破産法374条1号に規定する行為の時期
大阪高等裁判所判決/昭和47年(う)第562号
昭和52年5月30日
破産法違反被告事件
【判示事項】 1、破産法374条1号に規定する行為の時期
2、破産法378条所定の行為主体に破産管財人が含まれるか
【判決要旨】 1、破産法374条1号に規定する行為は、破産宣告確定前になされたものに限られる。
2、破産法378条の罪の行為主体には破産管財人も含まれる。
【参照条文】 破産法374
破産法378
【掲載誌】 高等裁判所刑事判例集30巻2号242頁
刑事裁判月報9巻5~6号314頁
判例タイムズ357号333頁
判例時報873号107頁
【評釈論文】 上智法学論集22巻1号249頁
判例評論234号159頁
【解説】
本件は、破産宣告(確定)を受けた会社の破産管財人(弁護士)が、自己の利益を図る目的をもつて、破産財団に属する財産等を債権者の不利益に処分したとして破産法378条、374条の詐欺破産罪で起訴された事案で、判タ283号327頁に掲載した大阪地裁判決に対する控訴審判決である。
判示事項1については、破産法374条が「債務者破産宣告ノ前後ヲ問ハズ……左ニ掲グル行為ヲ為シ其ノ宣告確定シタルトキハ詐欺破産ノ罪ト為シ」と規定しているところから、同条1号は破産宣告確定後の行為をも処罰する法意ではないかが問題とされた。
本判決は、本罪の本質は破産原因を作為し破産を惹起する行為を処罰することを目的とする破産原因罪であつて、同罪が右の行為と事実上の牽連関係のある破産宣告の確定を処罰条件としていることからして、同罪は、原則として破産宣告前の行為を処罰の対象とし、例外として処罰対象とされる破産宣告後の行為は同宣告確定前のものに限られるとして、原判決を支持した。
判示事項2については、同法378条の行為主体に破産管財人は含まれないとして限定解釈を示した原判決に左袒できないとし、含まれるものと解すべきであるとして積極的解釈を示した。
いずれの判示事項についても、これらの点が問題となつた先例がみあたらないだけに参考になる判例である。