権利能力なき社団とは、その2
行政法分野
行政法における取り扱い
行政不服審査法
法人でない社団又は財団の不服申立て(第10条)
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で不服申立てをすることができる。
法人税法における取り扱い
「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」(法人税法2条1項8号)は同法上、「人格のない社団等」として法人とみなされる(同法3条)。公益法人等と同様に収益事業(法人税法施行令5条に列挙の事業)を行う場合または退職年金業務を行う場合に限り、納税義務を負うこととされ、この場合、税率は普通法人と同じである(同法66条1項2項)。法人でない社団の意義については、判例では、「権利能力のない社団といいうるためには、団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならないのである。」[3]、「外形的事実に着目する限りにおいては、Eは、意思決定機関としての会員総会、業務執行機関ないし代表機関としての理事会ないし会長が置かれるなど団体としての組織を備え、会員総会の決議が支部において選出された会員代表の多数決によって行われるなど多数決の原則が行われ、定款の規定上は構成員である会員の変更にかかわらず団体として存続するとされ、代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているようにみえるというべきである。」[4]と述べるものがあり、法人税法のいう「人格のない社団」とは、民事実体法上の「権利能力なき社団」の借用概念であり、法的安定性の観点から社団性の概念は民法と一義的に解釈されるのが相当である[5]。しかし、判例が示す社団性判断基準の要件を全て満たさなければならないとすれば、例えば多数決ではなく全員一致であれば課税客体とならないのかなど、租税の公平な負担に課題が残る[6]。
消費税法における取り扱い
「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」(消費税法2条1項7号)は同法上、「人格のない社団等」として法人とみなされ、普通法人と同様の取り扱いを受ける(同法3条)。間接税では本来の税負担者が消費者であることから、事業を行えば当然に納税義務を負うことになるからである。
地方税法における取り扱い
「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」は「人格のない社団等」として法人とみなされ(地方税法12条)、かつ、収益事業を行う場合に限り「人格のない社団等」(より狭い定義)とみなす規定がある(地方税法24条6項)が、住民税均等割部分については法人みなしを経ずに納税義務者としている(道府県民税:24条1項4号、市町村民税:294条1項4号)。