125号72頁

             法律時報別冊私法判例リマークス27号6頁

 

 

民法

第二章 人

第一節 権利能力

第三条 私権の享有は、出生に始まる。

2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

 

第二節 意思能力

第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

 

第三節 行為能力

(後見開始の審判)

第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

(成年被後見人及び成年後見人)

第八条 後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。

(成年被後見人の法律行為)

第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

 

第五章 不法行為

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(損害賠償請求権に関する胎児の権利能力)

第七百二十一条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。

(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)

第七百二十二条 第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

 

(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。

二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。

(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

第七百二十四条の二 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。